<スキル重視の「ジョブ型雇用」は新しい時代の雇用スタイルとなるか?【1】> 「ジョブ型雇用」の概要と「メンバーシップ型雇用」との違いについて

「日本のサラリーマンの雇用」というものは、一度就職したら、年齢と共に報酬や役職がランクアップし、定年まで雇用が保証される「年功序列」「終身雇用」スタイルが一般的でしたが、今、日本では雇用の在り方が変わりつつあります。テレワークなども含めた働き方の多様性に合わせ、注目されている雇用スタイルが「ジョブ型雇用」です。専門性のあるスキルに特化した人材を確保しやすいジョブ型雇用は、大手企業も導入を始めており「新しい働き方」の中で注目を集めています。ジョブ型雇用とは、どのような雇用方法なのでしょうか。ジョブ型雇用の概要と、従来型の雇用スタイルである「メンバーシップ型雇用」との違いについて解説いたします。

 

ジョブ型雇用とは?

ジョブ型雇用とは、雇用する従業員に対して職務内容(ジョブ)を明確に定義し、労働時間や勤続年数ではなく、仕事の成果で評価するスキル重視の雇用制度のことです。グローバルかつ即戦力となる人材の確保が期待できるということもあり、欧米諸国で広く普及している雇用スタイルです。これまで日本でもジョブ型雇用が存在しなかったわけではなく、例えば中途採用枠で欠けた人材の補充として、ジョブ型雇用を採用しているケースが多々ありました。欧米諸国では、中途採用だけでなく、新卒枠でもジョブ型雇用が主流となっており、大手企業の日立製作所や富士通、KDDIがジョブ型雇用の導入を始めると発表したこともあり、追従してジョブ型雇用へと切り替える企業が増える気運が高まりつつあると言われています。

 

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用との違いについて

スキル重視の「ジョブ型雇用」と、従来型の「メンバーシップ型雇用」には、どのような違いがあるのでしょうか?下記にてまとめました。

●メンバーシップ型雇用とは?
メンバーシップ型雇用とは、日本のサラリーマン社会に根付いている「年功序列」と「終身雇用」がウリの、新卒一括採用型の雇用システムです。スキル0の状態の新卒を研修で教育し、適正で配属を振り分け、転勤や異動などのジョブローテーションを繰り返しながら、長期的に人材を育成します。「会社」を第一とした考えを叩き込むために、長く働けば働くほど昇給や昇進の機会を与えるようにし、定年までの雇用の安定と退職金を約束することで、早期離職などを抑止してきました。戦後の高度成長期と共に完成したメンバーシップ型雇用は、日本人の気質と相性がよく、少子高齢化が加速し、社会情勢が激変しつつある今なお、多くの日本企業で採用されている雇用システムとなります。

●ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用違い
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いをわかりやすく比較してみましょう。

【仕事内容】
〇ジョブ型雇用
専門職として雇用されるため、明確に限定されています。また「何をすべきか」はジョブディスクリプション(職務記述書)によって決められています。

〇メンバーシップ型雇用
総合職として雇用されるため、仕事の線引きは曖昧です。会社都合によって状況が変わりやすく、ジョブローテーションであらゆる仕事をこなす必要があります。

【求められるスキル】
〇ジョブ型雇用
一つの分野に対してのスキルを磨き抜く専門性の高いスペシャリストとしての知識と技術。

〇メンバーシップ型雇用
さまざまな分野の知識とあらゆるスキルを総合的に身に着けるゼネラリスト。

【転勤や配属替え】
〇ジョブ型雇用
なし

〇メンバーシップ型雇用
流動的にある

【給与】
〇ジョブ型雇用
年齢や学歴、職歴に関係なく、スキルの高い人が評価されるスキル依存

〇メンバーシップ型雇用
スキルよりも社歴を求められ、年齢や勤続年数が重視される。

【教育研修制度】
〇ジョブ型雇用
研修はなく、自分で自分のスキルを磨いていくスタイル。

〇メンバーシップ型雇用
会社による研修やセミナーなどの受講でスキルアップするスタイル。

 

ジョブ型雇用で重視される「ジョブディスクリプション」とは?

ジョブ型雇用に必要な要素として、「ジョブディスクリプション」が挙げられます。ジョブディスクリプションとは、あらゆるポジションの職務内容を記した文書を指します。日本の企業の中でジョブディスクリプションに相当するもはありませんが、欧米諸国の企業では、採用するための評価基準や、日々の業務などで活用するため、なくてはならないアイテムとされています。ジョブディスクリプションに記載される項目は、主に以下の通りです。

・職務のポジション名
・目的
・責任
・内容と範囲
・求められるスキルや技能
・所持する資格

ジョブディスクリプションを作成する目的は、それぞれの従業員の職務が明確に規定され、誰が何をどうしたらいいのか?という曖昧さが回避されるため、業務上の効率がよくなり、人事を管理する上で非常にメリットがあると言われています。

また、従業員の成果は、ジョブディスクリプションに記述してあることを達成できたかとうかと客観視することが可能となるので、仕事の成果は正しく評価されやすくなり、評価の不満や不公平感が送りにくい仕組みとなっています。

ジョブ型雇用を採用する場合は、まずジョブディスクリプションを正しく理解し、求人する際はジョブディスクリプションを提示して専門性の高い人材を確保することがポイントとなります。

 

ジョブ型雇用についてセミナーで学ぼう

テレワークが急激に普及しつつあるこの社会状況とジョブ型雇用の相性はよく、多くの企業でジョブ型雇用の導入が検討されはじめています。ジョブ型雇用をもっとよく知るためには、セミナーがお薦めです。まずは、ジョブ型雇用の基本について学び、理解を深めましょう。

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【参照情報】
BOXIL
>>>ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型雇用との違い・注目されている背景

創業手帳
>>>ジョブ型雇用ってどんな制度?働き方の多様化で注目を浴びる理由

engage採用ガイド
>>>今さら聞けない「ジョブ型雇用」。注目の背景やメリットとは?