<IT業界に良くある「請負契約」とはどんな契約?【2】> 「請負契約」「準委任契約」それぞれのメリットとデメリット 使い分けについて解説

「請負契約」は、「完成物(成果物)」を納品して報酬が発生するタイプの契約です。その特性上、請負契約は主に「製作する業務」において、用いられやすい契約形態でもあります。そして、同じような外部に発注する際の契約で「準委任契約」というものも存在します。「請負契約」と「準委任契約」の違いは、報酬発生するタイミングや、指揮命令権の有無にあります。どちらの契約形態も、IT業界で増えており、中には契約上のトラブルに発展するケースも少なくありません。「請負契約」と「準委任契約」には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?発注時のそれぞれの契約の使い分けなどを解説します。

 

請負契約のメリット・デメリット

●IT業界における請負契約のメリットは以下の通りです。

(1)発注側がクオリティの高い完成物(成果物)を入手しやすい
請負契約のメリットは、発注側が受注側に指定した基準の完成品(成果物)を製作してもらうため、発注側が求めるクオリティの完成品(成果物)を入手しやすいというメリットがあります。完成品(成果物)に納得がいかない場合は、瑕疵担保責任で修正もできるので、粗悪品を納品されて泣き寝入り、という心配もありません。

(2)開発コストを抑えることができる
例えば、企業が独自でシステム設計や開発などを行う場合は、それなりにコストがかかり、人材の育成費などを合わせると思った以上に費用が掛かる場合があります。その点、請負契約ならば、システムの開発を受注側に一任できる上に、納品物に対して報酬を支払うので、人材にかかるコストがかからず、開発コストを抑えることができます。

(3)受注側が「縛られない働き方」ができる
指揮命令権のない請負契約は、受注側にとってもメリットがあります。「完成品を納期までに納品する」という目標以外、製作過程や労働時間については不問とされるため、時間に縛られない働き方が可能となります。好きなタイミングで仕事が出来る為、上司や同僚などの人間関係に悩まされることもありません。

●請負契約のデメリット
IT業界における請負契約のデメリットは、以下の通りです。

(1)仕様変更が困難となる
請負契約のデメリットとしては、一度発注をしたら受注側に製造過程を一任してしまうので、発注後の仕様変更が難しいというデメリットがあります。例えば、設計に不備があった状態で依頼をしてしまうと「不備のある完成品(成果物)」が納品されてしまいます。発注する際は、発注する設計図や、資料などに間違いはないのか、よく確認する必要があります。

(2)エンジニアのスキルが向上しない
自社内でソフトウエアやアプリケーションを開発する場合は、それなりに手間もコストもかかりますが、社内エンジニアのスキルが向上するメリットがあります。しかし、外注をしてしまうことにより、自社内でその作業を請負う人がいないため、エンジニアが育たなというデメリットが生じてしまいます。社内のエンジニアを育成したいのであれば、請負契約で発注する業務と自社で行う業務の精査が必要となります。

(3)受注側は「成果」が絶対である
請負契約は、完成品(成果物)を納期に納品するまでは報酬が発生しません。また、瑕疵担保責任もあるため、修正には適宜応じる必要もあります。「成果」に対する責任は重く、評価されれば次の仕事にもつながりますが、評価されなければ仕事を失う恐れもあります。また、納期を遵守することも非常に重要となり、請負契約で仕事を続けるためには、高い意識と自覚もって取り組むことがポイントです。

 

準委任契約のメリット・デメリット

●準委任契約のメリット
IT業界における準委任契約のメリットは、以下の通りです。

(1)仕様変更に対応しやすい
請負契約のデメリットでも記しましたが、請負契約では発注時に設計などにミスがあっても、発注後では仕様変更が難しい側面があります。しかし、発注側に指揮命令権があり、業務の遂行がメインとなる準委任契約では、途中で仕様の変更があっても、柔軟に対応が可能となります。

(2)労働力を確保しやすい
準委任契約のメリットは、「業務に必要な労働力を確保しやすい」点にあります。例えば、システムの管理を依頼する場合などは、準委任契約で発注すると「業務のみを遂行してくれるエンジニア」を確保することが可能です。契約期間なども発注者の方で取り決められるため、繁忙期にだけエンジニアを集めるということができます。

●準委任契約のデメリット
準委任契約契約のデメリットは、以下の通りです。

(1)契約内容が曖昧になる
準委任契約の最大のデメリットは、「契約内容が曖昧になる」点です。「業務の遂行」が目的であり、そこには「成果」は求められていないため、発注側と受注側で契約内容の認識に齟齬が発生し、業務の進行や、支払いについてトラブルになるケースも多々あります。準委任契約で契約を結ぶためには、進行の進捗具合や報酬について細かな取り決めをしておくことがポイントです。

(2)納期のある仕事には向いていない
準委任契約は、「業務の遂行」で報酬が発生します。そのため、完成品(成果物)を求める業務には向いていません。ソフトウエアの設計からコーディングの仕事全てを準委任契約で発注してしまうと、完成品が納期まで仕上がらないことがあります。「完成品(成果物)」に重きを置く業務ならば、準委任契約ではなく、結果に対して責任を負う請負契約の方が良いでしょう。

 

外注契約形態の場合の「請負契約」と「準委任契約」の使い分け方法

「請負契約」と「準委任契約」のメリットとデメリットを理解した上で、システムの開発を外注する際には契約を使い分けることが重要となります。外注する案件を「案件定義」「外部設計」「内部設計」「プログラミング」「システムテスト」「運用保守」と6工程に分けた場合の、契約の使い分けを解説します。

①要件定義…準委任契約契約
②外部設計…請負契約
③内部設計…請負契約
④プログラミング…請負契約
⑤システムテスト…準委任契約
⑥運用保守…準委任契約

これを見ても分かる通り「設計」や「プログラミング」など「成果」を重要視する業務は「請負契約」、要件の定義や、システムテスト、運用保守など「業務の遂行」が優先される業務は「準委任契約」と棲み分けることが可能です。その上で、自社でのエンジニアを育成した場合は、この中の業務の一部を自社で請負う、もしくは、一部を外注するなど、内部で賄うことを検討することもおすすめします。

 

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【参照情報】
A-ATAR
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