<職場と家庭の両立を促進する「2022年度両立支援等助成金」の変更点【2】> 需要の高い「出生時両立支援コース」と「育児休業支援コース」についてのまとめ

職場と家庭の両立を促進するための「両立支援等助成金」は、時世に合わせた変更点が加わり「2022年度両立支援等助成金」として、新たに施行されました。2022年度両立支援等助成金では、従来の3つのコースに加え、不妊治療両立支援コースや、新型コロナウイルス感染症に関する母性管理措置による休暇取得支援コースなどが追加され、合計5つのコースとなっています。その中でもやはり需要が高いコースが、従来から存在する「出生時両立支援コース」と「育児休業支コース」のようです。ここでは「出生時両立支援コース」と「育児休業支援コース」の変更点についてまとめました。

 

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)の変更点について

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)では、育児休業を取得した労働者の代わりとなって業務を行う「代替要員確保」が新たに追加となっています。変更前と変更後の要件などを比べてみましょう。

●変更前
<主な要件>
・男性労働者が育児休業を取得しやすい職場環境づくりの取組を実施すること
・男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業を取得すること
※対象の男性労働者に対して企業が育児休業の取得を後押しする取組を行った場合は、「個別支援加算」として支給される

●変更後
<主な要件>
・育児・介護休業法に規定する雇用環境整備の措置を複数実施すること
・男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得すること
・育児休業取得者の業務を代替えする労働者の業務見直しに係る規定を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること
※育児休業取得者の業務を代替えする労働者を新規雇用(派遣を含む)した場合、加算して支給(代替要員加算)

<対象>
大企業・中小企業

<助成額>
20万円(1事業主1回あたり)
※代替要員加算:20万円(代替要員が3人以上の場合45万円)

【変更後】を【第1種】とし、さらに【第2種】を新設
【第2種】

<主な要件>
・第1種の支給を受けていること
・育児・介護休業法に規定する雇用環境整備の措置を複数実施すること
・育児休業取得者の業務を代替えする労働者の業務見直しに係る規定を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること
・男性労働者の育児休業取得率が第1種の支給を受けてから3事業年度以内に30%以上上昇していること
・育児休業を取得した男性労働者が第1種の申請に係る者の他に2名以上いること

<対象>
中小企業のみ

<助成額>
育児休業が30%以上上昇したのが、第1種の支給を受けてから
・1年以内:60万円<75万円>
・2年以内:40万円<65万円>
・3年以内:20万円<35万円>
※<>内、生産性要件を満たした場合の支給額

●どこが変わったのか?
【第2種】の設定により従来にあった「Ⅲ男性労働者が育児目的の休暇を取得した場合に対する助成」が廃止となりました。出生時両立支援コースでの変更点の特徴は、対象が「中小企業のみ」となった点と、単に育休が取得できるような措置を設けるだけでなく、実施しているかどうかの取得率も要件に組み込まれている点です。

 

育児休業等支援コースの変更点

育児休業等支援コースの変更点についても見てみましょう。

■変更前

<主な要件>
●代替要員確保
・育児休業取得者を原職労働者に復帰させる旨を就業規則などに規定すること
・労働者が3か月以上の育児休業を取得すること
・上記労働者を原職等に復帰させ、さらに6か月以上継続雇用すること
・育児休業者の業務を代替する労働者を新規雇用(派遣含む)すること。
※育児休業取得者が有期雇用労働者の場合、加算して支給(有期雇用労働者加算)

●職場復帰時(職場支援加算)
・育休復帰支援プランを作成し、労働者の3か月以上の育児休業取得後、原職等に復帰させ、さらに6か月以継続雇用すること
※育児休業取得者の業務を社内の他の労働者に代替させ、業務の見直し・効率化を行うとともに、当該業務を代替しいた労働者に対して増額で賃金を支払った場合加算して支給(職場支援加算)

<対象>
中小企業のみ

<助成額(対象労働者1人あたり)>
●代替要員確保時 47.5万円<60万円>
●有期雇用労働者加算:9.5万円<12万円>
 1事業主あたり1年度10人まで5年間支給
●職場復帰時 28.5万円<36万円>
職場支援加算:19万円<24万円>
 1事業主あたり2人まで支給(無期雇用労働者1人、有期雇用労働者1人)
※<>内は生産性要件を満たした場合の支給額

 

変更後

<主な要件>
●業務代替支援

【新規雇用】
・育児休業取得者を原職等に復帰させる旨を就業規則等に規定すること
・労働者が3か月以上の育児休業を取得すること
・上記労働者を原職等に復帰させ、さらに6か月以上継続雇用すること
・育児休業取得者の業務を代替する労働者を新規雇用(派遣を含む)すること

【手当支給等】
・育児休業取得者を原職等に復帰させる旨を就業規則等に規定すること
・労働者が3か月以上の育児休業を取得すること
・上記労働者を原職等に復帰させ、さらに6か月以上継続雇用すること
・育児休業取得者の業務を社内の他の労働者に代替させ、業務の見直し・効率化を行うとともに、当該業務を代替した労働者に対して増額して賃金を支払うこと
※【新規雇用】【手当支給等】ともに、育児休業取得者が有期雇用労働者の場合、加算して支給(有期雇用労働者加算)

<対象>
中小企業のみ

<助成額(対象労働者1人当たり)>
●業務代替支援
【新規雇用】47.5万円<60万円>
【手当支給等】10万円<12万円>
 有期雇用労働者加算:9.5万円<12万円>
 1事業主あたり1年度10人まで5年間支給
【職場復帰等】28.5万円<36万円>
※<>内は生産性要件を満たした場合の支給額

●どこが変わったのか?
育児休業等支援コースでの変更点は、これまで「代替要員確保時」と「職場復帰(職場支援加算)」として実施していた、代替要員確保に対する支援内容を「業務代替支援」として見直し、手当支給に関する要件が細かく設定されています。育児休業を取得したい男性従業員の中には、自分が休んだら仕事が回らないのでは、という不安や、ポストを失うのではないかという不安から取得できない人も多くいます。代替要員が確保されることにより、安心して育児休業を取得できるほか、将来的には業務の属人化も解消することも可能となります。

 

両立支援等助成金を受給するためにもセミナーを受講しよう

両立支援等助成金を受給できる体制を整えるということは、これから育児休業を取得したいと思っている従業員のためとなることはもちろん、企業にとっても、「男性でも育児休業を取得しやすい企業として、就活生にとってのイメージも上昇します。両立支援等助成金を受給できるようになるための準備段階として、まずセミナーを受講し、知識をつけましょう。

■会場型セミナーで受講したい方は『ビジネスクラス・セミナー』
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【参照情報】
ツギノジダイ
>>>両立支援等助成金、2022年度(令和4年度)の変更点とは

>>>不妊治療休暇、導入した事業主に厚労省の助成金 仕事との両立支援

厚生労働省
>>>令和4年4月からの変更点に係るリーフレット(令和4年3月15日)