<withコロナのSCM(サプライチェーン・マネジメント)を考える【1】> SCMとは?新型コロナウイルスはサプライチェーンにどのような影響を与えたのか?

私たちが普段何気なく暮らしている身の周りには、日常的に不自由なく使用している「製品」であふれています。大量に出回る「製品」は、日本の製造業が支えており、ユーザーの手に届くまでに様々な生産・流通プロセスである「サプライチェーン」を経ていることは、普段あまり意識されていません。このサプライチェーンが新型コロナウイルスの影響で世界的に大打撃を受けました。当たり前に使用していた製品が、突如「品薄」や「入荷未定」となり、手元に届かなくなったのです。このような市場の混乱を避けるため、コロナ禍の現在では、サプライチェーンをマネジメントする「SCM(サプライチェーン・マネジメント)」が注目されています。SCM(サプライチェーン・マネジメント)とは、具体的にどのような取組みなのでしょうか?新型コロナウイルスがサプライチェーンに与えた影響とともに、SCMが注目された理由などを紐解いてみます。

 

コロナショックが世界にもたらした「サプライチェーンの寸断」

2020年初頭から、瞬く間に世界を駆け巡った新型コロナウイルスは、サプライチェーンに大打撃を与えました。切れてはいけないはずのサプライチェーンが、世界のあちこちで寸断されてしまったのです。

【世界的サプライチェーンの寸断】
経済産業省の資料によると、以下のようなサプライチェーンの寸断がありました。
・アメリカ→日本  自動車部品の寸断
・東南アジア→日本 自動車部品・電子部品の寸断
・中国→日本    自動車部品・電子部品の寸断
・EU        移民の停滞が労働力不足に
・EU        国境通過に要する時間が増大
・中国       都市封鎖による陸上運送の遅延、中国発コンテナ船の減便
・世界       旅客機の減便が航空輸送の減少に

このように、「必要な部品が入手できない」「在庫の補充が間に合わない」「需要予測の判断が遅れる」など、世界各国で悲鳴が上がり、各企業に大きな打撃を与え続けました。コロナショックは一時的なものではなく、長期に及んだため、サプライチェーンの寸断から立て直しをできず、事業の縮小や撤退に追い込まれた企業もありました。

 

withコロナで注目を集める「SCM(サプライチェーンマネジメント)」とメリット

SCM(サプライチェーン・マネジメント)の意味やメリットについて解説します。

●SCM(サプライチェーン・マネジメント)とは?
SCM(サプライチェーン・マネジメント)とは、サプライチェーンを一元管理して情報共有し、全体の最適化を図ることを言います。サプライチェーンとは、「商品が消費者に届くまでの供給の連鎖」という意味です。

【サプライチェーンの具体例】
原材料・部品の「調達」→商品の「製造」→「在庫管理」→「物流・流通」→「販売」

これらの生産・物流のプロセスは、「供給の連鎖」が「鎖(チェーン)」のように繰り返されることから「サプライチェーン」と呼ばれるようになりました。サプライチェーンは、プロセスごとに別々の企業や部門が担当するため、情報共有がうまく行かずに、しばしば無駄が発生することがネックでした。SCMでは、ITツールを使い、サプライチェーン全体の最適化を図って無駄をなくすことを可能とします。

●SCM(サプライチェーン・マネジメント)のメリットについて
SCMで最適化しいたサプライチェーンには、以下のようなメリットがあります。

・需要に応じた生産計画の立案
・最適な調達先の選定
・在庫が適正化
・リードタイムの短縮化
・コスト削減

このように、SCMを実施することにより、各プロセスでのサプライチェーンが最適化され、強いては全体の最適化につながるのです。

 

SCM(サプライチェーンマネジメント)が注目を集めている3つの理由

SCMは、2000年代初頭にも一度注目されたことがありましたが、一過性のブームで終わってしまいました。現在SCMが注目されはじめたのは、どうしてでしょうか。それには、以下の3つの理由が挙げられます。

(1)グローバル化によるサプライチェーンの複雑化
ビジネスのグローバル化は留まるところを知らず、日々進化し続け、サプライチェーンは複雑化しています。サプライチェーンが複数の国をまたぐようになると、膨大な情報をアナログで管理することは難しくなってしまいます。また、競合他社も同じように世界へとネットワークを広げることもあり、あらゆる業種で、企業間でのグローバルな競争が激化している現状があります。他社よりも、リードタイムを短縮化し、コスト削減をしないことには、生き残れない時代となっています。そのような現状もあり、SCMでサプライチェーンを強化する企業が増えています。

(2)ビジネス環境の変化への対応
昨今、顧客ニーズは多様化し、需要変動が激しさを増しています。損失を出さないためにも、柔軟な対応が取れるサプライチェーンの構築が必要です。需要変動は顧客ニーズだけでなく、災害や、コロナ禍といったパンデミックなどからも影響を受けやすいという特徴があります。事実、コロナ禍においては、物流・人流が著しく制限され、製造業のサプライチェーンは大打撃を受けました。withコロナでビジネスを営むなら、このような環境の変化にも負けず、すぐに立て直せるようなSCMがもはや必須となっています。

(3)IT技術の革新
IoTなどのIT技術は、SCMに欠かせないツールです。IoTはサプライチェーン全体をオンタイムで監視することができ、AIは需要予測の精度を向上させます。ロボティクスは各プロセスの効率化を推進させ、ITツールでは業務の標準化や効率化を可能とします。これらのIT技術の革新は、はじめにSCMが注目された2000年代よりも驚くほどの発展を見せ、当時夢物語だったことを現実とするまでに至っています。

 

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【参照情報】
Rentec Insight
>>>アフターコロナを見据えて考えておきたいSCM(サプライチェーンマネジメント)

i-common
>>>ウィズコロナ時代のサプライチェーン・マネジメント(SCM)に重要な3つの要件

PWC
>>>アフターコロナ/ウィズコロナ時代のSCM

経済産業省
>>>第1章 コロナショックが明らかにした世界の構造