<”持続可能な事業”でSDGsの時代を生き抜くパーパス経営とは?【1】> パーパスの概念と歴史 世界で注目される背景について
- Precision Agriculture and Agritech concept. Precision agriculture network icons on rice field.
2015年に国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」は、これまでの社会活動、企業活動を世界中で見直すきっかけを与えました。そしてわずか数年で目まぐるしく激変する社会情勢の中で、価値観も変わり始め「これまで」のやり方が通用しなくなってきています。いま、企業が「持続可能な事業」を続けるためには「パーパス経営」です。「自社の存在意義」を明確化し「社会に与える価値」を見出すパーパス経営は、SDGs時代をお生き抜くための新たな経営手段として世界中で注目を集めています。パーパス経営の概念や歴史、注目される背景などについて見て参りましょう。
パーパス(purpose)経営について
まずは「パーパス(purpose)経営」についての解説をまとめました。
●パーパス(purpose)経営とは?
パーパス(purpose)経営とは、「社会においてどのような存在意義を出してどのような貢献をするか」を「パーパス」として掲げ、パーパスを軸として企業活動を行い、社会に貢献する経営手段の事です。「purpose」には「目的・意図」という意味があり、欧米諸国では「Purpose based management(パーパスに基づいた経営)」や、「Purpose driven business(パーパスを原動力にしたビジネス)」などの表現を使用しています。
●「経営理念」と何が違うのか?
パーパスと近い概念として、日本では昔から「経営理念」を掲げている企業が多く存在します。経営理念は「企業の存在目的」「企業の価値観」「企業の理想・精神・ビジョン」「企業の行動規範」の4つの要素を軸として掲げられ、社員に浸透させることで強い現場を作ることを目的としていました。しかし、グローバル化が加速すると、日本流の「経営理念」が通用しなくなるシーンも多くなってきているのが現状です。パーパスも「企業の存在意義」や「価値観」を見出す点においては、経営理念と似ていますが、意識の方向としては、経営理念は外発的な要素が多く、抽象度が高いほど社員が共感しにくいものになってしまうのに対し、パーパスは「企業がどのように社会に貢献するのか」「その結果社会にどんな影響を与えるのか」が言語化されるため、内発的な要素が高く、社員一人ひとりに浸透しやすいという違いがあります。
●「パーパス」と「MVV」との違い
もう一つ「パーパス」と混同されやすい言葉として「MVV」という言葉が存在します。MVVは以下の3つから構成されています。
・M:Mission(ミッション)
企業が果たすべき使命、企業として成し遂げたいこと
・V:Vision(ビジョン)
企業が果たすべき使命、企業として成し遂げたいこと
・V:Value(バリュー)
企業の価値観、行動指針
パーパスもMVVも意味合いは似たような印象を受けますが、MVVの場合は「企業がこう在りたい姿」だけで成立している言葉であるのに対し、パーパスの場合は「社会貢献するための企業のあるべき姿」を示すものなので「社会的つながりを考慮しているかどうか」が決定的な違いとなります。
パーパス経営はいつから存在するのか
「パーパス経営」という言葉は、2019年アメリカの大手経済団体である「ビジネス・ラウンド・テーブル」が「企業のパーパスに関する声明」を発表しました。この声明においては、これまでの「株主市場主義」を見直して「人や社会を重視する方針」へ転換すべきとも宣言しています。また、ビジネス・ラウンド・テーブルがパーパスに関する声明を出す1年前の2018年に、ブラックロック社のラリー・フィンク氏が、投資先の企業に宛てた書簡で、「企業が継続的に発展していくためには、すべての企業は優れた業績のみならず、社会にいかに貢献していくかを示さなければなりません」と説いており、利益創出の社会から、社会課題解決への貢献にも重きを置くべきという機運が高まるきっかけとなりました。パーパスという言葉が生まれたのは2019年の声名がきっかけですが、その概念は2018年から存在していたことになります。
パーパス経営が注目される理由
パーパス経営が注目されてい理由として、以下の理由が考えられます。
(1)SDGsの世界的な関心の高まり
2015年に国連で採択されたSDGsは「持続可能な社会」を実現するための国際目標です。SDGsには企業が主導すべき課題も含まれており、企業でSDGsに取り組み、推進する「サステナビリティ経営」に社会的関心が高まる様になりました。サステナビリティ経営を成功させるためのカギとして、パーパスの策定は必要不可欠となるため、サステナビリティ経営が注目を集めると、パーパスも同時に注目を集めるようになったのです。
(2)ESG投資の影響
ESG投資とは「環境・社会・ガバナンス」を重視した投資のことで、世界中の投資家たちの視線を集めています。これまで、どの会社が成長するか、儲かるかという財務情報に基づいた投資が一般的でしいたが、ESG投資では「環境や社会に貢献しているかどうか」に考慮した投資方法へと流れが変わってきているのです。(1)でも解説しました、SDGsに取り組む企業は、ESG投資の対象となるため、パーパス経営が注目を集める理由のひとつとなります。
(3)ミレニアル世代やZ世代への世代交代
日本においては、ミレニアル世代やZ世代への世代交代もパーパス経営に影響を及ぼしてきます。これまで、日本社会は団塊の世代や氷河期世代が中心となっていました。しかし、1980年代~1990年代半ば生まれのミレニアルと言われる世代、そして、1996年以降に生まれたZ世代が台頭して絵来ると、前述の2つの世代と比べ価値観に大きな隔たりが現れわれます。ミレニアル世代とZ世代はエシカル消費を行う傾向が強く、企業に対しても、経済的価値だけでなく、社会的価値も求めがちです。これらの世代はパーパス経営との相性が非常に良く、共感や支持を得やすくなっているとのことです。
セミナーを受講して「パーパス経営」を知ろう!
SDGsを知っている人はいても、パーパス経営はまだ知らない、という人は多く存在します。パーパス経営はまだまだ新し言葉ではありますが、取り組むなら意識を切り替る必要もあるため、早めの対策が必要です。セミナーならパーパス経営について手軽に学べるほか、Webセミナーならば繰り返し学習することも可能です。下記URLよりセミナーをお選び下さい。
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