【企業法務の基礎知識27 若葉マークの入門編】 「労働法」について③ 「労働基準法」で押さえておきたい「賃金」と「労働時間」と「雇用」について
お疲れ様です!いのりんです♪
いま関わっているプロジェクトのグループ内で、
モーニングルーティンを紹介していくリレーをしていますが、
早朝からラーメンを食べる人、何はさておきゲームを起動する人、
てんやわんやで小学生のお子様を送りだす人と、
朝のカタチは人それぞれだなぁと感心しています。
すでに6人ほど紹介をしていますが、
これまでほぼ全員に共通している所作が「起きて最初にスマホを触る」でした。
次は私の番ですが、
「起きて最初にスマホを触る」7人目となりそうです(笑)
みなさんのモーニングルーティンは、
どのような感じなのでしょうか?
スッキリと朝を迎えたら、法務のお勉強ですよ~。
さあ今回のテーマも労働基準法。
労働基準法は、
「使用者と労働者が対等の立場で労働契約を結び、労働者の権利や自由を保障する」
ことを目的として定められています。
“労働者を守るため”に生まれた労働基準法の中で、
賃金、労働時間、休日などはどのように設定されているのでしょうか?
【参考】
●労働基準法(e-Gov電子政府の総合窓口
>>>労働基準法
労働基準法における「賃金」での「5つの原則」
「賃金」は「働く目的」の一つであり、
自身の生活に欠かせない要素でもあるので、
最も関心の高い事項ではないでしょうか?
労働基準法では、
会社による不当な賃金不払いなどが起きないように、
「5つの原則」が定められています。
(1)直接払い
原則賃金は、
労働者本人に「直接払い」をすることになっています。
配偶者の口座への振込依頼はもちろん、
実の親でも「本人以外」とみなされ、支払いは認められません。
(2)通貨払い
「通貨払い」とは、
日本国の現金で支払うということです。
同額相当の自社製品で支払うなどの「現物支給」は、
労働の対価としては認められません。
近年は現金払いではなく銀行口座への振り込みが一般的ですが、
労使協定で同意を得られている場合は、振込が認められています。
逆に、労使協定で同意を得られていない場合は、
振込は認められません。
(3)全額払い
働いたら働いた分の賃金をもらう。
「全額払い」とは、
このようなごく当たり前な労働者の権利を指す取り決めたものです。
会社の業績悪化を理由に、一方的に賃金の一部をカットする、
控除するなどの行為をしてはいけないことになっています。
控除が認められているのは、
あらかじめ労使協定で取り決められている社宅代や社員旅行積立代などです。
また、遅刻や欠勤を理由にカットする場合は、
「労働の対価」ではないので、控除するしないは会社判断となります。
(4)毎月払い
今では当たり前の「毎月払い」も、
昔は3か月ごとや半年ごとの支払いが横行していました。
労働基準法では労働者の生活を安定させるためにも、
1ヵ月に必ず一度以上は賃金を支払うよう取り決めています。
(5)一定期日払い
毎月払いであっても、
ときには月末日であったり、月の半ばであったり、
賃金の支払いが一定でない場合は労働者の生計が成り立ちません。
「一定期日支払い」では、
このような不定期払いを防ぐために、
一定期日に賃金が支払われるように取り決められた項目です。
【割増料金について】
割増料金については、
「時間外労働・深夜労働は25%の割増賃金、休日労働は35%の割増賃金を支払う必要がある」
と定められていましたが、
2010年の改正で「時間外労働」について、
「60時間を超えた場合の割増賃金を50%に引き上げる」
もしくは、
「労使協定を結んだ上で引上げ分について有給休暇を付与する」
と変更になっています。
中小企業については、法定割増賃金率の引き上げが猶予されてますが、
2022年4月1日より割増賃金率の適用猶予が廃止される見込みとなっています。
労働基準法における「労働時間」の取扱い
労働基準法において、
労働者が働く時間、労働時間は、
どのような取扱いとなっているのでしょうか。
下記にまとめてみました。
●労働時間の原則
労働時間の原則は、
「1週間に40時間、1日に8時間まで」と取り決められています。
この時間を超えた場合は「時間外労働」の取扱いとなり、
使用者は残業代あるいは割増賃金を支払わなければなりません。
