<「食の安全を守る規格」を取得しよう【5】> より高い品質の食品安全規格を目指ための「FSSC22000」認証

「食の安全を守るための規格」として、2020年6月よりHACCPの導入が義務付けられていますが、HACCPはあくまでもノウハウであるため、食品安全のマネジメントシステムとしてISO22000認証が誕生しました。しかし、国際的に信用のあるISO22000認証を取得していても、食中毒や異物混入などのトラブルは発生してしまいます。より厳しく、より高い品質を継続的に保つために考えられた国際規格が、「FSSC22000認証」です。FSSC22000とは、どのような規格なのでしょうか?HACCPやISO22000との違いや、メリットについてまとめました。

 

FSSC22000とは?

「FSSC22000」とは、オランダに本部を置く「FSSC」という組織が、新しい食品安全の認証規格として策定した、食品安全マネジメントシステムの国際規格です。世界規模で食品安全レベルを一定以上に確保することを目的としており、GFSI(国政食品安全イニシアチブ)よって、食品安全規格のベンチマーク規格として承認されています。

 

HACCPやISO22000との違い

日本では、2020年6月にHACCPの導入が義務化されていますが、HACCPはあくまでも「日本国内で通用する食品安全管理ノウハウ」であり、国際的な規格ではありません。食品安全マネジメントシステムの国際規格といえば「ISO22000」が挙げられますが、ISO22000はGFSIのベンチマーク規格としては認められていません。ISO22000では、衛生管理ルールなどを組織側で決めることになっているため、判断基準に格差が生じるとして、ベンチマーク規格としての決定打に欠けることが承認されていない理由の一つとされてます。

他方、FSSC22000はGFSIが求める要求事項である「食品安全マネジメントシステム(FSMS)」「適正製造規範(GMP)」「ハザード制御(HACCP)」をすべて組み込んでおり、ISO22000よりも厳格な審査を設けているため「世界規模で食品安全レベルを一定以上に確保し、消費者に安全な食品を提供することを目的とした規格」として、GFSIより「国際標準規格」として認知されているのです。

 

FSSC22000の対象業種

FSSC22000では、以下の6つのカテゴリーの製品に関わる製造業が対象業種となります。
(1)ハム、ソーセージ、乳製品、水産加工品などの腐敗しやすい動物性製品
(2)果物、野菜ジュースなどの腐敗しやすい植物性製品
(3)ピザ、サンドイッチ、総菜など腐敗しやすい動物性及び植物性の混合製品
(4)缶詰、砂糖など常温保存品
(5)ビタミン、添加物などの化学製品
(6)直接もしくは間接的に食品に触れる包材資材

 

FSSC22000を運用する上で必要な対応

FSSC22000では、以下のような対応も必要となってきます。
(1)製造施設へ部外者が侵入しないようにするアクセス管理
(2)異物混入の管理
(3)製品情報の管理
(4)施設の構内に汚水だまりや、有害物質が発生する場所がないかなどの管理
(5)水・エネルギー・空気などの管理
(6)防虫防鼠対策

 

FSSC22000認証取得のメリット

FSSC22000認証取得には、どのようなメリットがあるのでしょうか?顧客やクライアント等の対外的メリット、従業員、関連会社などの対内的メリットは、以下のようになります。

●顧客やクライアントなどの対外的メリット
・新規市場へ参入しやすくなる
国際的な市場で、GFSI承認スキームをベースとした包括的なサプライヤー管理を行う食品メーカーや、流通チェーンなどを相手にした新規市場を舞台とする時、FSSC22000認証取得していることは信頼できる企業と認識されるため、参入がしやすくなります。

・取引の優位性が向上する
FSSC22000認証を取得していることは、消費者や取引先へ、安全・安心な製品・サービスの提供できる企業、という証明にもなるため、取引の優位性の向上へつながります。

・二者監査を円滑化することができる
FSSC22000では、国際基準に基づく前提条件プログラムを確立し、それを適切に運用することで、顧客による二者監査の円滑化を図ることが可能となります。

・サプライチェーン全体の管理が可能となる
FSSC22000による食品安全マネジメントシステムは、原材料調達からエンドユーザーまでなので、サプライチェーン全体を管理することができます。

●従業員・関連会社などの対内的メリット
・食品安全ハザードの明確化によるリスク回避
食品安全ハザードを明確化することにより、工程トラブルの予防措置、製品回収リスクの低減など、諸々のリスク回避につながります。

・フードディフェンス(食品防御)の強化
FSSC22000ではHACCPやISO22000よりも、厳格な品質管理を求められるため、フードディフェンスへの対応強化を図れます。

・製造工程の可視化による作業効率の改善
製造工程が可視化されることで、作業の一つ一つに人の目が行き届き、無駄な工程や、問題が起こりそうな工程を改善しやすくなるので、作業効率の改善に繋がります。

 

FSSC22000認証を取得するにはセミナーの受講がおすすめ

FSSC22000認証取得には、念入りな準備と取得に対して全社を挙げるぐらいの意識の高さが必要です。そのため、必要な取組や知識をセミナーで学んでみませんか?下記サイトにて、ISO22000やFSSC22000取得のために必要な講座を、各種ご用意しております。日本の未来を見据えた「食の安全」のためにも、ぜひご検討ください。

■WEBセミナーで受講したい方は『Deliveru(デリバル)』
>>>WebセミナーでHACCPの最新WEBセミナーを探す

■会場型セミナーで受講したい方は『ビジネスクラス・セミナー』
>>>最新のビジネスセミナーを探す
※サイトにアクセスしたら、「HACCP」「ISO22000」「FSSC22000」などでフリーワード検索してください。

 

【参照情報】
ISOプロ
>>>FSSC22000とは?HACCPとの関係性は?

FATANK
>>>【規格】初の食品安全の国際規格「FSSC22000」とは?

PERRY JOHNSON REGISTRARS
>>>FSSC22000(食品安全システム)のメリット

高薙食品衛生コンサルティング事務所
>>>「GFSI」を知ると、今の日本のHACCP制度化が見えてくる(後編)