<「食の安全を守る規格」を取得しよう【1】> 食の安全に関する規格「HACCP」「ISO22000」「FSSC22000」それぞれの目的と違いについて
スーパーやコンビニなどで当たり前に流通し、日常的に食卓に上る「食品」は、誰も疑うことなく「安全である」ことが大前提となっています。「食の安全」が脅かされる時、例えば食中毒や異物混入などが発生した場合、そのリスクはダイレクトに消費者へと及び、その被害は甚大となります。そんな食の安全を守るために、日本には食品衛生に関する3つ規格を取得することが可能です。ここでは、「HACCP」「ISO22000」「FSSC22000」のそれぞれの目的や違いについて、解説いたします。
「HACCP」「ISO22000」「FSSC22000」それぞれの目的と違いについて<
食品衛生規格には、「HACCP」「ISO22000」「FSSC22000」と3つの種類があります。規格が生まれた経緯や概要などを見てみましょう。
●HACCP
HACCP(ハサップ)とは、「Hazard Analysis Critical Control Point」の略で、「危害分析重要管理点」という意味を持ちます。食品の製造と出荷に関する安全管理の手法のことで、2020年6月から「食品を扱う全事業者」に対して、義務化がスタートします。実際には1年間の猶予期間があり、2021年の6月から完全に制度化する予定となっています。HACCP、ISO22000、FSSC22000の中で最初に生まれた食品衛生規格で、工程ごとに危害が起こる可能性があるかどうかを分析し、可能性のある工程の監視や記録を実施します。例えば、食中毒やアレルゲンなどの「化学的な要因」を持つ危害や、異物混入などの「物理的要因」による危害を未然に防ぐための安全管理を実施します。
●ISO22000
ISO22000は、「食品安全マネジメントシステム-フードチェーンに関わる組織に対する要求事項」に関する国際基準規格を指します。HACCPのガイドラインの基準は、国や認証団体によって違いがある上、管理方法も業界や業者によってまちまちだったため、対応しきれていない現状もありました。そこで、HACCPにISO9001(品質マネジメントシステム)を融合させ、ISO22000規格が開発されたという背景があります。HACCPでは、「食品を扱う全事業者」でしたが、ISO22000ではさらに範囲が広がり「食品を扱う全業者とそれに関わる間接部門(包装材、人材派遣、クリーニングサービスなど)が対象です。
●FSSC22000
ISO22000はHACCPよりもガイドラインが統一されていましたが、それでも手洗いや消毒方法などは企業や業者の判断に任せていました。そんな中、重大事故が発生し、再演防止策として、より厳密に設定されうまれた規格がFSSC22000となります。対象の業種はISO22000と同じく「食品を扱う全業者とそれに関わる間接部門(包装材、人材派遣、クリーニングサービスなど)となっており、PRP(前提条件プログラム)を詳細にして、食の安全対策を推進しています。
前提条件プログラムとは?
「前提条件プログラム」とは、食品衛生の基礎となるものです。HACCP、ISO22000、FSSC22000で対応に違いがあります。
●HACCP
・項目→認証団体によって異なる
・内容→認証団体によって定めた基準に従う
●ISO22000
・項目→規格要求事項の中で取組むべき項目を明確にしている
・内容→具体的な内容は企業ごとに自由に選択肢を決めることができる
●FSSC22000
・項目→明確になっている
・TS22002(旧:PAS)シリーズに従う
ISO22000での前提条件プログラムは、「企業ごとに自由に選択肢を決めることができる」ことになっていましたが、それでは購買先の評価選定等が分かりにくくなると判断され、FSSC22000では、一定の基準として定められたTS2202シリーズに従うこととなりました。
ハザード管理に関する規定について
「ハザード管理」とは、科学的根拠に基づき、「食品加工の工程の中で発生しうる危険因子を事前に予測し徹底的に管理すること」を指します。ハザード管理には、「重点的な管理」と「日常的な管理」があります。
[日常的な管理]
●HACCP
・PP(一般的衛生管理プログラム)で日常的な衛生管理を実施する
●ISO22000/FSSC22000
・PRP(前提条件プログラム)で日常的な衛生管理を実施する
・OPRP(オペレーションPRD)通常のPRPよりも少し厳しくモニタリングと合わせて管理する
[重点的な管理]
●ISO22000とFSSC22000の場合
・CCP(重要管理を行うポイント)
「著しい危害」(金属異物が混入しそうなポイントや殺菌不良が発生しそうなポイント)が発生するポイントを集中して管理する
世界で通用する規格は?
食品関連の流通は、日本国内だけではありません。世界で通用するためには、国際的に通用する規格である必要があります。「HACCP」「ISO22000」「FSSC22000」は、世界で通用する規格なのでしょうか?「HACCPは厚生労働省が推進している「食品安全のガイドライン」ですが、「世界基準」としては通用しません。HACCPは規格としてではなく、そもそも「食品の安全を守るためのノウハウ」という目的で作られています。そのため、運用は国や認証団体、業者、に一任されており、統一されたガイドラインが存在しないため、「規格」としては世界的に信用を得ていません。そのHACCPの上位互換として誕生したのが国際規格であるISOが作成したISO22000であり、より厳密なルールを敷いたのがFSSC22000となります。HACCPは世界では通用しませんが、ISO22000とFSSC22000は国際規格として世界的に信頼があります。
食の安全を守る規格についてはセミナーを受講しよう
食の安全への関心は、年々高まっています。HACCPとはじめ、ISO22000、FSSC22000など、食の安全を守るための規格について学ぶにはセミナーがお薦めです。食の安全を守り、企業の品質を保つためにも是非受講してみてください!
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【参考サイト】
エミーオ
>>>ISO22000、HACCP、FSSC22000の違いとは
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>>>HACCP、ISO22000、FSSC22000の違いとは
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