【企業法務の基礎知識23若葉マークの入門編】 商標について⑥ 商標のライセンス契約とは何か?
お疲れ様です!いのりんです。
GWが明けてからも冬物の服が手放せない日々が続いていましたが、
あっという間に連日夏日が続く蒸し暑い陽気となりましたね。
リモートワーク中なので通勤のために服を選ばなくて済む分、
着回しも日々適当になってきていて反省の日々。
早く夏物を買いに行きたいのですが、もう少しお家でガマンします(涙)
さあ、気を取り直して今回も「商標」のお勉強です!
まずはポイントからおさらいしましょう♪
【商標3つのポイント】
ポイント①商標と認められるには?
(1)事業者が使用するマークであること
(2)自己の商品・サービスと他人の商品・サービスを区別するために使用すること
ポイント②商標はマークだけを登録しているわけではない
「商標権」とは「マーク(商標)」+「使用する商品・サービス(役務)」のセットで登録される
ポイント③商標権を得ることによるメリット
(1)商標権を取得すると自分の商標として使用できる
(2)自分が登録した商標には指定標品・指定役務について独占することができるため、商標を無断使用された場合、もしくは類似した商標について使用の禁止を求められる
前回まで、商標権の取得方法について見て参りましたが、
今回は、取得した「商標権」をビジネスへ生かす
「ライセンス契約」についてまとめてみました。
商標が持つ2つの権利「専用権」と「禁止権」
「商標」はビジネスだけでなく、社会においても非常に重要な役割を持つ権利の一つです。
商標を持つことにより「企業会社の公平な競争を促進し、健全な発展を実現することで、
消費者がクオリティの高い商品やサービス(役務)を受けること」が可能になります。
商標は産業上における権利であることが前提で、その権利は、法的に保護され、
権利の範囲を法律によって限定して管理されています。
商標法では、権利者が商標を「専用」できる「専用権」と、
商標に類似するマークやサービスなどを商標権利者以外が
使用することを禁じる「禁止権」という二つの権利が存在します。
日本で係争している多くの商標トラブルは、
この「専用権」と「禁止権」を正しく理解していないことが、
起因となっている事例が多いのも事実です。
「専用」と「禁止」と、強い権力で守られている商標ではありますが、
一方で、商標権を第三者に譲渡することや、ライセンス契約を締結して、
他人への使用を許可することも可能となります。
商標の「ライセンス契約」とはどのようなものか
商標登録を取得する場合、自社のブランドを他社から守るための企業戦略や、
取得した商標をビジネスに活用するなど目的は様々です。
商標をビジネスで活用する場合、自社ブランドとして開拓していくケースと、
他社への使用を許可し、その使用手数料を受け取る「商標使用許諾契約」を交わすケースがあります。
商標のライセンス契約とは、後者の「商標使用許諾契約」を指し、
代理店ビジネスや、フランチャイズビジネスなどで活用されています。
特に法律での定めがないことが特徴で、長い間、ビジネスの現場で培われてきた
「慣習」と「相場」で成り立っている古式ゆかしいスタイルのビジネスとなっています。
なんでも、契約を締結する両者が合意すれば、「どのような内容であってもいい」ともいわれているとか。
ただし、前述した通り「慣習」と「相場」があるので、ビジネス的なルールやマナーは存在します。
商標のライセンス契約では、
商標権を保有する企業は「ライセンサー」商標の使用権を得た企業は「ライセンシー」と呼ばれ、
双方でライセンス対価であるロイヤルティや、実施時期、使用期限などを取り決めて、
契約を交わす、という流れになっています。
商標ライセンス契約のメリットとデメリットについて
商標ライセンス契約を交わすと、どのようなメリットがあるのでしょうか?
シンプルにラーメン屋さんの例でご紹介します。
●商標ライセンス契約のメリット
例えば、それなりに名の知れたラーメン屋Aさんが、
自分の店の名前とラーメンをもっと外へ広げたいと思っていますが、
直営で運用するにはリスクが高く出店できない。
そこへ、ラーメン屋を開きたいけど、
ゼロから集客するにはハードルが高いと考えるラーメン屋Bさんが現れます。
ラーメン屋Aさんは、ラーメン屋Bさんに、
ラーメンのノウハウとともに、店の店舗名の使用許可出すことでライセンス契約を交わし、
結果、Aさんは自分の暖簾が増える、BさんはAさんの暖簾の効果でスタートアップが楽になる、
といったメリットが生まれます。
このように、ライセンス契約では、
ラーメン屋Aさん、ラーメン屋Bさん、双方の利害が一致することで、
良い結果を導き出すことになります。
●商標ライセンス契約のデメリット
一方で「良い結果」を導きだせなかったデメリットなケースも発生します。
例えば、ラーメン屋Aさん、もしくはBさんのようにライセンス契約で、
同じ名前で暖簾を分けてもらっていたCさんの店で不祥事があった場合、
全ての店舗にダメージが行ってしまいます。
また、BさんがAさんから独立したいと考えた場合や、
ロイヤルティなどでトラブルとなった場合でも、その結末は良い結果となりません。
ライセンサーは商標を貸し出すのであれば、商標のブランドのクオリティを下げてはならず、
ライセンシーは預かった商標を大切に扱う必要性があります。
利益ばかりを追求したり、功名ばかりを狙ってライセンス契約をすると、
良い結果は生まれない、ということになりますね。
「商標」についてセミナーを受講しよう!
商標についてのトラブルは大なり小なり、そこかしこで発生しています。
トラブルにならないためには「知識」が必要です。
商標やライセンス契約などのセミナーを受講して、トラブルを未然に防ぎましょう。
次回はライセンス契約の実務についてもう少しお勉強します!
いのりんでした♪
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