【企業法務の基礎知識42 いのりんの法務コラム】 令和3年税制改正では何が変わる?法人課税編① 産業競争力強化に係る措置

お疲れ様す!いのりんです♪

時の流れ早いもので、
一時的なものと楽観視していた在宅ワークにもすっかり慣れきってしまいました。

外出が減ったおかげで、冬用の化粧品をまだ使い切っていません!
次買う時は、春用をすっ飛ばして、夏用を買うことになりそうです。

あれ?でも私、化粧品に関しては毎年同じこと言ってるかも(汗)
春になっても平気で冬用を使ってたりしました。だってもったいないし。

では、おしゃべりはこれくらいにして、
企業法務のお勉強へ参りましょう!

 

毎年何かしら、政府による法改正が実施されていますが、
コロナ禍で社会のしくみが大きく変わりつつある今、
あらゆる法改正が実施されようとしています。

今回は、令和2年12月に公布された「令和3年税制改正大綱」より、
今後順次施行される税制改正の中で、
特に企業に関わりのある項目をピックアップしてご紹介しようと考えました。

まずは「産業競争力強化に係る措置」として、
以下の4つの改正についてご紹介します!

①デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設
②カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設
③コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し
④繰越欠損金の控除上限の特例

 

①デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設

ビジネス関連書類の電子データ化が進む中で、
デジタルトランスフォーメーション(DX)は避けて通れない道です。

「デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設」では、
DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資を行った場合、
「投資額に対して特別償却30%又は税額控除3%(一定の場合は5%)の措置」が講じられる、
という制度です。

[制度の解説]
青色申告法人で産業競争力強化法の改正による「事業適応計画(仮)」の認定を受けた法人が、
事業適応計画(仮)の認定を受けたソフトウエアや機械装置を導入する際などに係る費用(繰延資産)を支出した場合、「その対価の額に対し、30%の特別償却と3%の税額控除との選択適用」が可能となります。

[認定要件]
・デジタル(D)要件
①データ連携・共有
(他の法人等が有するデータ又は事業者がセンサー等を利用して、
新たに取得するデータと内部データとを合わせて連携すること)

②クラウド技術の活用

③情報処理推進機構が審査する「DX認定」の取得
(レガシ―回避・サイバーセキュリティ等の確保)

・企業変革(X)要件
①全社の意思決定に基づくものであること
(取締役会等の決議文書添付等)

②一定以上の生産性向上などが見込まれること等

[注意点]
・対象資産の取得価額の限度は合計300億円です

・税額控除の場合、グループ外事業者とデータ連携する場合の控除率は5%です。
控除限度額は、カーボンニュートラル投資促進税制の税額控除額との合計で法人課税×20%が限度です。

[適用時期]
産業競争力強化法の改正法の施行日から令和6年3月31日までの間に取得等をし、
事業の用に供した資産に適用されます。

 

②カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設

世界で取組む課題とされている、
2050年までの温室効果ガス排出をゼロにする目標「カーボンニュートラル」に向け、
産業競争力強化法において想定される予定の
「中長期環境適応計画(仮称)」に基づき導入される一定の設備について、
「投資額に対して特別償却50%又は税額控除5%(一定の場合は10%)」の措置が講じられる、
という精度です。

[制度の解説]
青色申告法人で産業競争力強化法の改正による「中長期環境適応計画(仮称)」の認定を受けた法人が、
その認定を受けた「中長期環境適応生産性向上設備」又は「中長期環境適応需要開拓製品生産設備」を取得した場合に、その対価の額に対して「50%の特別償却」か「5%の税額控除」のどちらかの選択適用が可能となります。

[注意点]
・対象資産取得価額の限度額は合計500億円です

・税額控除率10%は、温室効果ガス削減に著しく資するケースが該当します。
控除限度額は、デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の税額控除額との合計で、
法人税額×20%が限度です。

[適用時期]
産業競争力強化法の改正法の施行日から令和6年3月31日までの間に取得等をし、
事業の用に供した資産に適用されます。

 

③コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し(人材確保など促進税制)

コロナ禍において、雇用環境の悪化に対応するため、
新規雇用拡大・教育訓練支援に着目した形で見直しを実施します。

具体的に解説しますと、新卒・中途採用による外部人材の獲得や、
人材育成への投資を促進する目的で、
新規雇用者の給与等支給額及び教育訓練費が増加した場合に、
税制控除ができるという制度です。

[現行制度との相違点]
<現行:中堅・大企業向け賃上げ税制>
(通常要件)

継続雇用者給与支給額が前年度より以上増加かつ国内設備投資額が減価償却費の95%以上

(措置内容)
雇用者給与等支給額の増加額の15%を税制控除

(上乗せ要件)
教育訓練費が過去の2年度平均より20%以上増加

(措置内容)
控除r津を5%上乗せ(控除上限は法人税額の20%)

<改正案:人材確保等促進税制>
(通常要件)
新規雇用者(新卒・中途)給与等支給額が前年度より2%以上増加

(措置内容)
新規雇用者給与等支給額(雇用者給与等支給額の増加額が上限)の15%を税額控除

(上乗せ要件)
教育訓練費が前年度より20%以上増加

(措置内容)
控除率を5%上乗せ(控除上限は法人課税の20%)

[適用時期]
令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。

 

④繰越欠損金の控除上限の特例

コロナ禍で厳しい経営環境を強いられる中、
赤字でも果敢に前向きな投資にチャレンジする企業に対して、
その投資額の範囲内で最大5年間、
繰越欠損金の控除限度額を最大100%とする特例が創設されます。
欠損金の控除上限が50%になっている大企業が対象です。

[制度の解説]
・対象法人
事業適応計画(仮称)の認定を受ける青色申告法人

・欠損金
特例対象欠損金(令和2年4月2日から令和3年4月1日までの期間内の日を含む
事業年度において生じた青色欠損金、2年間)であること

・適用事業年度
適用事業年度は次の①~③の全てに該当する事業年度であること

①特例対象欠損金が生じた後、最初に所得が生じた事業年度から5年以内の開始事業年度
②事業適応計画の実施時期を含む事業年度
③令和8年4月1日以前の事業年度

・控除額
所得の50%超の欠損金を控除対象とできるのは事業適応計画による投資額に達するまで

[適用時期]
原則として「令和2年4月1日から令和3年4月1日までの期間内の日を含む
事業年度において生じた青色欠損金額について一定の適用事業年度において」の適用となります。

 

令和3年税制改正を知るにはセミナーで!

令和3年の税制改革はご紹介した項目以外にもあります。
概要の把握や、現行法との違いなどを知るためには、セミナーがお薦めです!

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これからのビジネスに備えましょう!

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次回は、令和3年税制改正の中の、
「納税環境整備や中小企業の支援」などについて解説します。

またお会いしましょう。
いのりんでした♪

 

【参照情報】
財務省
>>>令和3年度税制改正の大綱概要

OBC360°
>>>2021年(令和3年度)税制改正大綱 法人に関するポイント