<会社を悩ます「問題社員・モンスター社員」にはどう対処する?【2】> 大切なのは「適切な対応方法」問題社員・モンスター社員への対応プロセスについて

会社内で問題行動を繰り返し、周囲に迷惑をかける「問題社員・モンスター社員」と呼ばれる社員は、放置すると会社にとって脅威となる存在でもあります。しかし、対処方法を間違えると、トラブルや訴訟問題に発展する恐れもあります。会社にとって悩ましい存在である「問題社員・モンスター社員」には、どのような対策が必要なのでしょうか?対応プロセスやタイプ別対応法、注意点などについて見てみましょう。

 

問題社員・モンスター社員への適切な対処フロー

会社に損害を与える恐れがあることから、問題社員・モンスター社員をなんとか退職してもらうようにと動きがちですが、それが却って悪手となることがあります。問題社員・モンスター社員には、適切なプロセスを踏まえた対応が必要です。

【基本的な対応処理フロー】
(1)現状を把握する
  ↓
(2)対処法を検討する
  ↓((2)と(3)は繰り返し様子見る必要があります)
(3)変化があるかを観察する
  ↓
(4)問題点を注意する
  ↓
(5)懲戒処分を与える
  ↓
(6)解雇とする

以下で、詳細を解説します。

(1)現状を把握する
社内に問題社員・モンスター社員と見受けられる行動や、言動の報告があった時に、初動として実施するのは「現状把握」です。

・具体的にどのような問題が発生しているか
・問題の原因は何か

この二点を確認し、個人が起因と特定する前に、チームや部署に問題はないか、組織全体に綻びはないかなど、客観的な視点からの調査が必要となります。その上で周囲の社員よりヒアリングを実施して、現状を把握します。

(2)対処法を検討する
現状把握ができたら、事象や原因を踏まえて対処法を検討します。

・原因や現象に対してなぜそれが起こるのかを検証する
・原因や現象に対してどのようにアプローチしたらよいかを検討する

ある程度状況が見えてきたら、問題行動を起こす本人や上司へフィードバックした上で、一緒に解決策を考えることで、改善の意識を高めることが可能です。

(3)変化があるかを観察する
(2)の対処法で、問題社員・モンスター社員の意識や言動が改められ、解決の兆しが見えることもあります。ここで終わりとするのではなく、一定期間当該社員や周囲の社員の経過観察をし、改善が見られるかどうかを確認します。この段階で状況が改善されていない場合は、(2)へ立ち戻り再度解決策を検討します。場合によって、(2)から(3)は繰り返し実施する必要があることを意識しておきましょう。

(4)問題点を注意する
(2)と(3)を繰り返しても改善が見られない場合は、問題社員・モンスター社員へ「注意」をします。口頭のみで注意すると「言った言わない」で万が一訴訟問題へ発展した時の火種となるので注意内容を記した書面を作成し、該当社員へ交付するという処置をとります。その時は、注意の内容に齟齬がない旨を該当社員から署名・押印などを取得することで、火種を抑えることができます。

(5)懲戒処分を与える
注意をしても改善の兆しが見えない、反省していない場合は「戒告」「減給」「出勤停止」「降格」などの懲戒を検討します。あくまでも就業規則の範囲内で、慎重に処分を決めます。

(6)解雇とする
懲戒してもなお該当社員に改善する気が見られない場合は、解雇処分を考えなければなりません。いきなり解雇する場合は、問題社員・モンスター社員と話し合いの場所を設け、まずは「合意退職」での解決を模索します。合意退職で納得してもらえない場合は、弁護士などを間に立てて、「普通解雇」や「懲戒解雇」の手続きをとります。

 

問題社員・モンスター社員タイプ別対応法

問題社員・モンスター社員には、「規律を無視する・守らない」「対人関係でトラブルを起こす」「メンタルや体調面が安定しない」など様々なタイプが存在します。タイプ別にどのような対応をしたら良いのかを、下記にまとめました。

