【企業法務の基礎知識26 若葉マークの入門編】 「労働法」について② 労働者を守る法律「労働基準法」とはどんな法律?

お疲れ様です!いのりんです。

テレワークdayにもかかわらず、
お天気アプリの雨雲レーダーを確認してしまう台風接近日。

通勤の心配がないのはありがたいのですが、安否確認がモニター越しなのは、
おしゃべり好きな女子にとってちょっともの足りなさを感じます。

なんてことを思っていたら、
「いのりん、また雨雲レーダーチェックしてるでしょ」
とチームリーダーに行動がバレバレでした。

コミュニケーションが円滑すぎるのも考えモノ(苦笑)。

バレては仕方ないので、そろそろ法務のお勉強に参りましょう!
今回は「労働基準法」についてです!

●労働基準法(e-Gov電子政府の総合窓口
>>>労働基準法

 

「労働基準法」を把握していますか?

日本において労働に関する法律は数多く存在しますが、
「労働基準法」は最も認知度の高い法律と言えるでしょう。

しかし、労働基準法の内容をきちんと把握しているかどうか、
となると話は別です。

労働基準法は「労働者を守るため」の法律ですので、
雇用者はもちろん、労働者も正しく把握しておく必要があります。

まずは労働基準法とはどんな法律か?
というのを下記にて解説いたします。

●労働基準法とは?
戦後間もない昭和22年に制定された労働基準法は、
これまでの使用者優位での過酷な労働条件を課せられていた労働者を、
守るために生まれた法律です。

「使用者と労働者が対等の立場で労働契約を結び、労働者の権利や自由を保障する」
ことを主な目的とし、以下のような事が記されています。

(第一条)労働条件の原則
【第一条】
労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない

第二項  この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者はこの基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように務めなければならない(労働条件の決定)

労働基準法第1条では、
第1項にて法定労働時間や法定休日、最低賃金などを定め、
2項で「それらの基準をあくまでも最低限のものである」として、
それを上回る労働条件の提示を促しています。

この法律により、労働者は労働基準法以上の労働条件で働くことが保障されていますが、
例えば待遇が下がる原因が「景気の悪化による会社の業績低下」などを理由とした場合は、
それを許容するようになっています。

(第二条)労働条件の決定
【第二条】労働条件は労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである。
労働者及び使用者は労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない

第2条は「労働協約」についての内容です。

労働協約とは「使用者と労働組合が締結するもの」であり、
使用者と労働者が契約する「労働契約」とは別モノです。

労働基準法>労働協約>就業規則>労働契約の順番で守るべきものであり、
上位の基準を下回ってはいけません。

つまり、使用者と労働組合が「労働協約」で定めた基準よりも、
労働契約が低い待遇となることは認められないのです。

逆に、上位の基準を上回るものは問題ありません。
労働基準法の基準を上回る待遇であっても、
就業規則で定められているのなら就業規則が優先となります。

(第三条)均等待遇
【第三条】使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を李勇として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはならない。

第3条で記されている「信条」とは「政治理念や宗教」に該当します。

「社会的身分」は生来の身分、自分の戸籍などにある身分のことで、
土地や名前などで差別をしてはいけない、ということになります。

但しこの条件は「労働者」になってから有効である項目で、
就業前の書類審査や面接時の「雇い入れ」の状態は対象となっていません。

しかし、現実的に、面接時に宗教についての質問や本籍地を尋ねるなどの行為は、
「してはいけない」と指示されています。

(第四条)男女同一賃金の原則
【第四条】使用者は労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取り扱いをしてはならない

