<「食の安全を守る規格」を取得しよう【3】> 2020年6月から導入が義務化する「HACCP」認証までの流れ

2020年6月から導入が義務化している「HACCP」は、食品衛生管理手法ではあり、そして認証制度でもあります。厚生労働省は、HACCPの導入を義務化していますが、認証取得までは義務化していません。HACCPを導入するだけと、HACCPの認証取得には何か違いがあるのでしょうか?HACCP認証取得によるメリットや、認証取得までの流れなどをご紹介します。

 

義務ではない「HACCP認証取得」のメリット

HACCP認証についてと、認証取得のメリットについて見てみましょう。

●「HACCP導入」と「HACCP認証取得」の違い
HACCPについての義務化は「導入」までですので、HACCPの「認証取得」をせずとも制度的には問題はありません。しかし、ただ導入するだけよりも、第三者機関より厳正なる審査を受け、「HACCPに基いた衛生管理をしている」と客観的に認めてもらうことで、社会的信頼度を得ることが出来ます。以下で、具体的なHACCP認証取得のメリットについて、ピックアップします。

●HACCP認証取得のメリット
HACCP認証を取得することのメリットは、以下の通りです。

・第三者機関から認証を受けることで、取引先やユーザーからの社会的信頼が高まる
・第三者の立場から監査してもらうことにより、自社だけでは気づかなかった課題が明確になる
・第三者機関によるHACCP認証が条件となっている企業取引が可能となる
・第三者機関によるHACCP認証が条件となっている諸外国との取引が可能となる

HACCP認証取得による信頼は、取引先やユーザーだけでなく、取引のない企業や自治体、そして諸外国にも通用するものとなります。HACCP認証を取得することは、自社のビジネスに関してもメリットになるのです。

 

HACCP認証は種類ごとに認証団体・審査機関が異なる

HACCPの認証をする認証機関には、その種類ごとで認証団体や審査機関が異なります。

●総合衛生管理製造過程
「総合衛生管理製造過程」は、厚生労働省の認証制度です。缶詰、レトルト食品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品、魚肉練り製品、乳製品、清涼飲料水、食肉製品に限定されます。

●民間審査機関による認証
民間による審査機関は、数多く存在します。適用範囲も広く、厚生労働省の総合衛生管理製造過程よりも適用範囲が広く、幅広い業種で活用することができます。だたし、審査レベルが審査員の力量に左右される点や、外部コンサルティング費用が掛かる可能性があるため、民間審査機関を選ぶ場合には注意が必要です。

●地方自治体による認証
各地方自治体では、独自に定めた基準のHACCPが存在します。適用範囲や対象製品は限定されてしまいますが、その分、中小企業でも認証が取得しやすいようになっています。自治体によって指定された認証機関もあるので、まずは自治体のHPなどで調べてみることをおすすめします。

●業界団体認証
業界団体認証は、適用範囲がその業界や業種に限られている認証取得です。例えば、容器包装詰常温流通食品に限定される「公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会」や、炊飯製品に限定される「公益社団法人炊飯協会」、乳及び乳製品に限定される、「公益財団法人乳業技術協会」など、自社が所属する団体や、関係する業種などが該当する場合は、HACCP認証の取扱いがあるかどうかを確認してみましょう。

 

HACCP認証取得の流れについて

HACCP認証を取得する場合、審査機関によって違いはありますが、大まかな流れは以下のようになっています。

●HACCP認証取得の流れ
(1)HACCPの構築
HACCPの「7原則12手順」に則り、プロジェクトチームの編成はフローダイアグラムの作成、ハザード分析、CCPの決定など、自社に合ったHACCPを構築します。同時に認証審査の準備として、審査機関への相談や申し込みも並行して実施します。

(2)HACCPの仮運用
(1)で構築したHACCPを実務で運用します。認証審査を受けるためには、通常3か月以上の運用期間を必要とします。

(3)第1段階審査
HACCP認証審査は、2段階で実施されます。第1段階の審査では、HACCPの整備状況の確認を行い、不適合があった場合は、第2段階審査に向けて特定と改善を実施します。

(4)第2段階審査
第2段階審査は、第1段階審査の1か月半~2か月後に行われます。第2段階審査では定めた方針や目的、手順、運用状況などをチェックします。実際に、HACCPが運用されているかの作業状況もチェックし、文書化した手順が正しく実施されているかが審査されます。

(5)改善措置
第2段階審査の結果で、改善が必要とジャッジされた場合は、改善措置を講じます。改善措置に問題がないと判断されれば、第1段階審査・第2段階審査の最終的な報告書が作成され、登録決定会議で審査が通るかどうか議論されます。

(6)認証取得の登録証の発行
登録決定会議に審査で認証されると、登録証の発行となります。

(7)サーベイランス審査
HACCPは、取得して終わりではありません。HACCP認証取得後には、最低でも年1回のサーベイランス審査(継続審査)があります。HACCPプランが継続的に運用されているか、適切な運用であるかが審査されます。

(8)更新審査(3年ごと)
HACCPの更新審査は、3年ごとに実施されます。サーベイランス審査と同様に、HACCPプランが適合できているかのチェックが入りますが、サーベイランスよりもより細かく厳しい審査となります。

●HACCP認証取得にかかる時間
HACCP認証取得にかかる時間は、認証機関にもよりますが、HACCPプランの構築に半年程、審査を受けるまでの仮運用に3か月、初回審査に2か月、改善措置に1か月と、システム構築から認証取得まで1年ほどかかると見た方が良いでしょう。

●HACCP認証取得にかかる費用
HACCP認証取得をするために係る費用の額面は認証機関によって違いますが、費用の種類は「審査費用」と「研修の参加費用」かかります。

 

HACCP認証取得はセミナーがおすすめ!

HACCP認証取得には、準備期間と知識が必要です。段階的にプロジェクトを進めるためにも、セミナーがお薦めです。食品衛生管理やHACCP認証取得に関してのセミナーを受講し、HACCP構築に役立ててください。

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【参照情報】
日本検査キューエイ株式会社
>>>HACCPの認証とは?単なる導入との違いから認証取得のメリット・方法まで

HACCPノート
>>>【HACCPはどうやって導入する?】認証取得の流れと方法