<リスキリングで生まれる新たな価値創造【2】> 「リスキリング」の海外事情と日本での認知度について

インターネットの発達をきっかけに次々とデジタル化の波が押し寄せてくる中、これまで当たり前だと思っていた仕事が、あっという間に「消えゆく仕事」となり、職を失う人間が世界中にあふれています。日本も例外ではなく、コロナ禍において拡充したテレワークなどの影響による業務のデジタル化で、これまで対面や紙面で行ってきたアナログな仕事が一気に姿を替え、仕事の変革についていけない人、これからついていけなくなる人への懸念が指摘されています。仕事を失う人たちが社会に生き残るために重要なことは、「仕事をあきらめる」ことではなく「新しい仕事のためのスキルを習得する」ことです。そこで注目されているのは、「新たにスキルを取得するための取組=リスキリング」です。いま、世界でその取組みが重要視されているリスキリングが、注目されたきっかけや、日本での認知度について見てまいりましょう。

 

リスキリングが世界で注目されたきっかけとは?

リスキリングが世界で注目されたきっかけとなったのは、2020年1月のダボス会議で提言された「リスキング革命」でした。あらゆるテクノロジーの進化により様々な業務プロセスがAIやロボットにとって代わり、これまでになかった価値創造が生み出されると期待される一方で「技術的な失業」が懸念されていました。この「技術的失業」を解消する手立てとして、新しい技術に必要なスキルを学ぶ「リスキリング(RE-Skilling)」脚光を集めたのです。

リスキリング革命では、「2030年までに世界で10億人をリスキルする」という目標を掲げ「リスキル革命のプラットフォーム」を構築することが宣言されています。そしてさらに、今後10年で、リスキリングに向けたより良い教育、スキル、仕事を提供すると発表しました。

 

リスキリングの先駆者・アメリカの「AT・T」の先見

海外で、リスキリングの取組みが盛んなのはアメリカですが、中でも、ワーナーメディアを傘下に抱え、通信事業も運営する「AT・T」はアメリカ国内において、リスキリングの先駆者と言われています。AT・Tが2008年に実施した調査では、自社の従業員25万人のうち、これから必要な事業のスキルを持つ人は半数に過ぎず、約10万人は10年後に存在いしない仕事のスキルしか持っていない」ということを把握しました。そこでAT・Tでは、2020年までにどのようなスキルが必要となるかを調査し、2013年から従業員に対してリスキリングのプログラムをスタートさせました。その上で、従業員のキャリア開発支援ツールなども開発し、従業員が関連部門の見通しや、賃金の範囲などの情報収集を可能とすることで、従業員が自発的にキャリアップのためのリスキリングに取組めるような環境整備をしました。

結果、AT・Tの社内で必要な技術職の81%が外部からではなく内部の異動だけで充足でき、リスキリングに参加した従業員は、リスキリングに参加しない従業員よりも高い評価や表彰を受けることができ、昇進率もアップしました。さらに驚くことに離職率が1.6倍も低くなっていたとのことです。アメリカではAT・Tの他に、AmazonやWal-Martなどの世界的に有名な企業もリスキリングの取組みを始めています。

 

日本のリスキニング認知度は?

他方、日本のリスキリング事情に目を向けると、その認知度は「低い」と言っても過言ではないでしょう。日本のリスキリング認知度は何故低いのでしょうか?世界から出遅れてる理由について以下に記しました。

・OJT中心の日本式ジョブローテーションの人材育成が日本の企業風土に長年染み付いていた
・コロナ禍でテレワークが拡大するまでデジタル化の意識が低かった
・いざDX化しようとしたときにDXを担う人材がいなかった
・日本企業のIT導入は外部企業に委託することが多いからDX人材を育ててなかった

日本でのテレワークやDXは、コロナ禍において加速した部分があるため、どの企業も準備不足のままデジタル化の波に巻き込まれてしまった状況にあります。リスキリングは、これからの日本企業にも必要な取組であり、DX化と同時進行で進めた方が良いという意見もあります。

 

リスキリングを成功させるには

日本でリスキリングを成功させるには、どのようなポイントを押さえたら良いでしょうか?

●事業戦略の大きな転換と捉えて取り組む
リスキニングに取組むという事は、「将来失う仕事がある」「新しいことに取組まないと生き残れない」という大きな転換期を迎えているというということにも相当します。事業戦略の大きな転換期には、不要なスキルを持つ人材が「余剰」し、必要なスキルをもつ人材が「不足」する傾向にあります。ここで、従来の日本社会であれば「余剰」な従業員を「リストラ」することでコストを削減していましたが、これからの時代はAT・T社のように、リスキニングを導入することで、必要な人材を自前で確保できる可能性が見いだせます。これは短期で成果が出るものではないので、長期的な取組みの中で、リスキリングをどう活用するか、企業側は、時間と資金を投資する覚悟で臨む必要があります。

●外部コンテンツやプラットフォームを活用する
リスキリングを導入する場合、従業員に何から学ばせたらよいのか、シンプルで一番大切な悩みが発生します。その場合以下の2つの方法がお薦めです。

・経済産業大臣が認定する「第四次産業革命スキル習得講座認制度」を受講する
・専門性の高い講座を用意しているWEBセミナーコンテンツやプラットフォームを活用する

従業員のリスキリングに対して、社内研修だけで学ぶにはが限界があります。経済産業省が推奨する認定制度や、デジタルスキル系やIT・AIについて学べる外部業者のセミナーなどを受講するという手段もあります。

 

セミナーでもっとリスキリングを知ろう!

リスキリングを導入する場合の有効手段としてセミナーで学ぶことをお薦めしましたが、下記のセミナーサイトなら、最新のデジタル事情、DXなどについて学べる講座がたくさんあります。もちろんリスキリングについても知ることが可能です。数あるセミナーの中で、今学びたい講座を選んで、ぜひお仕事にお役立て下さい。

■会場型セミナーで受講したい方は『ビジネスクラス・セミナー』
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※サイトにアクセスしたら、「リスキリング」「アップスキリング」などでフリーワード検索してください。

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【参照情報】
Recruit Works Institute
>>>世界が急ぐリスキリング、日本はどう追うべきか

>>>第2回リスキリングとは何か

ツギノジダイ
>>>リスキリングとはOJTで対応できないDX時代の人材育成を解説

MRI三菱総合研究所
>>>求職支援者に産業転換の視点を