●規律を無視する・守らないタイプ
会社に属する社員である以上、就業規則を守らなければなりません。しかしそれを無視し、守らない社員が問題社員・モンスター社員化する傾向にあります。特に「遅刻・無断欠勤」や「出先でのサボリ」「個人判断での残業」「定められた休憩時間を守らない」は常態化しやすく、注意しても、一定期間を過ぎると元に戻ってしまうことも多々あります。このタイプへの対処方法は、まず、欠勤やサボリなどの事実を「いつ」「どこで」「どれくらい」などの詳細データを集め、本人に確認させます。その上で、就業規則違反であることを認めてもらい、行動を改めさせる、という流れです。改善せずに目に余るようであれば、注意や戒告などの対応に移りましょう。

●対人関係でトラブルを起こすタイプ
協調性がない人や、粗暴な態度をとってしまう人は、対人関係でトラブルを起こすタイプの問題社員・モンスター社員になりがちです。この場合も、該当社員の言動や行動をチェックしてまとめ、本人に確認してもらう必要があります。「対人」でのトラブルなので、周囲の人にも意見を聞く必要があります。対人関係トラブルの場合は「問題社員・モンスター社員」だと言われている人が実はパワハラや社内いじめの被害者であった、などというケースもあるため、周囲の人間との関係性や、トラブルの実態などを慎重に調査しなければなりません。起因となる人物や行動が特定できたら、配置転換や異動などの手法を用いて人間関係の風通しを良くします。異動先でもトラブルを起こすようならば、注意や戒告などの処分に移ります。

●メンタルや体調面が安定しないタイプ
メンタルや体調面が安定しないタイプの問題社員・モンスター社員の対応は、問題行動の積み重ねにより発覚するケースが多く、ケアをしながらの対応となります。労働契約法第5条では「企業は社員の心身の健康に対する安全配慮義務を負う」と定められており、まずは該当社員の心のケアが優先しなければなりません。メンタルや体調面が不安定になる問題社員・モンスター社員は「これまで真面目だったのに、急に遅刻や欠勤を繰り返す」「ミスが多くなる」などの傾向があります。対応する場合は、問題面を指摘し、心身の不調が原因と見て取れた場合は、産業医のカウンセリングや医療機関の受信を進めるなどの手筈をとりましょう。本人に自覚がないケースもあるので、根気よく助言をすることがポイントです。診断結果により休息が必要ならば、休職命令を出し休ませることを第一とします。それでも回復しないようであれば、就業規則に基づき「自然退職」や「解雇」などの対応をします。

 

問題社員・モンスター社員の発生をできるだけ未然に防ぐためには?

100%ではありませんが、採用時に対策を講じるだけで問題社員・モンスター社員の発生をできるだけ未然に防ぐ方法もあります。例えば、面接時の自己PRや成功体験などのアピールタイムがありますが、多くの人は採用してもらうために自分を良く見せようとしがちです。中には、虚偽のエピソードを語る人も存在し、それを信用して採用したら、実務で役に立たなかった、というケースも後を絶ちません。その場合は、エピソードをもっと具体的に掘り下げ、実務に活かせることができる人物かどうかを見抜くことが重要です。面接を実施する企業側の力量も試されるところですので「会社に必要な能力の人材が必要か」など、一定のビジョンを持っておくこともポイントとなります。

 

問題社員・モンスター社員を生み出さないためにもセミナーで労務を学ぼう!

問題社員・モンスター社員は、会社側の取組み方によっては未然に防ぐことも可能です。どのような社員が問題社員・モンスター社員になってしまうのか?就業規則に穴はないか?など、経験だけで補いきれない知識はセミナーでカバーできます!労務関係のセミナーで、問題社員・モンスター社員への対処を学び、リスクを減らしましょう!

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【参照情報】
d’s JOURNAL
>>>問題社員の特徴と違法にならない対応方法。協調性がない・無断欠勤…どう対応する?

somu-lier[ソムリエ]
>>>モンスター社員の特徴別、正しい対処方法

ジョブシフト
>>>モンスター社員の特徴と対応方法!社内にいるだけで問題に発展リスクの事例