【企業法務の基礎知識10】 若葉マークの入門編 「会社法を紐解こう⑦」~いざ株主総会 株主招集の決定から招集通知発送~

お疲れ様です!いのりんです♪

家電ショップでお試しのマッサージチェアがあると、
ついつい引き込まれてしまいます。

先日、最新鋭マシンを試したのですが、いいですね~アレ♪
自分の部屋にあったらいいな~と思いつつ、家ではアロマ足湯でガマン。

なんでも、大手マッサージチェアメーカーでは、
マッサージロボットを開発中なんだとか。

福祉施設での実用化を目指しているそうですが、
自分の部屋に一体欲しいなあ~。

マッサージ以外にも「おかえりなさい」って出迎えてくれて、
ご飯作ってくれて、洗濯もやってくれて…ってそれもう、万能ロボですね(苦笑)

そんな夢見ながら、今日も企業法務のお勉強です!
まだまだ「会社法」お付き合いくださいませ~♪

 

【会社法を紐解こう!】

さあ、いよいよ「株主総会」に迫ります。

今回は、「株主招集の決定から招集通知発送」について、ご紹介します!
まずは、毎度おなじみ「会社法」のおさらいから!

◎「会社法」はこんな法律◎
法令番号:平成17年7月26日法律第86号
最終更新:令和元年5月17日公布(令和元年法律第2号)改正
種類:商法
所管:法務省

会社法の全文はこちらで確認できます!

■電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)
>>>「会社法」

 

“株主総会開催の原則”とは?

会社法310条第1項によると、

「株主は代理人によって、その議決権を行使することができる。
 この場合においては、当該株主又は代理人は、
 代理権を証明する書面を、株式会社に提出しなければならない」

と定められています。

「株主総会」は、一定の例外を除いて、書面で行うことはできずに、
実際に株主を集めて、「株主総会を開催」しなければなりません。

株主総会が招集されたら、株主は出席しなければなりませんが、
招集通知に添付されている委任状を提出すれば、
代理人に出席してもらうことも可能です。
これが、「株式総会開催の原則」となります。

しかし、会社法319条にて、

「株主総会の決議・取締役又は、
 株主総会の目的である事項について提案をした場合において、
 当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができる)の全員が、
 書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、
 当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす」

とされています。

これを簡単にご説明しますと、
株主総会の「決議目的たる提案」に対して、
株主全員が書面または電子メールなどの電磁的記録により、
同意を意思表示したときは、「株主総会の決議があったもの」とされます。
つまり、原則が緩んだ形となっているわけです。

とはいえ、議事録となれば話は別で、
書面や電磁的記録による同意だとしても「議事録の作成は必要」と、
会社法施行規則72条4項1号にて記されています。

 

株主総会招集の決定方法

株主総会の開催は、会社法に沿って招集・決定されます。
その方法は、「取締役会設置会社」と「取締役会非設置会社」では、違いがあります。

●取締役会設置会社の場合
「取締役会設置会社」の場合は、まず「取締役会」を開いて、
株主総会の招集を決定すると、会社法298条4項で定められています。
実際の招集は、代表取締役が実施します。

●取締役会非設置会社の場合
「取締役会非設置会社」の場合は、
取締役が株主総会を招集できると、会社法296条3項で定められています。

取締役会がなく、取締役が複数存在すうる場合は、
会社法348条2項にて、取締役の多数決で招集を決定すると記されており、
続いての会社法348条3項3号によると、
各取締役には、決定を委ねることはできないとなっています。

あくまでも多数決が重視される、ということですね。

 

株主総会招集にあたり「決定すべき事項」とは?

株主総会を招集する場合は、「招集」だけを決定するのではなく、
他にも「決定すべき事項」があります。

●決定事項の概要(会社法298条1項、4項)
株主総会を招集する場合は、以下の事項を定めなければなりません。

①株主総会の「日時」「場所」
②株主総会の「目的である事項」があるときは、その事項
③株主総会に出席しない株主が、
 「書面によって議決権を行使することができる」こととするときはその旨

④株主総会に出席しない株主が、
 「電磁的方法によって議決権を行使することができる」こととするときはその旨

⑤その他法務省令で定める事項

補足として、「取締役設置会社」は、
「目的事項(議題)のみを決議することができる」と、
会社法309条5項で定められているので、
目的事項(議題)は必ず決めることとなっています。

●株主総会開催時期について
株主総会は、「定時株主総会」と「臨時株主総会」があります。

「定時株主総会」の開催時期については、会社法296条1項で、
「定時株主総会は毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」
と定められていますが、一般的には、
事業年度終了後3カ月以内に、開催している企業が多いようです。

他方で「臨時株主総会」はいつでも開催ができます。

●株主総会の開催場所について
会社法以前の旧商法では、旧商法233条にて、
「本店(本社)の所在する市区町村か隣接する市区町村」と、
株主総会の開催場所が限られていましたが、
現在の会社法298条1項1号では、どこで開催してもOKとなりました。

ただし、本社や本店からあまりにも遠方の場合は、理由説明を要する場合がある、
と会社法施行規則63条で、定められています。

また、時代のニーズに合わせ、会社法施行規則72条3項1号で、
一部の役員、株主がテレビ会議システムなどで、
株主総会に出席することも、認められるようになりました。

 

「株主総会招集通知」とは?

