<「食の安全を守る規格」を取得しよう【4】> HACCPをベースとした国際規格「ISO22000」について

消費者の「食の安全を守ること」は、食品に関与する全ての企業にとっての課題です。2020年6月よりHACCP(危害要員重要管理点)の導入が義務化されますが、HACCPは「食品の安全を守るため」のノウハウであり、国際的に通用するシステムではありません。海外との輸出入に頼っている日本としては、取引上で信頼されるためにも国際的に通用する食品衛生管理法も必要となります。そこでHACCPをベースに誕生した国際規格がISO22000です。ここでは、ISO22000の対象範囲や、メリット、その運用方法についてまとめてみました。

 

ISO22000の対象範囲とは?

ISO22000は、HACCPの「食品安全衛生管理」に加え、「品質管理」と「環境管理」の要素も組み合わせた「食品安全マネジメントシステム」の国際規格です。消費者へ安全な食品を届けることを目的としているのはHACCPと同じですが、安全な食品のサプライチェーンを保証するために作られた規格でもあるので、対象は広範囲に及びます。世界規模で食品安全に取り組むため、ISO22000では「農場から食卓まで食品に関するすべての過程において、食品危害を防ぎ食の安全を守る」ためのマネジメントシステムを、世界中の全分野に普及させることを目的としています。

●ISO22000の対象範囲とは
ISO22000の対象範囲は、以下の通りとなります。

・畜産・水産(動物)
・農業(植物)
・加工品1:腐敗しやすい動物性食品
・加工品2:腐敗しやすい植物性食品
・加工品3:常温での長期保存
・飼料生産
・ケータリング
・流通
・サービス
・輸送及び保管
・装置の製造
・化学製品製造(生化学)
・包装材製造

上記を踏まえると、以下のような業種がISO22000の対象範囲となります。

・農業、肥料及び動物用医薬品メーカー
・材料および添加物を生産するフードチェーン
・輸送/保管業者
・装置製造業者
・洗浄剤、殺菌、消毒剤メーカー
・包装材メーカー
・サービス提供者

また、ISO22000の範囲は「業種」だけでなく「食品に関わる人々」も対象となるため、製造現場のスタッフをはじめ、経営者、事務方、営業職、パート、アルバイトも範囲に含まれます。

 

ISO22000認証を取得することのメリットについて

ISO22000認証を取得するメリットは、以下の2点です。

(1)食を提供する際のリスクを減らす
ISO22000では、食の品質管理マネジメントを徹底するため、製造から出荷までの工程の中で、異物混入や食中毒などのリスクが発生しそうな場合はその箇所を突き詰め、リスクを未然に防ぐよう改善します。

(2)工程の可視化による業務効率向上や従業員の意識改革
原材料の保管方法、製造工程、検品、販売などをすべての作業を可視化することで、業務効率の改善や、潤滑な仕事の引継ぎ、迅速なクレーム対応など、従業員の食品安全に関する意識向上に繋がり、品質を継続的に維持しやすくなります。

 

ISO22000ではどのような「PDCA」を実施するのか

ISO22000では、どのようなPDCAを実施して品質管理をするのでしょうか。ISO22000:2018では、以下のような規格要求事項に沿ってPCDAを構築し、実施します。

【P】Plan:計画
●組織の整理(ISO22000:1018 4.1~4.4)
顧客に安全、安心なものを届けるという意図した結果に対して、様々な問題を以下の3つの観点を社内課題と認識し、「どの範囲で適用するか」ISO22000の適用範囲を決定します。

・食の安全性:HACCP手順を守る
・食品の防御:意図的な汚染や攻撃などからの脅威を防ぐ
・食品への信頼性:食品偽装を行わない

●リーダーシップを明確にする(5.1~5.3)
リーダーシップを明確にするには、トップマネジメント(経営陣)の関わりが必要です。トップマネジメントは、「食の安全を守る」という意思を「食品安全方針」としてアナウンスします。さらに組織内での各役割の責任や権限を明確にし、トップマネジメントはいつでも説明責任を持てるような心構えを要します。

●計画を作る(6.1~6.3)
組織が予期せぬ事態に陥った場合、それを「リスク」または「機会」と捉えて、対処すべきことを計画します。

●支援体制を整える(7.1~7.5)
食の安全や品質を守るためのプロセスを管理し、リスクや機械に対応できるよう、組織内に必要な支援体制を整えます。人材、インフラストラクチャー、環境、監視測定機器、知識などの組織内の資源や、教育訓練体制、コミュニケーション方法などを組織内で共有して、文書化し、組織外にいる第三者に対して明確に示す必要があります。

【D】Do:実行
●ISO22000を運用するための計画や手順を整える(8.1~8.9)
食品製造の現場では、様々な人の手が加わります。いつどこで食品危害が発生するかは、だれにも予測不可能です。食品危害を未然に防ぐためには、すべての工程を何等かの形で管理してリスクを減らします。組織の各部署や各担当において、「食品安全ハザード」の管理システムが常に機能しているように、通常業務の具体的な計画や手順を整えます。

●食品安全の基礎要件(8.2~8.4)
食品安全を守るための基礎要件として、「PRP(前提条件プログラム)」「トレースシステム」「緊急対応」の3つを整備します。

●ハザード分析(8.5)
Hazard分析は、HACCP12手順に基いて実施します。ISO22000では、製造の各工程を同じレベルで管理するのではなく、各工程での管理を実施します。ハザード分析したのちの管理レベルは、以下のように分類されています。

(1)重点的に管理が必要な工程はHACCPプランで管理する
(2)日常的に十分注意すべき工程はOPRPで管理する
(3)ハザード評価に関係ない基本的な衛生管理はPRPで実施する

●検証等(8.6~8.9)
確実にハザード分析が可能な体制を整えるために、運用開始前(妥当性確認)及び開始後(モニタリング記録の確認、是正処置記録の確認、製品検査、変更時の確認、監査など)に検証を実施します。

【C】Check:評価
●評価する(9.1~9.3)
製品やサービスを提供するプロセスに問題点がないかどうか、指標を定めて評価できるシステムを構築します。評価はトップマネジメントに報告し、報告を受けたトップマネジメントは、改善方法を見出し、プロセスの見直しを図ります。

【A】Action:改善
●改善する(10.1~10.3)
製品やサービスに「不適合」が発生した際に、その対処方法と是正処置について決めておき、いざというときに備えておきます。「不適合」は単に人的ミスやトラブルなどで発生するだけでなく、時代の流れや組織をとりまく状況によっても起こりうる可能性があります。時代に取り残されないためにも、システムをアップデートできるような仕組みづくりやマネジメントシステムの最適化が必要です。

 

ISO22000認証の取得をする前にセミナーを受講しよう

ビジネス上での信頼を高めるためにも、HACCPの導入を進めると同時に、国際基準であるISO22000認証の取得も視野に入れることをお薦めします。ISO22000認証を取得する前に、セミナーを受講し、メリットや仕組み、HACCPとの違いなどをより詳しく学びましょう。「食の安全」に注目が集まっている今、自社製品の品質を継続に維持するためにも、下記セミナーを是非ご活用ください。

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【参照情報】
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