病院や旅館など、労働時間が特殊となる業種で、
常時雇用する従業員が10名以下の事業所の場合は、
1週間の所定労働時間が44時間まで認められています。
●変則的な労働時間について
業種の中には、労働時間を一定にするには難しい場合もあります。
そのような業種には、
「変形労働時間」
「フレックスタイム制」
「事業場外みなし労働時間制」
「裁量労働制(専門業務型企画業務型)」
などの制度を設け調整するようになっています。
・変形労働時間
「変形労働時間」とは、
月・年単位で労働時間を計算する制度のことです。
1週あたりの労働時間を平均し、
法定労働時間を超えない範囲であれば、
自由に労働時間を決めることができます。
1週間に40時間以上働いたとしても、
平均して1週間に40時間の法定労働時間を超えていなければ、
使用者に残業代や割増賃金を支払う義務が生じません。
・フレックスタイム制
「フレックスタイム制」とは、
労働者が自分で始業時間と就業時間を決める制度です。
導入するには使用者と労働者で労使協定を結び、
1ヶ月以内一定期間において、1週あたりの平均労働時間が、
法定労働時間を超えない範囲で所定の労働時間を定めます。
その範囲の中で、
労働者が始業時間や就業時間を自由に決めることが可能です。
・事業場外みなし労働制
「事業場外みなし労働時間制度」とは、
あらかじめ定めておいた労働時間を「働いたとみなす」制度を指します。
営業や現場など、
外勤が多く労働時間が管理できないタイプの業種に用いられます。
・裁量労働制(専門業務型/企画業務型)
「裁量労働制」とは、業種の人が会社の指示ではなく、
労働者が自分の裁量で仕事を行うケースで採用される制度です。
クリエイターや研究者などは「専門業務型」の裁量労働制をとり、
会社の経営状態や経営環境などによって、
調査や分析を行い経営に関する計画を策定する業務を実施する人は、
「企業業務型」の裁量労働制を用います。
労働基準法における「休日」の取扱い
労働基準法においての「休日」「休日労働・時間外労働」についてもまとめました。
●休日について
労働基準法で決められている休日は、
原則「毎週1日以上」もしくは「4週間で4日以上」です。
週休1日でも労働基準法違反にはなりません。
週6日勤務の場合、
所定労働時間が9時から16:30、休憩時間が時間とすると、
労働時間6時間30分×6日で39時間労働と換算され、
「1週間40時間」という労働時間からはみ出さないため、
週休1日でも問題ない、ということになります。
●休日労働・時間外労働について
業務内容や業種によっては、
法定で定められた時間や休日以外にも
仕事をしなければならない状況となる事が多々あります。
その場合は、
「休日労働」や「時間外労働」が適用されます。
労働基準法第36条では、
使用者が労働者に休日労働や時間外労働をさせる場合は、
労使協定を結ぶ必要があると定めており、
これを「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。
労働基準法での「解雇」の取扱い
使用者が労働者を解雇するときは、
「30日以上前に予告するか、30日分いこうの平均賃金の支払いをしなければならない」
と定めています。
労働者の能力不足を理由に解雇を検討している場合、
いきなり解雇を言い渡してしまうと、
後に裁判などで不利になる場合があります。
解雇の前段階として、まずは使用者側の努力として、
まずは話の聞き取りや配置転換、再研修などの対策が求められています。
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労働基準法は、労働法の基本中の基本です。
使用者にも労働者にも必要な法律が詰まっています。
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法改正などに対応するためにもセミナーが役に立ちます。
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次回は「労働基準法違反トラブル」についてがテーマとなります。
引き続きお付き合いくださいませ。
いのりんでした♪
【参考サイト】
ビジドラ
>>>労働基準法とは?知らずに違反しないためのポイント
マイナビニュース
>>>労働基準法とは?基本を解説