●「招集の通知」方法
会社法299条によると、株主総会を招集する場合には、
「招集の通知」が必要となります。

取締役会設置会社の場合は、「書面」での通知が必要となりますが、
あらかじめ株主の「書面」または「電磁的方法による承諾」がある場合は、
電子メールなどの電磁的方法によって、招集通知を発行することが可能です。

「非公開会社」「取締役非設置会社」の場合で、書面投票、電子投票を採用しない場合は、
「書面」という縛りはなく、口頭や電子メール、電話などで招集の通知ができると、
会社法299条2項に記されています。

このほか、株主全員の同意があり、かつ書面投票・電子投票を採用しない時は、
招集の通知をせずに、株主総会を開催できるとのことです。

●招集通知を発すべき期間
株主総会招集通知を発すべき期間は、会社のタイプによって違いがあります。

・「公開会社」・・・2週間前

・株主総会に「出席できない株主」の「書面議決」
 または「電磁的方法での議決」を定めた場合・・・2週間前

・株主総会に「出席できない株主」の「書面決議」
 または「電磁的方法での議決」を定めなかった「非公開会社」・・・1週間前

・取締役会を設置していない会社・・・定款で一週間を下回る期間を定めることができる

2週間前というと、
「4月15日」に株主総会を開催するなら「4月1日」に発すればいい、
と思いがちですが、
株主総会の期間計算においては「初日不算入」の原則がとられ、
4月1日でなく3月30日までに招集通知を発する必要があるとのことです。

 

株主総会招集通知の提供書面について

株主総会の招集通知には、どのようなことが書かれているのでしょうか?
下記にまとめてみました。

●株主総会招集通知に記載される内容
「会社法施行規則63条」によると、株主総会招集通知には、
「開催日時」「場所」「議題」「提出議案」などを記載します。

株主総会の中で書面投票ができる旨を定める場合は、
所定の自王を記載して、必要書類も一緒に添付します。

また、株主総会招集通知には、
「発信日付」「招集通知の宛名」「標題」など、形式的事項の記載も重要です。

●「議題」について
議題とは、「株主総会で決議されること」です。
招集通知を受取った株主が、ひと目でわかるように簡潔に記します。

一つの議題に対し、重要な事項であることを伝える場合は、
「議題」のほかに「議案の要領」として、具体的に記す必要があります。

会社法施行規則63条7項で示されている
「議案の要領」が必要な事項の一例は以下の通りです。

○ 役員等の選任
○ 役員等の報酬等
○ 事業譲渡等
○ 定款の変更
○ 合併
○ 吸収分割
○ 株式交換
○ 株式移転

 

招集通知に添付する「計算書類」「事業報告」とは

会社法437条によると、取締役会設置会社では定時株主総会の招集に際して、
「計算書類」と「事後報告(監査報告・会計監査報告含む)」書類を、
招集通知に添付しなければなりません。

万が一、事後報告の内容に修正が発生した場合でも、
「修正後の事項を株主に周知させる方法を通知することができる」と、
会社法施行規則133条6項、計算規則161条7項、162条7項で定められています。

あらかじめ修正の方法を周知しておくことで、
実際に修正の必要が生じた場合に、
再通知などを用意する手間が省ける、ということになります。

通知の方法は会社の公式HP上や、
官報、公告に用いている日刊新聞氏に記載します。

 

委任状にもルールがある?

「委任状」は、事情があって株主総会に参加できない株主にとって、重要な書類です。

この「委任状」にも会社法によってルールが定められており、
要件に違反すると委任状が無効となってしまいます。

会社法310条2項によると、
「委任状取得は総会ごとに必要」と記されています。

委任状は、1回の株主総会につき1通が原則で、
同じ委任状を複数回使いまわすことはできません。

また、会社法310条6項によると、議決権の代理行使があった場合は、
総会終結の日から三か月間、委任状を本店に据え置いて、
株主の閲覧・謄写の要望があったら、それに応じなければならないとされています。

 

株主総会招集通知作成についてはセミナーで!

いやはや。

株主総会について、ここまで細かくやることがあり、
しかも、会社法で定められているとは、思いませんでした。

株主総会をスムーズに開催するためにも、
株主総会招集通知作成方法を、しっかりと把握しとかなければなりません。

独学で学ぶのもいいのですが、
勉強しながらでてきた疑問・質問をクリアにしてくれるのが、セミナーです。
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次回は「株主総会の議事進行」についてお勉強します。
また、一緒にがんばりましょ~♪

いのりんでしたぁ~。

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【参考サイト】
VERY BEST 企業法務コラム
>>>株主総会対策と事後手続きのポイント

弁護士法人クラフトマン
>>>株主総会の概要と流れ

>>>株主総会招集通知と委任状

>>>株主総会招集決定の諸問題