<未来を創る新たな世界基準SDGs【3】> 政府が推進する「拡大版SDGsアクションプラン2019」の具体例について

日本政府は、「拡大版SDGsアクションプラン2019」で3つの柱、8つの優先事業を取り決め、SDGs推進事業の方向性を示しています。拡大版SDGsアクションプランでは、どのような取組みが採用されているのでしょうか?拡大版アクションプラン2019について、解説いたします。

 

SDGsアクションプランとは?

日本で最初の「SDGsアクションプラン」は、2017年12月の第4回SDGs推進本部会合で決定された「SDGアクションプラン2018」です。「SDGsアクションプラン2018」は、会合を重ねるごとに改訂を重ね、現時点では、2019年6月に発表された「拡大版SDGsアクションプラン2019」が最新版となっています。SDGsアクションプランは、「日本ならではのSDGsモデルを構築するため」「SDGs実現のため」に、日本政府が取組むことを分かりやすく示したものです。現行の「拡大版SDGsアクションプラン2019」は、以下の「3つの柱」と「8つの優先分野」で構成されています。

 

拡大版アクションプラン2019の「3つの柱」とは?

3つの柱では、日本政府が取組むSDGsアクションプランの大きな方向性を示しています。

(1)SDGsと連動するsociety5.0の推進
日本政府は、SDGs推進本部が取りまとめた「SDGs経営ガイド」、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に係るガイダンス等での各企業へのSDGs取組み促進、ESG(社会的責任投資)の呼び込みの後押し施策などで「Society5.0」の推進実現を目指しています。また、SDGsの浸透がしにくい中小企業のSDGs取組みを強化すべく金融機関、地域の関係団体との連携強化や、ビジネスの国際的なルールメイキングに貢献するための官民連携強化、SDGs取組に対する企業や団体などへのジャパンSDGsアワード表彰の設定なども盛り込んでいます。このようなSDGs推進とESG投資の呼び込みは、社会課題の解決と経済成長が両立する未来社会を生み出す構図であり、SDGsの理念とも一致するものと期待されています。

(2)SDGsを原動力とした地方の創生
日本政府では、「持続的な経済社会システムを実現する都市・地域づくり」を目指すべく、「環境未来都市構想」を推進しています。「環境未来都市」とは、「誰もが暮らしたいまち」「誰もが活力あるまち」を実現するもので、環境・社会・経済の三つの価値を創造するプロジェクトを取り組む自治体や地域を指し、「環境モデル都市」は「持続可能な低炭素社会の実現」に向けてチャレンジしている自治体や地域を指します。「環境未来都市」と「環境モデル都市」を同時に推進することで、「環境未来都市構想」の早期実現を目指しています。他にも2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年大阪・関西万博の運営・開催も、地方創生のためのSDGs達成に向けた取組みを推進し、「環境未来都市構想」と合わせて「SDGsモデル事例を構築」することを目的としています。また、海とは切っても切れない関係にある島国の知見を活かし、「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」「プラスチック資源循環戦略」を策定しています。

(3)SDGsの担い手として次世代や女性のエンパワーメント
次世代・女性のエンパワーメントを促進するため、発信力や創造力豊かな次世代やSDGsで、重視される女性が活躍できる場として「次世代のSDGs推進プラットフォーム」を設立し、女性の活動を支援します。海外では、2019年3月に開催された第5回国際女性会議WAW!/W20にて、途上国の女性に対しての教育支援(3年間で400万人)を表明、さらに「保健と教育」分野では「すべての人が適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを支払い可能な費用で受けられる」ことを目指したUHC(ユニバーサルヘルスカバレッジ)を推進するなど、グローバルファンドへの増資なども含めて、国際的な保健課題の解決に貢献しています。

 

拡大版SDGsアクションプラン2019「8つの優先事業」とは?

