<時代に合わせた再教育「リスキリング」で次世代の人材育成【1】> 「リスキリング」とは?「学び直し」が推奨される背景とメリットについて
日本のビジネスシーンで重要課題とされているのは産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化であり、ここ数年で、様々な業務が自動化、もしくは電子化されています。日本のデジタル化はコロナ禍が起因とされていますが、その少し前に「第四次産業革命」という言葉とともに兆候は表れており、遅かれ早かれ「これまでの働き方」が通用しなくなる時代となっています。
業務のプロセスが大きく変わる中、経済産業省では、これまで存在しなかった仕事や課題に対処できるための人材を育成するように「リスキリング」を推奨しています。リスキリングで企業はどう変わることができるのでしょうか?リスキリングのメリットなどと合わせて解説いたします。
リスキリングとは?概要とその特徴
まずはリスキリングの基本的な概要についてまとめました。
●リスキリングとは?
「リスキリング」とは「技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために新しい知識やスキルを学ぶ」ことを意味する言葉で「人材の再教育や再開発を行う取り組み」を指します。2020年に開催されダボス会議で発表された「リスキリング革命」をきっかけに世界中で注目を集めています。経済産業省ではリスキリングの定義を「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」としており、これまでになかった「デジタル化」に向けて、必要な人材を育成するため、今、国を挙げて推奨している取り組みとなっています。
●リスキリングの特徴
リスキリングとよく混同される言葉で「リカレント教育」があります。リカレント教育は「リカレント(recurrent)」が持つ「循環する」という言葉の意味通り、一度会社を離れ、大学などで学び直しをしてから戻る手段を指します。対してリスキリングは、通常業務と「並行しながら学ぶ」という大きな特徴を持っています。リカレント教育が「個人の学び」に重きを置いているのと違い、リスキリングでは「社員にスキル獲得を促し、企業のとし即戦力とする」という目的があるため、同じ「学び」でも大きな違いがあります。
●リスキリングが求められる業務
どのような業務にリスキリングが求められるのでしょうか?シンプルに表現すると「手作業」のものが「デジタル」に変わるケースです。製造業で例えると、これまで手作業で行われてきた商品製造や商品管理が、オートメーション化した場合、自動化のプログラム設計や、管理、メンテナンスなどが必要となります。作業工程がまるで変ってしまうので、リスキリングの必要性が高くなります。また、事務作業もRPA(ロボティクスオートメーション)が導入されれば、AIに業務をさせるための処理が必要となるため、AIのための設定や変更作業が出来るスキルが必要となります。
リスキリングが推奨される理由
2020年のダボス会議で「リスキリング革命」が議題に上ったことがきっかけで、リスキリングは世界中から注目を集めることになりました。その目的は「2030年までに全世界で10億人により良い教育、スキル、仕事を提供する」といったものであり、第四次産業革命に伴う技術革新の対応を視野に入れたのでした。日本政府でも2022年10月に「人への投資」と「企業間の労働移動の円滑化」のため、リスキリングのための支援制度を総合政策の中に盛り込む考えを表明しています。国内外において、これだけリスキリングが推奨されてるのはやはり、加速するDX化が大きいと考えられます。
DX化が進めば、産業全体の作業の仕組みが大きく変化し、従業員に求められるスキルもこれまで培ったものでは通用しなくなってきます。企業が生き残るためには、従業員の能力や仕組みを再開発し、デジタル事業を活用して新たな価値創造を可能としなければなりません。また、このタイミングでDX化が加速した理由のひとつとして、コロナ禍の影響も無視はできません。商習慣や働き方が一変してしまったこの状況をピンチではなくチャンスに変えるためにも、リスキニングは欠かせない要素となってくるのです。
リスキリングのメリットとは?
リスキリングによって得られるメリットとして「人材不足に対応できる」「業務の効率化」が挙げられます。それぞれについて解説します。
●人材不足に対応できる
日本のDX人材、IT人材不足は深刻で、10年以内に国内では、デジタル人材などの専門職・技術職は数百万規模の人材不足に陥ると予測されています。DX人材を募集しても人が集まらないことは明白で、あとは内部人材を育成するしか選択肢がありません。リスキリングで必要なスキルを身に付けるということは、将来的に企業にとって大きなメリットであり、プラスとなる要素なのです。
●業務の効率化
リスキリングにより、従業員が新たなスキルを得ることで、DX導入が進んで業務の効率化を図ることが可能です。そして、従業員に対して更なるキャリア形成の支援を確立することで、従業員のエンゲージメント向上を図ることができ、結果的に生産性の向上も期待できます。リスキリングによってスキルアップを目指すという機運が全社的に高まると、自分で新たなスキルを獲得しようという風土が生まれ「自律型人材」を生み出しやすくなり、人材育成の側面でも大きなメリットがあります。
DX・IoT・AIなどのリスキリングにセミナーを活用しよう
リスキリングには、繰り返し学べるセミナーがおすすめです。下記サイトでは、DX戦略をはじめ、IoTやAIなどに関するセミナーも多数ご用意しています。お好きなセミナーを選んでご自身にピッタリの「学びの方法」を探してみてください。
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【参照情報】
JMAM
>>>リスキリングとは?DX時代に求められる理由や導入のポイント、事例を解説!
CXジャーナル BY PKSHA
>>>経済産業省が推進する「リスキリング」とは|DX・IT人材のスキル育成