【企業法務の基礎知識11】 若葉マークの入門編 「会社法を紐解こう⑧」~いざ株主総会 議事進行と議事録作成~

お疲れ様です!いのりんです♪

電車通勤の毎日ですが、先日ICカードをうっかり忘れて、
てんやわんやしてしまったので、スマホ決済に切り替えました。

そんな時、大阪メトロの改札で顔認証パスの実証実験がスタートした、
というニュースを見て、顔認証いいなー、便利だなーと思った次第です。

…でも、顔認証ってドコまで認識してくれるんでしょうかね?
すっぴんとメイク顔の区別とかつくのかな?

そんなことを思いながら、いのりんの企業法務、スタートです!

 

【会社法を紐解こう!】

前回は、「株主総会招集」について、解説いたしました。
今回はその続き、「株主総会の議事進行と議事録作成」について、見て参ります!

まずは毎度おなじみ「会社法」のおさらいから!

◎「会社法」はこんな法律◎
法令番号:平成17年7月26日法律第86号
最終更新:令和元年5月17日公布(令和元年法律第2号)改正
種類:商法
所管:法務省

会社法の全文はこちらで確認できます!

■電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)
>>>「会社法」

 

株主総会の「議事進行」とは?

株主総会の最大の目的は、「議決すべき事項について、議案を可決する」ことです。
株主総会の議事進行の中にも、会社法で取り決められていることがあります。

手順の間違えや手順をスルーしてしまう、などといったことがあるとトラブルの元となるので、
まずは「議事進行の流れ」や「議長」などについてご説明します。

●「議事進行」の流れ
株主総会における議事進行は、以下のような流れが一般的です。

・議長による開会宣言
・事務局からの出席株主数と株式数の報告
・議事進行上のルールや発言の機会の求め方について出席者へ説明
・監査報告読み上げ
・報告事項の報告
・議案上程
・審議方法の確定と審議
・質疑応答
・決議事項を諮る
・閉会宣言

「報告事項の報告」について
「報告事項の報告」では、「事業報告」などを株主の前で報告します。

・事業報告
会社法438条3項によると、
「取締役は事業報告の内容を、定時株主総会にて報告しなければならない」
と記されています。

この「事業報告」は、財務情報とは違う非財務情報、
つまり会社の事業の状況などを、株主へ報告するものです。

以前は資料などを読み上げるだけだったのですが、
近年ではスライドショーなどを活用して、分かりやすく説明する方法が一般的のようです。

ちなみに事業報告の作成も、会社法第435条2項に書かれていて、
その内容については、会社法施行規則にて定められています。

・事業報告記載内容
事業報告の記載内容はどのように記載されるものなのでしょうか?
その一部をご紹介します。

【基本】(すべての株式会社が記載を求められる事項:会社法規制第118条)
1.会社の状況に関する重要な事項
2.業務の適性性を確保するための体制の内容の概要

【事業年度末日において公開会社である場合】(会社法規制第119条・123条)
1.現況に関する事項
2.会社役員に関する事項
3.株式に関する事項
4.新株予約権等に関する事項

【社外役員を設けた場合】(兼務状況と活動状況:会社法規制第124条)
1.他の会社の業務執行取締役等である場合、その事実と会社と当該他の会社との関係
2.他の会社の社外役員である場合、その事実・兼職の状況
3.取締役会(監査役会)への出席状況とそこでの発言状況等々

【会社の支配に関する基本方針を定めている場合】(会社法規制127条)
1.基本法方針の内容
2.基本方針の実現のための取り組み・他社による支配防止の取り組み
3.取り組みが基本方針に沿って・株主共同の利益を害さず・会社役員の保身に該当しない、と判断した理由

●「議案上程」について
「議案上程」とは、「議案を提出し議会にかける」行程を指す言葉です。

株主が団体株主の場合は「株主側」から、個人株主の場合は「会社側」から、
議案上程を行うことが通例とされています。

議案上程の議決は、一人一票の多数決ではなく、
株式の所有が多いほど決定権が強い「単元株制度」が、採用されているケースが多いようです。

「審議方法の確定と審議」
「審議方法の確定と審議」は、
「議案上程」の審議の方法とその画定方式を決めることを指します。
審議方式には、「一括審議方式」と「個別審議方式」があります。

・一括審議方式
議案の全てを一括して上程して審議を行った後に、採決のみを順次行う方式

・個別審議方式
個別の議案ごとに議案上程・審議・採決を行う方式

一般的には、議論を円滑に進めることができるという理由から、
「一括審議方式」が採用されています。

 

株主からの質問対応方法

株主総会では、株主から会社へ直接質問をする「質疑応答」の時間が設けられています。

会社側は株主総会において特定の事項について説明を求められた場合は、
当該事項について必要な説明をしなればならない、と会社法第314条にて定められおり、
会社側もあらかじめ想定回答集などを作成して、質疑に対応します。

しかし、嫌がらせと思える質問や、株主総会を妨害するような質問などに対しては、
説明義務が生じないケースもあります。

・株主総会の目的である事項に関しないものである場合(会社法第314条但書)
・説明をすることにより株主共同の利益を著しく害する物である場合(会社法第314条但書)
・説明をするために調査することが必要である場合(会社法施行規則第71条1号)
・説明をすることにより株式会社その他の権利を侵害する場合(会社法施行規則第71条2号)
・株主が実質的に同一の事項について繰り返し説明を求める場合(会社法施行規則第71条3号)

 

株主総会仕上げの大仕事「議事録作成」

無事に株主総会の議事進行が終わった後は、
仕上げの大仕事「議事録作成」があります。

会社法第318条によると、
「株式会社の議事は法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない」
と定められています。

議事録の作成は、「株主総会の決議内容全てについて、
関連の諸規定に適合した手続きがなされ、
正しく処理されたことを証明するもの」なので非常に重要な作業となり、
記入漏れなどないように細心の注意をする必要があります。

議事録に記載する内容は以下の通りです。

1.開催日時
2.開催場所
3.議決権のある株主数及び議決件数
4.出席した議決権のある株主数及びその議決権数
5.決議内容
6.議長及び出席取締役の署名押印

作成した議事録は、本店で原本を10年間、支店でコピーを5年間、
保存しておかなければなりません。

また、保存中の議事録は、
株主や債権者の希望があれば閲覧、謄写させる義務もあります。

 

株主総会の議事進行・議事録作成はセミナーで!

株主総会の議事進行・議事録作成には、
株主総会の目的や意義を深く知り、
進行するための会社法の知識も必要となります。

株主総会について、もっとわかりやすく知識を得るのに、セミナーに参加してみてはいかがでしょうか。
「株主総会」などで検索して、良さげなセミナーを探してみてください。

 

今回の勉強で、長年のナゾだった「株主総会」の正体がわかって、スッキリしました!
次回も、法務のお勉強にお付き合いください。

いのりんでした♪

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【参照情報】
弁護士法人クラフトマン
>>>株主総会議事進行例(議事進行シナリオ)

M&A総合研究所
>>>株主総会の流れ・進め方とは?各プロセスにおける注意点

田島・寺西法律事務所 弁護士 寺西章悟
>>>株主提案・質問等に対する対応

DUSKIN イベたん
>>>株主総会の基礎知識&運営のヒント