「3つの柱」を元に、具体的行動として示したものが「8つの優先事業」となります。「8つの優先事業」で取り組んでいる事例を一部ご紹介します。

(1)あらゆる人々の活躍の躍進
テレワークの実施、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改造など、働き方改革の着実な実施、女性の躍進、外国人、障がい者雇用などのダイバーシティ・バリアフリー推進を含んだ「あらゆる人々の活躍の躍進」をめざした取組みが、実施されています。海外では、子供の貧困問題、次世代の教育振興のためのSDGs推進プラットフォームの立ち上げ、ビジネスと人権に関する日本政府の人道支援を推進しています。(SDGs17の目標のうちのNo.1、No.4、No.5、No.8、No10、No12を目指しています)

(2)健康・長寿の達成
保健医療情報を全国の医療機関等で確認できるサービスなどを推進する「医療機関等における、健康・医療情報の連携・活用」や、健康・医療・介護のビッグデータを個人単位で連結しての解析、最先端技術の導入など「国民の健康確保に向けた健康・医療・介護のビッグデータ連結・活用」を目指した「データヘルス改革の推進」を実施し「健康・長寿の達成」を目指します。その他に、感染症対策をはじめとした医療の研究開発、ユニバーサルヘルス・カバレッジ(UHC)推進のための国際協力を実施しています。(SDGs17の目標のうちのNo.2、No.3を目指しています。)

(3)成長市場の創出・地域活性化・科学技術イノベーション
国内での成長市場の創出・地域活性化・科学技術イノベーション事業を推進するために、「未来志向の社会づくり」「基礎となる技術・データ」「地方創生や未来志向の社会づくりを支える技術・基盤・制度」などに関する取組みや制度の整備などに取組んでいます。また地方活性化のために、地方創生SDGsの推進、農山漁村の活性化、観光事業の継続、一次産業のスマート化を目標としています。途上国に対しては、SDGs達成に貢献すべく、日本の優れた科学技術を活用し「STI for SDGs(SDGsのための科学技術イノベーション)」を推進中です。(SDGs17の目標のうちの、No.2、No.8、No.9、No.11を目指しています。)

(4)持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備
生活サービス機能と住居を集約・誘導し、人口を集積する「コンパクトシティ」とまちづくりと連携した公共交通ネットワークの再構築を合わせた「コンパクト+ネットワークス」の活用で、「持続可能で強靭なまちづくり」と「戦略的な社会資本の整備」を推進しています。また、度重なる災害で培われた防災スキルを活かし、防災・減災機能強化のため、災害の予測・予防・対応力を向上させるための研究開発を実施し、「レジリエント防災や減災」の構築、リスク管理型の水の安定供給などの事業を推進しています。他にも、アジア・アフリカ諸国におけるインフラ支援、下水道分野の国際展開、水処理技術や廃棄物処理施設、省エネ、再エネ整備等の環境インフラの海外展開を官民一体で推進する「環境インフラの国際展開」を掲げ、「質の高いインフラの推進」取り組んでいます。(SDGs17の目標のうちのNo.2、No.6、No.9、No.11を目指しています。)

(5)省エネ、再エネ、気候変動対策、循環型社会
「徹底した省エネの推進」では、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金や、二酸化炭素排出抑制対策事業等補助金で、工場や住宅などにおける省エネ関連施設への投資の促進、事業者のエネルギー消費効率改善を推進しています。また、再生可能エネルギー電気・熱の自律的普及促進、バイオマス利活用の推進などの導入を促進する事業に取り組んでいます。「気候変動適応法」や「気候変動適応計画」においては、気候変動の影響に関する最新の知見を収集、関係府省庁と連携しながら、地域での気候変動に対処できる体制を整えています。また、日本の優れた環境技術・制度をパッケージとして提供すべく「脱炭素技術等、3Rの国際協力」でアジア諸国との連携を図ります。その他、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けた持続可能性の配慮や、地域のエネルギーセンターとしての廃棄物処理施設の整備、食品ロス削減、消費者志向経営の推進などで、循環型社会を構築する動きを見せています。(SDGs17の目標のうち、No.7、No.12、No.13を目指しています。)

