≪外国人労働者雇用3≫ 改正入管法で導入された登録支援機関とは

改正入管法により、特定技能を持つ外国人労働者の雇用拡大が期待される中、受入れ体制にも「特定技能所属機関」と「登録支援機関」が設けられました。その中で「登録支援機関」は、特定技能所属機関から書類作成やサポートなどを委託される機関として、需要が高まっています。登録支援機関とは、具体的にどのような機関なのかを解説いたします。

 

特定技能所属機関と登録支援機関の違い

特定技能を持つ外国人を雇用する場合、受入れ側の企業は「特定技能所属機関」として、雇用する外国人の日常生活、職業生活、社会生活など、日本で仕事をしながら暮らしていくための、総合的なサポートをしなければなりません。そのためには、就労支援を行うための支援計画の作成とその提出、そして計画の実行を速やかに行う必要があります。しかし、支援計画作成には専門的な知識を要することも多く、特別支援機関だけではサポートできないのが現状です。

「登録支援機関」とは、外国人労働者を受け入れる特定技能所属機関の代わりに、特定技能をもつ外国人の支援計画の作成や各種サポートを実施する機関のことを指します。「特定技能所属機関」は、特定技能を持つ外国人を受け入れる機関、「登録支援機関」は特定技能所属機関からサポート業務を委託される機関、と区別されます。

 

登録支援機関とは、具体的にどのような機関か?

登録支援機関には、具体的にどのような機関なのでしょうか?登録支援機関の業務をまとめてみました。

・登録支援機関とは?
(1)登録支援機関になるためには、出入国在留管理庁長官に対して、各種届出や手続きを定期的、または臨時的に行わなければならない。

(2)登録支援機関は、「登録支援機関登録簿」に登録され、登録支援機関の期間中は、出入国在留管理庁ホームページに掲載される。

(3)登録機関の期間は、5年間で5年ごとに更新が必要。

(4)登録支援機関は、特別支援機関との委託契約により、「1号特定技能外国人支援計画」に基づく支援を実施する。

(5)登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対して随時、または定期的に各種届出を行わなければならない。

・登録支援機関の役割とは?
登録支援機関の主な業務は、特別支援機関に代わって、書類の提出と外国人の生活サポートです。例えば、就労予定の外国人に対して、テレビ電話やチャット、書面による入国前の生活ガイダンスの提供や、来日後の外国人に対して、在留中の生活オリエンテーションの実施などを指します。特に、役所の手続きや銀行口座の開設、携帯電話の契約手続きなどは、生活に密接したやりとりなので、きめ細やかなサポートが必要となります。また、外国人が就労した後でも、困った事がないかなど相談や苦情窓口としての対応や、他の外国人や日本人との交流も支援するなど、その役割は非常に多岐にわたります。

 

登録支援機関になれる要件について

登録支援機関となるためには、要件を満たす必要があります。どのような要件を、クリアすれば良いのでしょうか?

・どんな団体や企業でも登録支援機関になれるのか?
登録支援機関と聞くと、NPO法人などの非営利団体などが登録するような機関と思われがちですが、一般企業などの営利団体や、社労士や税理士など個人で事務所を構えている人でも、要件を満たせば登録支援機関になることが可能です。

・登録支援機関になれる要件とは?
登録支援機関になるためには、以下のような要件が必要となります。

(1)支援責任者及び、常勤の1名以上の支援担当者を選任しておくこと
1名以上ですので、「支援責任者」「支援担当者」は、複数存在することも一人での兼務も可能です。

(2)以下のいずれかに該当すること
・登録支援機関の申請をする個人、又は団体が2年以内に就労資格を持つ中長期在留者の受入れ実績があること。

・登録支援機関の申請をする個人、又は団体が2年以内に報酬目的の業務として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること。

・選任された支援担当者が、過去5年間に27年以上の就労資格を持つ中長期在留者の生活相談業務に、従事した経験を有すること。

・上記の他、登録支援機関の申請をする個人、又は団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること。

「中長期在留者」とは、「短期滞在」の在留資格を除く中長期在留をしている外国人を指し、在留カードを所持している者とされています。外国人を総合、かつ適正に支援していくうえでは、登録支援機関を申請している企業や個人に対して、過去の実績が問われます。

(3)就労する外国人が十分に理解できる言語で、情報提供等ができる支援体制を有していること。
就労する特定技能外国人の日本語検定能力レベルがN4とすると、丁寧な情報提供やヒアリングを行う上で、母国語での細やかな支援実施が必要です。登録支援機関を申請する企業や個人で言語に対応しきれない場合は、対応できる通訳者を雇用するか、通訳会社などとのアライアンスを汲んでおくことがポイントです。

(4)責めに帰すべき事由などで、1年以内に特定技能外国人、又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと。
技能実習生の行方不明は、社会問題化するほど深刻です。目の行き届いた支援をするためには、入管法や労働法令をきちんと守っている事業者である、ということが大前提となります。

(5)支援にかかった費用を、直接又は間接的に就労する外国人本人に負担させないこと。
支援にかかる費用については、「1号特定技能外国人支援計画」に盛り込まなければいけない義務的な支援とされています。例えば、出入国の航空運賃については、「外国人が特定技能雇用契約の終了後帰国に要する費用を負担することができない場合を除いて」外国人本人が航空運賃を負担することになりますが、空港までの送迎費用は、受入れ機関が支援する義務が発生します。

 

登録支援機関申請に必要な書類について

登録支援機関への登録に申請するための書類は、「地方出入国在留管理局」または「地方出入国在留管理局支局(空港支局を除く)」へ直接持参、または郵送で可能です。どの窓口も慢性的に混雑しているので、基本的に郵送がおすすめです。登録支援機関への申請には、下記の書類が必要となります。

(1)登記支援機関登録申請書
(2)法人の場合は登記事項証明書/個人の場合は住民票の写し
(3)法人は定款又は寄付行為の写し
(4)法人は役員の住民票写し
(5)登録支援機関要所
(6)登録支援機関誓約書
(7)支援責任者の履歴書、就任承諾書及び誓約書の写し
(8)支援担当者の履歴書、就任承諾書及び誓約書の写し
(9)392円分の切手を貼った返信用封筒
(10)手数料納付書(登録手数料として収入印紙284,004円を要する)

これらの書類を揃えて出入国在留管理局へ申請し、登録が認められると、出入国在留管理庁のホームページで好評され、「登録支援機関登録通知書」が交付されます。登録支援機関は、5年に1度の更新を受けなければなりません。登録支援機関と認められると、複数の受入れ機関と、支援委託契約を締結することもできます。

登録支援機関は、特定技能所属機関にとって、そして、これから働きにくる多くの外国人労働者にとって、欠かせない存在です。登録支援機関の役割、申請方法など、セミナーなどで詳しく紹介をしていますので、ぜひとも受講してみてください。

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【参考情報】
外国人雇用の教科書
>>>「登録支援機関」とは

株式会社クローバー
>>>外国人材の受入れ制度に係るQ&A

幻冬舎GOLD ONLINE
>>>2019年入管法改正で新に整備された「登録支援機関」とは?