働き方改革で注目されているテレワーク推進事業について

働き方改革の中でも、「新しい形の働き方」の一つとして注目されているのが、『テレワーク』です。『テレワーク』は、仕事と家庭を両立させる「ワーク・ライフ・バランス」の実現に、効果的な働き方とされています。そんな『テレワーク』の初歩的な疑問や、活用方法などについてご説明いたします。

 

テレワークとは?

テレワークとは、ICTなどの情報通信技術を利用して、時間や場所を有効に活用できる、柔軟な働き方のことを指します。自宅や、サテライトオフィスなどで通勤にこだわらない働き方ができるので、これまで育児や介護などの家庭の事情で就労できなかった人や、通勤がネックで地元を離れられなかった人などに、就労の選択肢が広がります。テレワークを導入することにより、これまで仕事に参加できなかった層を労働力とすることができる上に、地域活性化への寄与も期待されています。

総務省では、関係省庁や東京都及び関係団体と連携し、2020年に向けたテレワークの国民運動プロジェクト「テレワーク・デイズ」に取り組んでいます。東京オリンピック・パラリンピック時に想定される交通混雑の緩和を図るため、全国一斉テレワーク実施を企業に呼びかけています。また、テレワーク導入を検討したい企業や、テレワークを導入することに対して、管理や技術的な不安がある企業や団体へ、テレワークマネージャーを派遣するなどのバックアップも実施しています。

 

テレワークの種類について

テレワークは、「所属するオフィスから離れて仕事を行う」という働き方なのです。“テレワーク=在宅ワーク”というイメージが先行しがちですが、在宅以外の選択肢もあります。以下でテレワークの種類をご説明いたします。

(1)在宅勤務
「在宅勤務」とは、所属ずるオフィスに出勤せず、自宅を就業場所とするスタイルです。通勤する時間や労力が軽減されるだけでなく、外出時間や会議などの時間も業務に充てられます。ワーク・ライフ・バランスを実現する上で効果的と言われ、育児や介護を抱えた人のキャリア継続などにも、期待が寄せられています。

(2)モバイルワーク
営業などで外出の多い人が、交通機関内や車内などの移動中や、顧客先、カフェなどを就業場所とするスタイルが「モバイルワーク」です。移動時間を有効活用できるので、顧客先などで迅速に対応できる点がメリットです。営業のあと、オフィスに戻って仕事をする身体的負担も軽減でき、様々な場所で効率的に業務ができるので、生産性の向上が見込まれます。

(3)サテライトオフィス
「サテライトオフィス」とは、所属するオフィス以外のオフィスや、遠隔勤務用の施設を就業場所として働くスタイルです。遠隔地に本社のある企業の支社などに、テレワーク専用の作業スペースを設けて職住近接の環境を確保するなどの事例が該当します。例えば、配偶者の転勤で、これまで務めていたオフィスを辞めなければならない、となった場合、転勤先にサテライトオフィスの環境があれば、仕事を継続することが可能です。企業の支社がなくても、遊休施設や空き家などを活用するケースもあり、人材確保以外にも、地域貢献やオフィスコストを抑える効果もあります。

 

テレワーク推進のメリット

テレワークを推進することにより、どのようなメリットがあるのでしょうか?既にテレワークを導入している企業が感じる「テレワーク推進の効果」を参照に、企業目線・従業員目線でのメリットをまとめてみました。

■ 企業側が感じるテレワークのメリット
・離職率が改善し、従業員の定着率が向上した
・優秀な人材の流出を防ぐことができた
・社内業務を見直し、資料の電子化などの業務改善のきっかけとなった
・オフィス維持費、通勤費などのコストカットができた
・テレワークを導入することで、企業ブランドやイメージを向上させることができた

■ 従業員が感じるテレワークのメリット
・家族と一緒に過ごす時間や、自分の趣味の時間が増えて充実した日々を過ごせるようになった
・仕事に集中できるので、以前より作業効率が良くなった
・職場と離れていることにより、かえって職場と密に連携を図るよう心がけているので、信頼関係がアップした
・通勤によるストレスが軽減し、体調が良くなった分、以前より仕事に向き合えるようになった

 

テレワーク導入にあたり就労規則・労働基準法・労災はどうなる?

テレワークを導入するにあたり、企業側も従業員側も気になるのは、「就労規則」「労働基準法」「労災」などの取り扱いです。それぞれ解説いたします。

・就労規則
テレワークを導入する際には、就業規則にテレワークに関して「在宅勤務を命じることに関する規定」、「在宅勤務用の労働時間を設ける場合、その労働時間に関する規定」「通信費などの負担に関する規定」などの項目を設ける必要があります。従業員が常時10人以上在籍する企業では、上記のような規定を追加、または変更した場合、所定の手続きを経て、所轄の労働基本基準監督署に届け出なければなりません。就業規則の作成や届け出義務のない企業では、上記の規程について労働条件を労働者に通知する、労使協定を結ぶ、などして周知します。

・労働基準法
テレワークでの働き方「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」いずれの場合も、通常の従業員同様、労働基準法などが適用されます。特に、在宅勤務の場合は、以下の事項について把握しておく必要があります。

(1)労働条件の明示
労働基準法施行規則5条2項により、「事業主は労働契約締結に際し、就業の場所を明示する必要」があります。在宅勤務の場合、就業場所として従業員の自宅を明示しなければなりません。

(2)労働時間の把握する
「労働時間の適性な把握のために使用車が講ずべき措置に関する基準平成13.4.6基発第339号」によると、事業主は労働時間を適正に把握するため、従業員の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録する必要があります。

(3)業績評価・人事管理等の取り扱いはどうか
労働基準法89条2号により、業績評価や人事管理について会社へ出社する従業員と異なる制度を用いるのであれば、その取扱い内容を丁寧に説明しなければなりません。その際は就業規則の変更手続きが必要となります。

(4)通信費・情報通信機器等の費用負担について
在宅勤務等を行う従業員に、通信費や情報通信機器等の費用負担に関しては、あらかじめ話合いをして決めておく必要があります。従業員に費用負担をさせる場合は、就業規則にその旨を規定します。

(5)社内教育や研修制度の取り扱い
社内教育や研修制度に関する定めを取り決める場合、在宅勤務を行う労働者については、当該事項も就業規則に規定します。

・労災
テレワーカーであっても、企業に所属する労働者である以上、通常の就業者と同じように「労働者災害補償保険法」の適用を受け、業務災害、通勤災害に関する保険給付金を受け取る事が可能です。この場合の「業務災害」とは、「労働者が業務を原因として被った不肖・疫病・または死亡」であり、業務災害と認めらえるには、業務と業務災害の間に一定の因果関係があることが必要です。そのため、労働者による私的行為、または業務を逸脱する恣意的行為を行ったことによる傷病などは、業務災害とは認められません。

 

このように、新しい働き方であるテレワークは、働き方改革による国の後押しもあり、徐々に広がりを見せています。いつテレワークの導入が決まっても慌てる事のないよう、働き方改革やテレワークなどのセミナーを覗いてみましょう。

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【参照情報】
厚生労働省
テレワーク導入のための労務管理等Q&A集
一般社団法人 日本テレワーク協会
テレワークの導入・活用に向けて
働き方改革・休み方改善ポータルサイト
テレワークとは