【企業法務の基礎知識5】 若葉マークの入門編「会社法を紐解こう②」~株式の種類はたくさんある?「種類株式」とは~

お疲れ様です!いのりんです♪

企業法務の基礎知識も早5回目。

堅苦しい法務用語にもなんとか愛着が湧いてきて、
ボリュームある文章でも「ダメッ!ムリッ!」と即閉じすることはなくなりました!

…と、ランチをご馳走してくれた元先輩3号さんに言ったら、

「いのりん、それ上司の前では言わない方がいいよ(苦笑)」

とやんわり諭されました。

たしかに、法務担当なら法律を読み解くなんて、
朝飯前でないといけませんよね。

先輩3号さん、アドバイスありがとうございました!
企業法務ビギナー娘は、今回もがんばります♪

今回も引き続き、こちらのテーマでお届けします。

【会社法を紐解こう!】

◎「会社法」はこんな法律◎
法令番号:平成17年7月26日法律第86号
最終更新:令和元年5月17日公布(令和元年法律第2号)改正
種類:商法
所管:法務省

会社法の全文はこちらで確認できます!

■電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)
>>>「会社法」

「株式の種類」として調べていたら、「種類株式」という言葉が出てきて、
「ん?種類株式も株式の種類?」とちょっと混乱しながらも、
「種類株式」とはどんなものか、ということを調べてまいりました!

 

株式には種類がある?「種類株式」とは?

まず、「株式会社」の「株主」には、
大前提として「株主平等の原則」というものが、
会社法109条1項に定められています。

これは何かといいますと、
株主は「その内容及び持株数に応じて平等に扱わなければならない」、
つまり、持っている数相応の配当を得る資格がある、ということですね。

しかし、経営に口を出されたくない経営者や、
逆に経営に口を出したい投資家、
敵対企業の買収による乗っ取りや、事業継承問題など、
時代と共に様々なニーズが発生したため、
会社法108条で通常とは異なる処遇を受ける株式「種類株式」が、
設けられたというわけです。

 

「種類株式」の9種類について解説!

さて、そんな「通常の株式とは異なる処遇を受ける」とされる
「種類株式」の種類はなんと9種類もあります。

いったいどのような処遇があるのでしょうか、
その内容を見てみましょう。

(1号)剰余金の配当規定付株式
「当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、
 剰余金の配当をする条件、
 その他剰余金の配当に関する取扱い(地位の優劣)を内容とするもの
 (会社法108条1項2号・2項2号)」

「剰余金の配当規定付株式」とは、
企業が株主に剰余金を配当するときに、
地位の優劣さが規定される株式です。

配当において、
優越的な地位が認められる株式を「優先株式」、
標準的な地位に置かれる株式を「普通株式」、
劣後的な地位に置かれる株式を「劣後(後配)株式」
と呼ばれます。

(2号)残余財産の分配規定付株式
当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法、
 当該残余財産の種類、
 その他残余財産の分配に関する取扱い(地位の優劣)、
 を内容とするもの(会社法108条1項2号2号・2項2号)」

「残余財産の分配規定付株式」とは、
会社が解散するときに発生する
「残余財産」の分配について規定された株式です。
1号と同様で、優先、普通、劣後の分配順があります。

(3号)議決権制限規定付株式
「株主総会において議決権を行使することができる事項の制限
 を内容とするもの(会社法108条1項3号・2号3号)」

「議決権制限付株式」とは、決議事項の一部、
または全部について議決権を行使できない種類株式です。

経営に口を挟めないタイプの種類株式で、
中には一切の議決権を持てない「無議決権株式」というものもあります。

(4号)譲渡制限規定付株式
「譲渡による当該種類の株式の取得について
 当該株式会社の承認を要すること
 を内容とするもの(会社法108条1項4号・2項4号)」

「譲渡制限規定付株式」とは、
中小企業の多くで採用されている株式です。

経営権の分散防止を目的としており、
全株式、または一部の株式について、
譲渡する際に会社の承認を得る義務を定めています。

これにより、株主は自由に株式を譲渡することができなくなります。

ちなみに、譲渡制限を設定してない会社を「公開会社」、
全ての株式を譲渡制限してある会社を「非公開会社」と言います。

(5号)取得請求権規定付株式
「当該種類の株式について、
 株主が当該会社に対して、その取得を請求することができる
 内容のもの(会社法108条1項5号・2号5号)」

株主が企業に対し、自身が保有する株式の対価に、
他の株式や金銭などの財産を請求することができる株式です。

例えば、優先株主が必要に応じて、
議決権のある保有優先株式を普通株式へ転換して、
経営への参加が可能となります。

(6号)取得条項規定付株式
「当該種類の株式について、
 当該株式会社が一定の事由が生じた事を条件として
 これを取得することができる内容のもの(会社法108条1項6号・2項6号)」

企業に何かあった際に、企業側が、
株式は株主から強制的に取得できる旨が定められた株式です。
株主は株式を失うので、付随する地位も権利も失います。

(7号)全部取得条項規定付株式
「当該種類の株式について、
 当該株式会社が株式総会の決議によって
 その全部を取得することができる内容のもの(会社法108条1項7号・2項7号)」

文字通り、企業主導で、
対象のすべての株式を取得することができます。

スクイーズアウトと呼ばれる少数株主の追い出しなどで
用いられることが多い種類株式ですが、
全部の株式を取得するために、株主総会の決議が必要になる、
と会社法171条で定められています。

(8号)拒否権付株式
「株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、
 清算人会設置会社にあっては株主総会または清算人会)
 において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、
 当該種類の株式の種類株主を構成員とする
 種類株主総会の決議があることを必要とする内容のもの(会社法108条1項8号・2項8号)」

「拒否権付株式」とは、企業に関する決議事項に関し、株主総会決議以外でも、
種類株主で構成される種類株主総会の決議も必要とする株式です。
普通株主の賛成数が多くても、決議事項を否決できることが特徴です。

敵対的買収で相当数の議決権を取得されてしまった場合、
拒否権付株式を友好的な株主に保有させると買収成立を阻止ことができます。

別名「黄金株」とも呼ばれ、
敵対的買収に対する防衛策として活用される種類株式です。

(9号)役員選任権付株式
「当該種類の株式の種類株主を構成員とする
 種類株主総会において
 取締役又は監査役を選任することができる
 内容のもの(会社法108条1項9号・2項9号)」

「役員選任権付株式」は、種類株主総会において、
取締役または監査役を選任する議決権がついた株式です。

指名委員会等設置会社及び公開会社は法律上、
役員選任権株式は発行できない、
会社法108条1項にただし書きに記されています。

 

株式についての知識もセミナーで!

いかがでしたでしょうか?

それぞれの種類株式を一つ一つ読み解いていくと、
いつも慣れ親しんできた「株式会社」の文字も、
ちょっと違う目で見ることができるようになった気がします!

そんな「会社法」や「株式」をもっと学ぶためにも、
セミナーはいかがでしょうか?

教室やWebで、プロフェッショナルのお話を聞くだけでも、
また一つ、知見が深まります♪

次回も、一緒にお勉強よろしくお願いします!

いのりんでした♪

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【参考サイト】
ウィキペディア
>>>株式平等の原則
>>>種類株式

占部行政書士事務所
>>>株式の種類

M&A総合研究所
>>>種類株式とは?意味や一覧、活用事例をわかりやすく解説

株式会社コラボ
>>>経営者のための「会社法」