第4条では、「女性の賃金格差」について言及しています。

あくまでも「賃金」のみに関することで、
女性の雇用格差については「男女雇用機会均等法」にて定められています。

もちろん「男女同一」ですので、
男性側が性別を理由に低い賃金設定とされてしまうことも禁止されています。

(第五条)強制労働の禁止
【第五条】使用者は暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

労働基準法が制定された理由のひとつでもある「強制労働」ですが、
戦後は法規制が必要なほど横行していました。

とはいえ、昔の話に限らず、
今もどこかで行われているとは否定できませんので、
このような法令もある、と覚えておく必要があります。

(第六条)中間搾取の排除
【第六条】何人も法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

労働者の賃金を使用者が搾取する、
いわゆる「ピンハネ」という行為です。

この行為は第6条によって禁止されていますが、
「法律に基づいて」という条件が付くと、
許可を得た「有料職業紹介業」なら搾取は違反となりません。

労働者派遣も同様、条文の中の、
「他人の就業に介入」に該当しないため第6条の対象外となっています。

 

労働基準法における「労働者」と使用者」と「適用範囲」について

労働基準法には、「労働者」と「使用者」二つの立場があります。
「労働者」と「使用者」の定義とその「適用範囲」についてまとめました。

●「労働者」とは?
労働基準法において「労働者」とは「事業に使用され、
賃金を支払われるもの」と定義されています。

この定義に該当すれば職種関係なく、労働者の扱いとなります。

労働者とみなされるポイントは「事業に使用され」の部分です。
事業に使用されていない個人事業主や法人の代表者は労働者に該当しません。

●「使用者」とは?
「使用者」とは以下のような立場の人を指します。

(1)事業主
法人の場合は経営者を「事業主」と呼ぶのでなく、
「事業主=法人」となります。

(2)事業の経営担当者
法人の代表者や取締役など、事業経営の一般について、
権限と責任を負う人を「事業の経営担当者」と呼びます。

(3)事業主のために行為をする全ての者
「事業主のために行為をする全ての者」とは、
管理職など、労働者の指揮監督等について権限を与えられた人のことです。

中間管理職は、事業の為の管理者であり、
事業に使用されるものでもあるため「使用者」「労働者」双方の立場にいることとなります。

●労働基準法の適用範囲
労働基準法が適用される範囲についても説明します・

・適用事業
労働基準法は、事業の種類を問わず
「労働者を一人でも使用する事業」に適用されます。

企業の本体が全て請け負う「企業単位」ではなく、
事業する場所が離れていたら別事業扱いとなる
「事業単位」で労働基準法を適用させます。

同じ場所であっても、
工場内の食堂、売店、診療所などでは別事業扱いとなります。

・適用除外

労働基準法の適用除外扱いとなるのは以下の5つのパターンです。

(1)同居の親族のみを使用する事業
同居の親族だけの事業は、個人事業に等しいとみなされます。

労働基準法を適用するには、
最低一人でも同居の親族以外の人の雇用が必要です。

(2)家事使用人
昔から存在する「家政婦さん」という立場の人は、
家族の一員とみなされてしまうため、労働基準法の適用外扱いです。

家事代行サービスなどの「企業から派遣される家政婦」は、
家事代行サービス会社の労働者なので労働基準法が適用されます。

(3)一般職の国家公務員(行政執行法人の職員は除く)
国家公務員には、労働基準法ではなく国家公務員法が適用されます。

(4)一般職の地方公務員(一部除外)
一般職の地方公務員の場合、基本的には労働基準法が適用されますが、
地方公務員法が適用される部分は除外となります。

(5)船員法に規定する船員
船乗りの人も労働基準法が適用する部分と適用しない部分があります。

5トン未満の船舶、30トン未満の漁船は船員法が適用されないため、
労働基準法が適用されます。

 

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労働法で一番認知度が高いとされている労働基準法でも、
よくよく読み込むと、知らない定義があったり、
以外な適用範囲があったりと、中身についてまでは

知らない事がたくさんあります。
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次回は労働基準法に記載されている、
「賃金」「労働時間」「休日」などについて解説いたします。

お付き合いくださいませ!
いのりんでした♪

 

【参照情報】
ヒュースター労務サポート事務所
>>>労働基準法とは。労働関係の基本法規

マイナビニュース
>>>労働基準法とは?基本を解説