<withコロナ時代の労務問題【1】> 「新しい生活様式での働き方」が抱える労務問題とは?

春先の感染拡大から緊急事態宣言期間を乗り越え、一時は終息したかに見えた新型コロナウイルスは、再び感染拡大の傾向となり、首都圏だけでなく、全国各地で予断を許さない状況となっています。政府では、コロナと上手に付き合いながら日常生活を送る「新しい生活様式」を推奨していますが、「新しい様式」は「生活」だけでなく、「働き方」にも多大な影響を及ぼしています。withコロナ時代を迎え「新しい生活様式での働き方」は、企業にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。コロナ禍で抱える企業の労務問題についてまとめてみました。

 

新型コロナウイルスの影響下では多くの企業がマイナス傾向

ニュースでも連日報道されていますが、新型コロナウイルスの影響下では、多くの企業がマイナス傾向にあります。人材派遣会社が実施した調査によると、主に「飲食サービス業」「生活関連サービス業」「娯楽業」「製造業」「教育・学習支援事業」「学術研究・専門・技術サービス業」に逆風が吹いているとされおり、その影響は8月に入っても回復の兆しを見せていません。また、2020年4月の完全失業率は2.6%を記録し、就業者数、雇用者数は88カ月ぶりの減少傾向となりました。このように、新型コロナウイルスによる経済的打撃は計り知れず、また長期化傾向も相まって、コロナ禍での解雇や雇い止めなどが今後も増える見通しとなっています。特に、景気の影響に左右されやすい非正規労働者の雇い止め問題は深刻で、政府は、雇用助成金活用の促進や、労働者派遣法の改正などを打ち出して、雇用維持対策を講じています。

 

感染拡大に伴う安全配慮と雇用管理

事業主には、従業員に対する「安全配慮義務」があります。コロナ禍以前から義務付けられていたことですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、普段は表に出てこない「安全配慮義務」という言葉に対して、平常時よりも関心が高まり「新型コロナウイルスの感染リスク」に対して、事業主も従業員も「安全配慮義務」を強く意識しています。特に以下の点に関しては、業種関係なしにどの企業でも、感染拡大を強く意識して取り組んでいます。

(1)マスク着用の義務
(2)手洗いと消毒の徹底
(3)三密を避ける行動
(4)ソーシャルディスタンスを意識した行動

●従業員に感染者が出た場合の対処法
マスクの着用や手洗い、消毒をしても感染者が出てしまう可能性はあります。例えば、従業員の家族から感染者が発生した場合、従業員も自宅待機するべきなのか、従業員本人が感染した場合、傷病手当が適用されるのか、事業主側の雇用管理が問われます。傷病手当に関してが、前提として「業務との関連性(業務起因性)が認められた場合」に請求が可能です。また、従業員が複数の感染者が確認された労働環境下での業務や、顧客などの接触が多い労働環境下での業務に従事する場合に感染した場合は、潜伏期間内の業務従事状況や、一般生活状況の調査が実施された上で、個別に業務との関連性(業務起因性)が判断されたのちの、労災認定となります。いざというときに従業員が不安に陥らないように、事業主サイドは労災認定の説明や、感染者発覚時の行動を明確化し、従業員へ説明しておく必要があります。

●テレワークに関する労務問題
(3)(4)に関しては、政府主導でテレワークへの切り替えが推奨されており、これまでテレワークの整備が進んでいなかった中小企業へのテレワーク導入が加速しましたが、時間外労働の算定方法や、通信費用などの経費の問題、テレワークによるコミュニケーション不足によるメンタルヘルス問題など、細かいトラブルが後を絶たないという現状があり、「テレワーク疲れ」などという報道も目にします。また、今後は「自宅の椅子で仕事をしていたら腰痛になった」「テレワークによる鬱で心療内科に通うようになった」などで、事業者は従業員から労災を求められるケースも想定され、テレワークによる影響が社会問題化することも懸念されています。目に見えにくいテレワークだからこそ、ルールを整備し、可視化することで、トラブルを減らすことが可能です。

 

企業の経営悪化による従業員の離職問題と退職金トラブル

コロナ禍における経済の打撃は企業の経営悪化を招き、それにより事業主と従業員の間でのトラブルが後を絶ちません。コロナの最前線である医療従事者の大量退職などが記憶に新しいですが、一般の企業でも、ボーナスの取りやめや賃金カットなどによる待遇悪化が原因で離職するケースがあります。逆に、企業の経営難による非正規雇用労働者の雇い止めや、解雇により現場の人手が足りなくなり、残業や休日出勤を余儀なくされた上に、これらの残業代が未払いになるという労使トラブルも増加しています。このようなトラブルは今後も増えると想定されますので、厚生労働省の労働条件相談窓口や労働局へ相談するなどをしてコロナ禍を乗り越えましょう。

 

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【参照情報】
YAHOO!ニュース
>>>事業主必見!コロナ禍の今こそ見直しておきたい労務管理

人材採用・人材募集ドットコム
>>>【日本の労働問題】コロナ禍で生じた労働問題に対して人材会社ができることは?

社会保険労務士法人とうかい
>>>第2波に備える。ウィズコロナ期における労務管理ポイントは?

日本経済新聞
>>>よくわかるウィズコロナ時代 変わる働き方