<令和3年解禁!バーチャルオンリー型株主総会【3】> バーチャルオンリー型株主総会開催の手続きと注意点

株主総会は、企業にとっても株主にとっても年に一度の一大イベントです。コロナ禍で社会経済活動を縮小せざるを得なかった企業にとって、株主総会も例外ではなく、多くの企業が感染症対策に細心の注意を払いつつの開催、またはハブリッド型でのバーチャル株主総会を余儀なくされました。政府は令和3年6月16日、産業競争力強化法等の一部を改正し、会社法の特例として「場所の定めのない株主総会」に関する制度が創設され、インターネット等の手段を用いて株主総会を開催するバーチャルオンリー型の株主総会が実現可能となりました。バーチャルオンリー型株主総会を開催するには、どのような条件が必要なのでしょうか?バーチャルオンリー型株主総会開催に必要な注意点なども併せて解説いたします。

 

バーチャルオンリー型株主総会を開催するための条件

会社法の特例として定められた「物理的な会場を用意せず、役員や株主がインターネット等の手段により出席する株主総会」いわゆる「バーチャルオンリー型株主総会」を開催する場合は、以下の4つの条件をクリアしておく必要があります。

(1)上場会社であること
金融取引法2条16項に規定する「金融取引所に上場されている株式を発行している株式会社」であることが大前提となります。

(2)「省令要件」の該当性について経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けること
後述する(4)の「省令要件」に該当しているか否か、経済産業大臣及び法務大臣へ申請手続きをして確認を受ける必要があります。

(3)「定款の定め」があること
「場所の定めのない株主総会」が実施できるようにするには「場所の定めのない株主総会」を実施できる旨の定款の定めが必要となります。定款の定めを設けるためには、株主総会の特別決議による「定款変更」が必要です。ただし、施行後2年間は、(2)の確認を受けた上場会社に限り「定款の定めがあるものとみなすことができる」との特例が設けられています。

(4)招集決定時に「省令要件」に該当していること
「省令要件」とは、以下のような4つの要件を全て満たす必要があります・

①通信の方法に関する事務(下記の②③の方針に基づく対応に係る事務を含む)の責任者の設置
②通信の方法に係る障害に関する対策についての方針の策定
③通信の方法としいてインターネットを使用することに支障のある株主の利益の確保に配慮することについての方針の策定
④株主名簿に記載・記録されている株主の数が100人以上であること

 

バーチャルオンリー型株主総会を開催するために必要な手続き

バーチャルオンリー型株主総会を実施するためには、経済産業大臣及び法務大臣の確認が必須となります。手続は「経済産業省」が窓口となり、次のような手順で行います。

(1)事前相談
(2)正式申請
(3)両省における審査
(4)確認交付

この手続きに関して、以下で詳しく解説します。

(1)事前相談
まずは経済産業省の「経済産業政策局 産業組織課」で事前相談をし、所定の申請書と添付書類の準備に入ります。

(2)正式申請
所定の申請書と添付書類を作成して提出します。
提出方法は次の2つの方法があります。

①郵送による提出
②メールによる提出

所定の申請書も添付書類も押印は不要です。その代わりに、後日、電話等による本人確認があります。

(3)両省における審査
提出された申請書と添付書類は、経済産業省と法務省の両省にて審査が行われます。

(4)両大臣の確認書の交付
審査の後「両大臣のかくにんすること」となった場合は、両大臣からの確認書が交付されます。

尚、これらの手続きにかかる標準処理期間は、およそ1ヵ月ほどです。

 

バーチャルオンリー型株主総会を開催するための注意点

バーチャルオンリー型株主総会やハブリッド型バーチャル株主総会など、通信機器を使っての株主総会を開催する場合の注意点をまとめました。

●本人確認の方法
株主総会において、議決権を行使できる株主総会は「議決権を有する株主総会として名簿に記載されているもの」に限られています。これまでの株主総会なら、名義上の住所に郵便で送付された「議決権行使書面」を所持している株主=通常当該株主と同一であるという経験則を適用して、これを本人確認としています。オンラインでのバーチャル出席者場合は、株主ごとに固有のIDとパスワードを記載して、郵便で送付する、などの方法で本人確認を実施している企業もあります。

●株主の議決権行使・質問・動議の扱い
通常のリアル株主総会での質問や動議の際は、挙手した株主を議長が指名し、質問や動議を受け付けることがスタンダードでした。バーチャルオンリー型株主総会やハブリッド型バーチャル株主総会の場合、情報伝達の双方向性と即時性が担保できないと、オンタイムでの質問は平等性が損なわれる恐れがあります。そのため、バーチャル株主総会での議決権行使・質問・動議を扱う場合は以下のようなポイントが抑えておく必要があります。

・質問内容を書き込んでもらうためのオンラインフォームを用意する
・質問について、質問回数や文字数、送信期限をあらかじめ通知しておく
・質問や動議に参加するための本人確認として、ログインのプロセスを依頼し実行する

オンラインでの開催は想定外のトラブルに見舞われやすい可能性があります。参加する株主に守ってもらうべきルール策定をしっかりし、問題なく運営ができるように、入念が事前準備をしておくことが、成功への鍵となります。

 

バーチャルオンリー型株主総会を検討してみよう

バーチャルオンリー型株主総会なんてまだ先、と思っている企業主さまも多いことでしょう。しかし、テレワークやDX化が想定よりも広がりを見せたのと同様に、バーチャルオンリー型株主総会の開催も、時代を味方につけて、シェアを拡大しています。時代遅れにならないためには、セミナーでバーチャルオンリー型株主総会について学びましょう!下記サイトより、バーチャルオンリー型株主総会やコロナ禍での株主総会についてのセミナーをお選びいただけます。

■会場型セミナーで受講したい方は『ビジネスクラス・セミナー』
>>>最新のビジネスセミナーを探す
※サイトにアクセスしたら、「株主総会」などでフリーワード検索してください。

■WEBセミナーで受講したい方は『Deliveru(デリバル)』
>>>Webセミナーで最新セミナーを探す
※サイトにアクセスしたら、「株主総会」などでフリーワード検索してください。

 

【参照情報】
法務省
>>>バーチャルオンリー型の株主総会を開催することができるようになりました

経済産業省 経済産業政策局 産業組織
>>>産業競争力強化法に基づく 場所の定めのない株主総会 制度説明資料

ContractS
>>>バーチャル株主総会とは?形式や開催方法を解説。

テレワークナビ
>>>注目されるバーチャル株主総会とは?背景や注意点を解説

ビジドラ
>>>株主総会の目的や議決方法とは?開催準備に必要なものも解説します