<大手企業で導入が増加!「ジョブ型雇用」最新情報【2】> 「新卒」でのジョブ型雇用のメリットと導入のポイント

日本企業の雇用スタイルは、スキルよりも「人となり」を重視する「メンバーシップ型雇用」が主流となっています。メンバーシップ型雇用は「終身雇用」と「年功序列型」の社会システムがあってこそのシステムでしたが、日本社会の中で「当たり前」だった雇用の在り方が、働き方改革やコロナ禍、そして長引く不況の影響を受けて変革期を迎えつつあります。「ジョブ型雇用」は、時間をかけて人材育成をするスタミナが残されていない日本社会において、即戦力となる専門職を雇用できるとあり、大手企業でも導入が進められています。ここでは、ジョブ型雇用導入のメリットや、導入のポイントなどについてみて参りましょう。

 

大手企業が「新卒」のジョブ型雇用を導入する理由

日立製作所や富士通をはじめ、日本では大手企業のジョブ型雇用導入がニュースとなりました。大手企業が「新卒」のジョブ型雇用へシフトする理由について、下記にまとめました

●就活生によるインターンシップが浸透してきた
ジョブ型雇用は、コロナ禍以前からもその名は知られていましたが、オフィシャルな雇用方法というよりは、主に中途採用で導入していたケースが多かったようです。中途採用に求められる「即戦力になる人材」「専門職の人材」を採用するには、ジョブ型雇用は相性が良かったのです。近年では、就活生によるインターンシップが浸透し、学生時代から課外活動などで自分の進むべき道のスキルを磨く学生が増えたことにより、新卒でのジョブ型雇用が実施しやすくなった傾向もあるようです。

●経団連が「ジョブ型雇用」を評価
経団連は、2020年にもジョブ型雇用を推奨する発言をしていますが、2022年春にも「ジョブ型雇用は主体的なキャリア形成を望む働き手にとって魅力的な制度になりえる」と評価した上で「導入・活用の検討が必要」と明記しました。現実にも「新卒でのジョブ型雇用」を前向きに検討する企業は多く、とある調査で1949社を対象に「新卒採用におけるジョブ型雇用」の意向を聞いたところ、「2023年採用より前っから導入している」と回答した企業が24.1%、「2023年卒採用から導入・導入予定」と回答した企業が2.5%となっており、4社に1社の割合っで「ジョブ型雇用」を導入していることが判明しています。

●ジョブ型雇用に関する情報が整ってきた
メンバーシップ型雇用が当たり前の状況の中で、いきなりジョブ型雇用へと切り替えるのはリスクが高いことですが、実際にジョブ型雇用を採用している企業からの情報が整い始めると、その風向きも変わってきたようです。例えば、前述の調査にて、ジョブ型雇用の導入で「適性に合う母集団が集まりやすくなった」と回答している企業が約半数を超えていた、という結果もありました。多くの企業がジョブ型雇用に対してメリットを感じるようになったことで、ジョブ型雇用導入のハードルが低くなったと解釈することができます。

 

新卒をジョブ型雇用にするメリットとは?

新卒をジョブ型雇用で採用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
主に、以下の3つが挙げられます。

●ジョブ型雇用のメリット
①人材育成に時間がかからない
ジョブ型雇用で採用する場合、そこに集う就活生は長期インターンや、課外活動などでスキルを磨いてきている人材です。すなわち、特定の職種に特化した人材を獲得することが可能となるため、メンバーシップ型雇用での「研修」が不要となり、育成工数が省略できます。

②職種のミスマッチを予防
新卒採用において企業が恐れることは、新入社員のパフォーマンスが低いことと、離職されてしまうことです。入社後3年以内にそれらの事象が発生するということは、職種や配属が本人に合っていない「ミスマッチ」が発生しているということになります。ジョブ型雇用では、応募の段階か業務内容や職種がある程度決まっているので、配属によるミスマッチは発生しにくいメリットがあります。

