<withコロナのSCM(サプライチェーンマネジメント)を考える【2】> withコロナにおいて求められるSCM(サプライチェーン)の在り方について

新型コロナウイルスの影響は、世界のビジネスシーンへ大きな打撃を与え、コロナ禍2週目を経過した今なお、コロナ以前の生活には戻れずにいます。コロナ禍の影響はサプライチェーンも例外ではなく、需要急減や、部品の供給停止などにより、製造ラインがストップするケースや、マスクや消毒液などのコロナ関連商品が、過剰な買い占めによって長期的な品薄に追い込まれるなど、平時では考えられない想定外の事態が立て続けに発生しました。これからwithコロナの時代へと移行するにあたり、強固なサプライチェーンの再構築を図るためのSCM(サプライチェーン・マネジメント)必要となります。ここではwithコロナにおいて求められるSCM(サプライチェーン・マネジメント)についてみてまいりましょう。

 

新型コロナウイルスの感染拡大でサプライチェーンに何が起こったのか?

新型コロナウイルスが、世界中で感染拡大をし続ける中、サプライチェーンには何が起こっていたのでしょうか? 需給、調達、生産、販売、販売・アフターサービス、それぞれで起こっていた事象についてまとめました。

●需給
・需給バランスが崩れて在庫が偏在した
・市場で求められるものが流動的で需要予測が困難となった

●調達
・仕入れ先の生産ラインがストップした
・代替調達先の確保が困難となった
・世界各地で取引が停滞した

●生産
・感染予防対策によるコストの負荷
・安全性の確保や需給を踏まえた生産停止と再開

●物流
・世界各地起こった取引の停滞や遅延
・チャーター機、飛行機、コンテナ船の入港制限による輸送コストの増加
・経済活動の停滞によるリソース(人・車・倉庫)の余剰

●販売・アフターサービス
・ロックダウンによる需要の低迷
・非対面や非接触による販売への路線変更
・テレワークの増加などによる人流の変動

 

withコロナにおいてSCM(サプライチェーン・マネジメント)が求められる3つのポイント

新型コロナウイルスは、世界同時多発で起こる不測の事態に対応しきれなかったという、サプライチェーンの脆弱性を浮き彫りとしました。サプライチェーンを再構築するためのSCMでは、何が求められているのでしょうか?withコロナにおいてSCMが求められている3つのポイントを、下記に記しました。

(1)サプライチェーンの可視化
まずするべきは「生産」と「物流」の能力の可視化です。生産部門では、サプライヤーの階層や生産・供給力・生産拠点や製品ごとのリソース情報などを共有します。物流部門では、保管能力や在庫状況、リードタイムを共有します。これらの情報を可視化するだけ、非効率さや混乱を予測でき、リスクマネジメントの判断基準となります。

(2)DX化によるオペレーションの高度化
サプライチェーンを可視化するには、DX化は必須です。コロナ禍のような、いつどこでサプライチェーンが分断されてもおかしくない状況に対応するために、有事への対策を進めながら、感染拡大の状況により、刻々と変化する市場のニーズに対して即座に対応できる環境づくりは重要です。withコロナで求められるサプライチェーンのDX化は、以下のようなものとなります。

・AIを用いた需要予測精度の向上
・RPAによるサプライチェーンプロセスの効率化
・IoTを活用してサプライチェーン全体のリアルタイム可視化
・ITツールを利用し、業務の標準化・効率化を図る

これらをイチから再構築するのは難しいですが、既存のものを徐々に置き換えるなどを敷いて、少しずつでも前進しておくと、いざというときに対処できるようになります

(3)緊急事態に備えたシナリオ策定
シナリオ策定をする場合は、これまでの「従来型構造」を見直すことから始めます。従来型のサプライチェーンで想定していた「緊急事態」は、地震や台風などの災害や、サイバー攻撃などがほとんどでした。災害やサイバー攻撃は「影響度は大きいが影響を受ける期間は短い」ものなので、今回のコロナ禍のような「世界的に長期的な経済ショックが続く」ような事態とは違うシナリオを策定する必要があり、以下の要素を取り入れることがポイントです。

・事業活動の制限
・従業員の感染症対策
・製造業としての社会貢献
・適切な情報管理

 

「従来構造」のサプライチェーンからの脱却し「ネットワーク型のサプライチェーン」へ

エンドユーザーからサプライヤーまで、各プロセスが独立し、プレイヤー間での情報のやり取りを、上流から下流、下流から上流へチェーンのようにつないで手渡しすることが、従来型のサプライチェーンですが、情報が末端に届くまでに時間がかかるため、緊急時に対応できなくなってしまう脆弱性がコロナ禍において露呈しました。

従来構造のような、プロセスごとに情報に責任を持たせることは、慎重に物事を進めるには良いですが、時間とともに情報は劣化し、対応が後手に回ってしまいます。withコロナのサプライチェーンは、このような従来型の「リアクティブ思考」から脱却し、「プロアクティブ思考」へと変革しなければ、適切なSCMを実施することは難しいでしょう。これからのSCMは、さまざまな企業と協調しながら、リアルタイムかつシームレスに情報連携を行う「ネットワーク型サプライチェーン」を目指すことがポイントです。

全プレイヤー間で同じ情報が共有できれば、上流から下流へのデータの引継ぎに使っていたタイムラグや、時間経過による情報の劣化を防ぐことが可能となり、情報が到着する時間を短縮できるので、自律的・予見的に動くこともできます。また、同じデータを同時に共有するということは、データに作為的意図はいらないので、情報の信頼度も向上します。こうすることで時間的な余裕が生まれ、有事の際にとれる選択肢も増え、柔軟で適切な対応を取りやすくなります。

 

これからのSCM(サプライチェーン・マネジメント)はセミナーで学ぼう

今、サプライチェーンは生まれ変わるチャンスにあります。DXが難しい環境であっても、電子化の波が止まることないので、早めに対処できるような環境づくりが必須です。SCMやDXについて、知りたいことがあったらセミナーがお薦めです。Deliveru(デリバル)のWEBセミナーで、SCMやサプライチェーン、DX化などについて学んでみましょう。

 

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【参照情報】
Rentec Insight
>>>アフターコロナを見据えておきたい(サプライチェーンマネジメント)

i-common
>>>ウィズコロナ時代のサプライチェーン・マネジメント(SCM)に重要な3つの要件

pwc
>>>アフターコロナ/ウィズコロナ時代のSCM

経済産業省
>>>第1章 コロナショックが明らかにした世界の構造