<職場と家庭の両立を促進する「2022年度両立支援等助成金」の変更点【1】> 2022年度両立支援等助成金5つのコースを解説

職場と家庭を両立するために、女性の産休・育休は取得しやすくなりましたが、パパとなる男性の育児休業の取得は進んでいるとは言えません。厚生労働省は、2021年(令和3年度)に男性が育児休業を取得しやすい職場環境づくりを推進すべく「両立支援等助成金」を制定しました。両立支援等助成金では、育児だけでなく、出生時の両立や、介護離職防止も含めた3つのコースが策定されましたが、2022年(令和4年度)の「両立支援等助成金」では、新たに「不妊治療両立支援コース」「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇支援コース」の2つのコースが増設されます。ここでは「2022年度(令和4年度)両立支援等助成金」について、解説いたします。

 

両立支援等助成金とは?

「両立支援等助成金」とは、文字通り「仕事と家庭が両立できる環境づくりを支援するため」の助成金です。事業主が従業員のために、育児・介護などの「家庭」と「職場」を両立させるための制度の導入、そして、取得しやすい職場環境整備への取組みを実施し、対象となる従業員が制度を利用した場合に「両立支援等助成金」が支給される仕組みとなっています。2021年度には、男性の育児休業取得を促進すべく「①出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」「②介護離職防止支援コース」「③育児休業等支援コース」の3つのコースが制定されていましたが、2022年度からは「④不妊治療両立支援コース」「⑤新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇支援コース」が制定され、より多様化した内容となっています。

 

2022年度両立支援等助成金5つのコースを解説

2022年度両立支援等助成金で設けられている5つのコースについて、それぞれ解説いたします。

【1】出生時両立支援コース(子育てパパ支援コース)
「出生時両立支援コース」は、男性労働者が育児休を取得しやすい職場環境や業務体制を整備し、実際に育児休業を取得した男性労働者が存在する中小企業事業主が対象の助成金です。別名「子育てパパ支援コース」とも言われており、「第1種(男性労働者の出生時育児休業取得)」と「第2種(男性労働者の育児休業取得率上昇)」に分かれています。

●第1種(男性労働者の出生時育児休業取得)
・育児休業取得 20万円
・代替要員加算 20万円(3人以上45万円)

第1種の「代替要員加算」とは、男性労働者の育児休業期間中に代替要員を新規雇用(派遣含む)した場合の助成で、2022年から新規に設けられました。

●第2種(男性労働者の育児休業取得率上昇)
・育児休業取得率の30%以上上昇
1年以内達成→60万円<75万円>
2年以内達成→40万円<65万円>
3年以内達成→20万円<35万円>
※<>内は生産性要件を満たした場合

この「男性労働者の育児休業取得率上昇は2022年から新規に設けられた助成です。

 

【2】介護離職防止支援コース
「介護離職防止支援コース」とは、介護を理由に離職せざるを得ない従業員のために設けられたコースで、下記の取組みを実施した中小企業事業主が助成金を受け取れます。

(1)介護休業(休業取得時/職場復帰時)
(条件)対象労働者が介護休業を合計5日以上取得し、復帰した場合
(助成金)28.5万円<36万円>

(2)介護両立支援制度
(条件)介護のための柔軟な就労形態の制度を導入し、合計20日以上利用した場合
(助成金)28.5万円<36万円>
※<>内は生産性要件を満たした場合

(3)新型コロナウイルス感染症対応特例
(条件)新型コロナウイルス感染症への対応として家族を介護するために特別休暇を取得した場合
(助成金)労働者1人あたり
5日以上10日未満 20万円
10日以上 35万円

 

【3】育児休業支援コース
「育児休業等支援コース」は、育児休業の円滑な取得・職場復帰のための取組を実施いた事業主が受け取れる助成金です。要件を満たすためには、以下の5つの取組みが必要です。

①育休取得時 28.5万円<36万円>
②職場復帰時 28.5万円<36万円>
※<>内は生産性要件を満たした場合

これらは「育休復帰支援プラン」を策定、導入し、プランに沿った育児休業対象労働者の円滑な育児休業の取得・復帰に取組んだ場合に助成金が受け取れます。育児休業の取得は原則「3か月以上」取得させる必要がります。また、①②各2回まで、そして無期雇用者・有期雇用者は各1回までとなっています。

③業務代替支援(1人あたり*10人まで)
ア 新規雇用(派遣を含む)*47.5万円<60万円>
イ 手当支給等*10万円<12万円>
※有期雇用労働者加算9.5万円<12万円>

「業務代替支援」は、3か月以上の育児休業終了後、育児休業取得者が原職等に復帰する旨の取り扱いを就業規則等に規定し、休業取得者の代替要員の新規雇用(派遣を含む)又は代替する労働者への手当支給を行いつつ、休業取得者を原職などに復帰させた場合に受け取れる助成金です。

④職場復帰後支援 28.5万円<36万円>
A 看護休暇制度1000円<1200円>×時間
B 保育サービス費用 実支出額の2/3補助

⑤新型コロナウイルス感染症対策特例 1人あたり5万円 *10人まで(上限50万円)
小学校等の臨時休校等により、子どもの世話をする労働者のために、特別休暇制度及び両立支援制度を導入し、特別休暇の利用者が出た場合に、受取れる助成金です。

①~⑤のうち⑤新型コロナウイルス感染症対応特例以外は、中小企業事業主のみが対象となります。

 

【4】不妊治療両立支援コース
「不妊治療両立支援コース」は不妊治療のために休暇を取得した場合に、職場との両立支援をするための取組です。2022年4月から、不妊治療が保険適用となる背景から、不妊治療に取り組む人が増加することを見込まれており、不妊治療をする労働者の相談に対応し、休暇制度・両立支援制度を労働者が利用した際に、中小企業事業主が助成金を受け取れます。

①整備環境・休暇の取得等
最初の労働者が休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用した場合 28.5万円<36万円>
②長期休暇の加算

①を受給し、さらに労働者が不妊治療休暇を20日以上連続して取得した場合、さらに28.5万円<36万>

 

【5】新型コロナウイルス感染症に関する母性管理措置による休暇取得支援コース 
対象労働者1人あたり28.5万円(5人までが対象)

「新型コロナウイルス感染症に関する母性管理措置による休暇取得支援コース」は、医師などの指導で休業が必要とされた妊娠中の女性ろうどおうしゃが取得できる、有給の休暇制度を設け、社内に周知したうえで、実際にこの休暇制度を合計20以上労働者に取得させた事業主が受け取れる助成金です。

 

両立支援等助成金の申し込み方法

各両立支援助成金の申し込み方法は、厚生労働省の公式サイトよりWEBで入手が可能です。助成金の詳細は支給申請についての問い合わせなどは、各都道府県の労働局雇用環境・均等部・均等室が窓口となっています。厚生労働省では、2022年度両立支援等助成金の内容をリーフレットなどで解説していますので、参考にされることをおすすめします。

 

セミナーで「両立支援等助成金」を学ぼう!

職場と家庭の両立を推奨しているのに、労働者が休暇を取れないという環境はあってはならないことです。働き方の多様化も加速を見せている今、事業主が「両立支援等助成金」を学ぶ必要があります。下記セミナーサイトなら、両立支援等助成金に関係するセミナーをご用意しております。ぜひともご利用ください!

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【参照情報】
ツギノジダイ
>>>両立支援等助成金、2022年度(令和4年度)の変更点とは

>>>不妊治療休暇、導入した事業主に厚労省の助成金 仕事との両立支援

厚生労働省
>>>令和4年4月からの変更点に係るリーフレット(令和4年3月15日)