③採用時の評価が合わせやすい
メンバーシップ型雇用では、就活生のポテンシャルを評価するため、その基準や認識のすり合わせが難しく、面接官の間で評価のズレが起きやすいことがあります。ジョブ型雇用の場合は、本人のスキルや実務経験、所持している資格などを定量的に評価できる項目が多いので、面接官の間で評価が合わせやすくなります。

●ジョブ型雇用のデメリット
ジョブ型雇用のデメリットを挙げると、以下の通りになります。

・会社都合での転勤や異動には再契約が必要となる
・人材が定着しにくい
・給与体系の変更が必要になる

これらのデメリットは企業側の「ジョブ型雇用の受け入れ体制が不十分」である場合に起こりやすい事象となっています。ジョブ型雇用を採用する前には、まず、企業側でジョブ型雇用に対する十分な理解が必要となるのです。

 

ジョブ型雇用導入の注意点

去年までメンバーシップ型雇用だったものを、いきなりジョブ型雇用に切り替えても、デメリットしかありません。メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に切り換えるには、段階的に準備を進める必要があります。
以下にジョブ型雇用導入の際の注意点をまとめました。

●実力評価を行うための環境を整備する
マインドマッチのメンバーシップ型雇用には不要ですが、ジョブ型雇用の場合は、実力に合った評価制度が必要です。明確な評価基準を設けることにより「何を達成すればよいのか」といいうゴールが見えてくるため、入社後のパフォーマンスに期待が持てます。まずは人事部などを巻き込み、環境整備を整えることから始めましょう。

●掲載媒体や募集要項を見直す
ジョブ型雇用では、専門職を募るため、通常の募集要項や一般的な媒体へのアプローチでは、人材が集まらない恐れがあります。特にいま需要が高い、エンジニアなどのIT人材などは、理系の学生や、プログラミングなどのスキルを持つ学生が集まりやすい媒体で募集するという方法などがあります。また、募集要項に関しても「職種の魅力」「スキル活用の場」「待遇」などを訴求することで、自社の魅力がアピールすることが可能となります。

●成果報酬型の給与体系を導入する
ジョブ型雇用は年功序列の給与体制ではなく、個人の能力で報酬が決まる「成果報酬型」が一般的です。ジョブ型雇用で採用されたのに、給与が年功序列のままでは、早々に離職されてしまう恐れがあります。まずは成果報酬型の給与体系を整備することも重要です。

●中途採用から導入する
メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ180度方向転換するのではなく、上記で示した環境づくりをしてゆくためにも、中途採用からジョブ型雇用を採用するというのもひとつの手段です。新卒の新入社員も、受け入れる企業側も、初めてジョブ型雇用に対応するとなると現場も混乱します。ジョブ型雇用を導入する場合は、中途採用からスタートし、既存の従業員に対しても「ジョブ型雇用とは何か」を説明していく必要がります。焦らずに受け入れ体制を整えてから、ジョブ型雇用を導入しましょう。

 

セミナーでジョブ型雇用をもっと知ろう!

ジョブ型雇用の導入には、ジョブ型雇用が何者であるかを知る必要があります。下記セミナーサイトでは、ジョブ型雇用に関する有益なセミナーをご用意しています。ジョブ型雇用の導入をお考えの企業さまは、まずはセミナーでジョブ型雇用について学びましょう!

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【参照情報】
NTTLS人材育成WEB
>>>ジョブ型雇用

PERSOL
>>>ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型との違いや事例から見る効果

リクナビNEXTジャーナル
>>>「ジョブ型」雇用とは?第一人者が語るメリット・デメリットと大きな誤解

ルートテック
>>>ジョブ型雇用とは?これで理解できる!特徴・メリット・デメリット・メンバーシップ型雇用との違い

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>>>ジョブ型雇用を新卒採用で導入している企業の割合は?

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>>>新卒からジョブ型採用を取り入れるべき?特徴や導入企業一覧を紹介

ヒョーカラボ
>>>新卒採用で「ジョブ型雇用」を成功させるポイントと注意点