<物流業界の課題を解決する「スマートロジスティクス」【2】> スマートロジスティクスの海外事例と国内事例・これから期待される技術とは?

長年にわたって抱えていた物流業界の課題を、最新のテクノロジーで解決すると期待されているスマートロジスティクス。既に一部の大手企業で導入しており、成果を上げていることで注目を集めています。大手企業以外からは、高嶺の花と思われていたAIやIoTなどの最新テクノロジーは、近年の目覚ましい発展により、導入しやすいものとなりました。スマートロジスティクスは、具体的にどのような導入事例があるのでしょうか?いち早くスマートロジスティクスを導入した海外の事例と、日本国内の事例をご紹介します。

 

スマートロジスティクスで何ができるのか?

事例の前に「スマートロジスティクスで何ができるのか?」について、物流業界の課題と合わせてみてみましょう。

●倉庫内での長時間労働
物流業界の人手不足の原因の一つに「長時間労働」が挙げられています。大量の荷物を捌く必要のある倉庫内作業は、慢性的な人手不足もあり、長時間労働が課題となっていました。BtoBが主流だった物流市場は、ネット通販の登場や新型コロナウイルスの巣ごもり需要もありCtoCの少額小口荷物が増加したため、長時間労働問題に拍車がかかっています。スマートロジスティクスでは、IoTを用いたハンディターミナルとタブレットで作業を効率化し、AIで管理を最適化することで、作業時間の短縮を図ることが可能です。

●ピッキングミス
倉庫内作業で多いのはピッキングミスです。人の手で一つ一つ作業するのはとても手間がかかり、長時間労働が重なると、数え間違いや、荷崩れなどのヒューマンエラーが起きやすくなります。このようなピッキングミスは、AIを搭載したピッキングロボットで解消できるとされています。

●配送ドライバー不足
配送ドライバー不足は、配送ルートの最適化で対応します。この場合の「最適化」というのは、単純にルートの選定だけではなく、荷物の量、当日の天候、渋滞状況、道路規制などの情報をAIが分析し「その時に最適なルート」を提案して、配送のロスをなくします。物流業界の課題の多くは「ベテランのノウハウ頼り」な事が多く、若者は長く続かないことが多いためか、人材の高齢化も大きな課題となっていました。スマートロジスティクスを導入し、AIやIoTなどの最新のテクノロジーを駆使することで、新人でもスムーズに仕事ができるようになると期待されています。

 

スマートロジスティクスの導入事例について

では、海外と日本国内のスマートロジスティクス導入事例を見て参りましょう。

【海外】
●Combi Terminal Twente(オランダ)
Combi Terminal Twenteは、オランダの海運会社です。主に西ヨーロッパでコンテナ輸送を展開していましたが、長年紙ベースでの出荷や追跡管理から、スマートロジスティクスへと切り替えました。Combi Terminal Twenteが導入したのは、Microsoftが提供する「AtBot」「MicrosoftTeams」「Azure Cognitive Service」「powerplatform」などの複数のサービスでした。例えば、「AtBot」は会話型のUIが作成できるツールで、「Azure Cognitive Service」はAIを作るツールです。これらのツールにより効率の悪い紙ベースの管理から、出荷のスケジューリングや、追跡調査のデジタル化に成功しています。

●Walmart(アメリカ)
アメリカの世界最大のスーパーマーケットとして知られているWalmart(ウォルマート)では、ピッキングロボットを導入して、業務の高速化と効率化を図りました。Walmartのピッキングロボットは、棚とレールが一体化した専用倉庫内で、オンライン受注の商品を自動でピッキングし、ワークステーションに運ぶ業務を担います。ピッキング作業を人の手で行っていたころは、受注を受けた従業員が売り場を回って商品をピックアップしていましたが、専用倉庫でのピッキングロボットを導入してからは、業務の高速化と効率化が実現しています。

【国内】
●ヤマトホールディングス
日本で最大手の宅配業者である「ヤマトホールディングス」では、アルフレッサホールディングスと業務提携し「配送業務量予測システム」を実装しました。この「配送業務量予測システム」では、ビックデータを活用し、配送に係る業務量予測と適正配車計画を立てることで、人件費やガソリン代のコストカットの他、CO2削減など環境保全にもつながると期待が寄せられています。現在は、首都圏のみでの実装となっていますが、いずれ全国へシステム導入を拡大する予定とのことです。

●楽天・西友
ネット通販を展開する楽天株式会社と、合同会社西友は、横須賀市で「自動配送ロボット」を期間限定で提供しました。「西友馬堀店」で行われたこのサービスは、対象地域の住民が専用のスマホ向け注文サイトより発注した品物を、自動配送ロボットが指定された住所と配達時間に届けるというものです。目的地に到着したロボットは、自動音声を使用した電話で通知すると、消費者はロボットの側面に搭載された操作パネルに暗証番号を入力し、正しいと認識されれば、商品を受取ることが出来ます。ロボットは遠隔監視されているものの、公道を走行する自動配送ロボットが配達したのは国内初の事例となります。

 

スマートロジスティクス技術と行政の動き

スマートロジスティクスのテクノロジーは、今後ドローンや自動運転技術などの活用が期待されていますが、実用に至るための法整備などはどのようになっているのでしょうか?スマートロジスティクス技術と行政の動きについてまとめました。

●ドローン配送の実現
スマートロジスティクスのこれからを語る場合に、必ず登場するのは「ドローンによる配送」です。ドローンはビジネス市場規模が拡大するとともに、その性能も向上しており、物流業界でのドローン配送も夢ではないと言われています。現状では、航空法で定められている4段階のドローン飛行レベルは「有人地帯での目視外飛行」は認められていませんが、2022年硬軟に予定されている改正航空法の試行でレベル4が認可される見通しとなっています。レベル4が施行されれば、人がいるエリアでドローンを飛ばせるようになり、ドローン配送実現へ一歩進むことが出来ます。

●物流配送トラックの無人化
ドローン配送と同じように話題となるのは「物流配送トラックの無人化」です。国内の物流配送は陸上トラックに頼るところが多く、そのシェアは95%を占めています。それに反して、慢性化しているドライバーの人員不足は高齢化にも拍車がかかっており、増大する荷物を捌ききれなくなる恐れが出てきています。この課題を解消するため、物流配送トラックの無人化は急務であり、現在その研究が進められています。楽天と西友の取組みのような事例もあり、短距離ではありますが、物流配送トラックの無人化は少しずつ実現へと向かっています。

 

スマートロジスティクスと物流の今を知るならセミナーがお薦め!

スマートロジスティクスを導入することができれば、今抱えている課題の多くを解決できるきっかけを作ることが出来ます。まずは日本の物流の現状や世界の物流などを学んでみてはいかがでしょう?下記セミナーサイトには、物流に関するセミナーも多数用意しております。スマートロジスティクス導入前に、ぜひとも受講してみてください。

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【参照情報】
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