【企業法務の基礎知識28 若葉マークの入門編】 「労働法」について④ 自分の職場は大丈夫? これが労働基準法の罰則規定だ
お疲れ様です!いのりんです♪
ラーメン好きのチームリーダーが、
「今日の重要事項」として申し送ってきたメールに、
「幸楽苑でロボット配膳の実証実験スタート。チームとして今後の動向を見守る」
と書かれていました。
添付されていたニュースによると、
AIを活用した非接触型の自動配膳ロボットは、
店舗側がタッチパネルで移動先を指示し、
客席でラーメンを受け取った客がロボットに手をかざすと、
厨房まで自動で戻るという、
とても賢いロボットだそうです。
こう見えて、私、賢いロボットに目がないので、
いつか実装されたらチームで視察に行こうという話で盛り上がってます♪
…なんて言っていますが、ウチのプロジェクト、
ラーメンもロボットも関係ないんですけどね(苦笑)
さあ、雑談はさておいて、
法務のお勉強へ参りましょう♪
色々紐解いてきた「労働基準法」ですが、
最後に「罰則規定」について解説いたします。
【参考】
●労働基準法(e-Gov電子政府の総合窓口
>>>労働基準法
労働基準法の「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」
労務トラブルの多くは、
使用者が提示している「労働条件」を知らないことが原因で起こっています。
労働基準法は労働者を守る法律ですが、
「労働条件」は労総契約や就業規則により定められており、
使用者は労働者に労働条件を明示しなくてはいけません。
逆に、使用者が労働条件や労働契約を明示していても、
最優先は労働基準法ですので、
条件や契約が労働基準法に違反をしていた場合、
使用者は罰せられることになります。
使用者は労働基準法に基いて労働条件や労働契約を明示し、
労働者はそれをよく把握しておく必要があるのです。
「労働条件」や「労働契約」を結ぶ際には、
必ず記さなければいけない「絶対的明示事項」と、
必要であれば記す「相対的明示事項」があります。
●絶対的明示事項
(1)労働契約の期間に関する事項
(2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準
(期間の定めのある労働契約であってその労働契約の期間終了後に労働契約を更新する場合がある契約に限る)
(3)就業の場所、従事すべき業務に関する事項
(4)始業、就業の時刻、所定労働期間を超える労働時間の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
(5)賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期、昇給に関する事項
(6)退職に関する事項(解雇の事由含む
「絶対的明示事項」は、
「雇用契約書」や「労働条件明示書」などの名目をつけ、
書面で明示しなければなりません。
企業によっては、
「「就業規則」の中で明示しているケースもあります。
●相対的明示事項
(7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払い時期に関する事項
(8)臨時に支払われる賃金、賞与等、最低賃金に関する事項
(9)労働者に負担させるべき食費、作業用品などに関する事項
(10)安全及び衛生に関する事項
(11)職業訓練に関する事項
(12)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(13)表彰及び制裁に関する事項
(14)休職に関する事項
労働基準法の罰則規定とは?
具体的にどのような行為が労働基準法違反となり、
罰則を受けてしまうのでしょうか?
罰則となる行為とその法令の例をご紹介します。
法定時間を超えて労働をさせた場合
労働基準法では原則として、
「1日8時間、1週間に40時間」以上働かせてはならないとしています。
労使協定で36協定を結んでいれば時間外労働をさせることが可能ですが、
36協定を結ばずに時間外労働をさせると労働基準法第32条違反となり、
労働基準法119条の罰則規定により、
「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑」となります。
●休憩を与えずに労働をさせた場合
労働者には休憩時間が必要です。
使用者は労働者に対して、
「労働時間が6時間を超える場合に45分、8時間を超えるときに1時間の休憩を与えなければならない」
と定められています。
休憩時間を与えずに働かせ続けた場合は、
労働基準法第34条違反となり、労働基準法119条により、
「6か月以下の懲役又は30万以下の罰金刑」が課せられます。
●労働者の意思に反する労働の強制等
働く意思のない労働者に対し、
使用者が強制的な労働を強いた場、
労働基準法第5条違反となり労働基準法第117条によって
「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金刑」
となります。
●社会的な身分や性別での差別
労働基準法では、
労働基準法第3条の「均等待遇」と第4条の「男女同一賃金の原則」により、
労働者を社会的な身分や性別で差別的に扱うことを禁じています。
これに違反し、労働者に対して差別的な扱いをすると、
労働基準法119条によって、
「6か月以下の懲役または30蔓延以下の罰金刑」が課せられます。
●中間搾取の排除(ピンハネの禁止)
使用者は労働者と雇用者の間に入り、
賃金を中間搾取するいわゆるピンハネ行為を禁止しています。
違反すると労働基準法第16条違反となり、労働基準法119条により、
「1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑」が課せられます。
●予告なしの一方的な解雇
労働基準法20条によると、使用者が労働者を解雇する時は、
必ず1か月前に解雇予告をする必要があります。
それができない場合は、
不足日数分の解雇予告手当を払わなければなりません。
これに違反し、予告なしの一方的な解雇をすると、
労働基準法第119条により「6か月以下の懲役又は30万円かの罰金刑」となります。
労働基準法違反はどのように発覚するのか
労働基準法違反の多くは、
都道府県労働局などに設けられている総合労働相談コーナーへ寄せられた相談や、
管轄労働基準監督署への通報など、
労働者側からのアクションがきっかけで発覚しています。
そのプロセスは以下の通りです。
①労働者が管轄労働基準監督署へ通報
↓
②労働基準監督署より会社へ立入調査(臨検)
↓
③法違反の発覚
↓
④労働基準監督署より是正や改善などの行政指導
④の行政指導は、
問題個所が改善する限り続きますが、
改善が見られない場合や悪質な場合は、
「労働基準関係法令違反に係る公表事案」に基き、
厚生労働省のHPに社名及び、
違反内容が公表される場合があるとのことです。
労働基準法違反による社名の公表や罰則などは、
顧客はもちろん、取引先からの信頼を失い大きな損失となります。
また内部でも人材流出や、
新規採用者が来ないなどの恐れもあります。
企業の社会的信頼を維持し続けるためにも、
労働基準法を正しく理解しておく必要があります。
労務トラブル対策にセミナーはいかがでしょうか?
労働者による労働基準監督署への駆け込みがきっかけで、
労働基準法違反が発覚し、
行政指導を受ける企業は後を絶ちません。
労働時間等に関しては働き方改革による改正案などもあり、
企業の対応力が問われる時期でもあります。
法改正についていけるよう、
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労働基準法については以上となります。
また次回もお付き合いくださいませ!
いのりんでした♪
【参考サイト】
ビジドラ
>>>労働基準法とは?知らずに違反しないためのポイント
労働問題弁護士ナビ
>>>労働基準法違反となる15のケースとそれぞれの罰則
マイナビニュース
>>>労働基準法とは?基本を解説