(6)生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
四方を海で囲まれ、森林が国土の7割を占める日本では、森林、海洋などの環境保全も優先されます。有機農業・環境保全型農業の拡大を目指す「気候変動・生物多様性に配慮した持続可能な農林水産業の推進」や、環境で地方を元気にする地域循環共生圏づくり、SATOYAMAイニシアティブ、世界遺産の森林生態系保全対策など、農業や林業分野での様々な取組みを実施しています。海外では、農林分野での国際協力、途上国への温室効果ガス排出量削減対策のための森林経営などを推進しています。海洋環境保全に関しては、世界中で話題となっている「海洋プラスチックごみ対策」をはじめ、「海洋科学技術に関する研究開発および海洋調査の推進」「水産業・漁村の多面的機能の維持・増進」「海洋資源の持続的推進」などに取組んでいます。(SDGs17の目標のうちNo.2、No.3、No.14、No15を目指しています。)

(7)平和と安全・安心社会の実現
「子供の安全等」では、「子どもの不慮の事故を防止」のためのハンドブックの配布、「子どもの性被害の防止」「児童虐待防止策・社会的教育の推進」での関係府省庁の連携強化、適切な一時保護の実施、里親養育支援体制の整備、市町村、児童相談所の職員体制・専門性の強化などの取組みが進められています。「女性に対するあらゆる暴力の根絶」では、民間シェルターなどでの支援、DV対応と児童虐待対応との連携強化、加害者更生プログラムを含む包括的な被害者支援体制の強化、セクハラ根絶に向けた対策などを推進しています。また途上国に対して「児童労働撤廃に向けた取り組み」を実施し、国際労働機関(ILO)、をはじめ、国内外の組織と連携を図り、児童労働の撤廃を目指します。(SDGs17の目標のうちNo.16を目指しています。)

(8)SDGs実施推進体制と手段
SDGsを「知る」から「行動する」「貢献する」ための「広報・啓発の推進」、企業や市民団体、研究者等によりSDGsに関する取組や活動を共有するステークスホルダーズ・ミーティングの実施、NGO、経済界、政府の三者が協力連携して難民や自然災害発生時等の緊急人道支援を行うための協力体制としてのジャパンプラットフォームの設置などの「市民社会等との連携」、ESGに配慮した投資の促進、環境金融の充実、強化などによる「環境・社会・ガバナンス(ESG)投資の推進等」、中小企業等に対する海外展開支援、国連大学を通じた協力を推進する「途上国のSDGs達成に貢献する企業の支援」など、最後の項目ではSDGsを着実に実施、推進できる体制と手段がまとめられています。(SDGs17の目標の中でのNo.17のゴールを目指しています)

 

SDGsは知れば知るほど奥が深く、意外と身近な所で取組みが行われていたり、知らずに行動していたことがSDGsの目標の一つだったということも少なくありません。ここでご紹介した取り組みは、まだほんの一例です。もっと詳しく、分かりやすくSDGsを知りたい方には、セミナーがお薦めです。事例や用語を使いこなすためにもいかがでしょうか?

>>>最新のビジネスセミナーを探すなら『ビジネスクラス・セミナー』
※サイトにアクセスしたら、「SDGs」でフリーワード検索してください。

>>>WEBセミナーで受講したい方なら『Deliveru(デリバル)』
※サイトにアクセスしたら、「SDGs」でフリーワード検索してください。

 

【参照情報】
SDGs推進本部
>>>拡大版SDGsアクションプラン2019における主要な取組

gooddo
>>>SDGsアクションプラン2019の内容は?2018との変更点をわかりやすく解説
>>>SDGsに対する日本政府の取組みは?ビジネスや地方創生など分野ごとに紹介

SDGsジャーナル
>>>SDGsアクションプラン2019とは?前編

KEIDANREN SDGs
>>>Society5.0とは

年金積立金管理運用独立行政法人
KEIDANREN SDGs
>>>ESG投資とSDGsの関係