<男女問わずに「育休」が取得しやすくなる? 2022年4月施行「改正育児・介護休業法」【2】> 改正育児・介護休業法で何が変わる?ポイントを紹介

2022年4月に育児・介護休業法が改正となります。2021年6月9日に公布されたこの改正案では、「育児休業を取得できる雇用環境の整備」「育児休業取得に関する個別の周知・意向確認」「有期雇用者について育児休業取得条件の緩和」「出産直後の育児休業取得に関する柔軟な対応」「育児休業の分割取得」「雇用保険法の計算起点特例追加」などが盛り込まれており、2022年4月より順次施行されます。まずは「育児休業を取得できる雇用環境の整備」と育児休業取得に関する個別の周知・意向確認」「有期雇用者について育児休業取得条件の緩和」が先行しますが、対応する企業側ではどのような準備が必要なのでしょうか?話題の「男性育休」取得の現状や、改正育児・介護休業法のポイントなどをご紹介いたします。

 

「男性育休」取得の現状

近年、男性の育児休暇取得が話題となっていますが、実際はどのような数値が出ているのでしょうか?厚生労働省による「雇用均等基本調査」を見ると、2020年度における男性の育児休業取得者の割合は、12.65%でした。政府が掲げている目標値が13%なので、あと一歩及ばずといったところですが、前年度である2019年の7.48%と比べると、かなり向上したことがうかがえます。しかし、2021年1月18日に発表された労働政策審議会建議での報告によるとまだまだ現状は厳しいようです。その内容を下記で見てみましょう。

・育児休業を取得した男性のうち8割が1ヵ月未満の休暇だった
・育児休業の取得を希望していた男性のうち、希望していたにもかかわらず利用できなかった割合が約4割
・「育児休業を取得する意向確認の働きかけが企業からあったか」の問いに対して男性従業員の6割以上がなかったと回答

この結果を受け、政府としては「男女問わず育児休業を取得しやすい環境整備を作るには、事業主による労働者への個別の意向確認や職場環境の整備が必要」とし、今回の育児・介護休業法改正に踏み切ったと考えられます。

 

2022年4月からの改正は「育児休業」が焦点

2022年4月からの改正育児・介護休業法は、「父親・母親が希望すれば仕事や育児を両立するために柔軟に休業することができる状態をつくる」ことを目的とし、育児休業に特化した以下の3点にフォーカスしています。

(1)育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(研修・相談窓口の設置等)
(2)妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
(3)非正規労働者に対する育児休業取得要件の緩和

では、改正内容についてそれぞれについて解説してまいります。

(1)育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(研修・相談窓口の設置等)
まずは、「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」です。男性が育児休業を取得しにくいのには「仕事に迷惑がかかるから」というのが大きな理由の一つです。この問題を払拭するには「自分の代わりがいないから休めない」という属人的な仕事の仕組みを、変える必要があります。例えば、無駄を省いて業務をスリム化する、業務がフォローし合えるようにチーム単位で仕事をする、チームで共有できるマニュアルを作成する、などの改善策が挙げられます。また、環境だけでなく、意識改革やフォロー体制づくりもポイントになります。研修時間を設けることや、企業内での相談窓口の設置なども雇用環境の整備に含まれています。

(2)男女問わず妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措
前述した、2021年の労働政策審議会建議での報告にもあるように、男性が育児休業を取る以前の問題で、本来するべきはずの「意向確認」をしていない企業が多くあることが判明しました。今改正ではこちらの「個別周知・意向確認の措置」が義務化され男女問わず妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置」が義務付けられます。企業は、妊娠出産が判明した時点で「育児休業制度が利用できる」」という「周知」と「育児休業を取得する意向はあるのか」を「意向確認」を必ず行わなければなりません。そして、育児休業取得のネックだった「雇用主から育児休業の取得を控えさせるような意向確認」は禁止される見込みです。

(3)非正規労働者に対する育児休業取得要件の緩和
今回の改正では、男性だけではなく「男女問わず誰でも育児休業を取得できるようになる」ことを目的としています。男性だけではなく、パートやアルバイトなどの非正規労働者も育児休業取得要件が緩和されます。非正規雇用労働者の育児休業取得要件について、現行法と比べながらご紹介します。

【現行法】
現行法で非正規労働者が育児休業を取得するには、以下の条件をクリアしなければなりませんでした。

・引き続き雇用された期間が1年以上
・子どもが1歳6か月までの間に契約満了することが明らかになっていない

この条件だと有期雇用労働者にはハードルの高いものとなっていました。

【改正後】
・旧法の「引き続き雇用された期間が1年以上」が撤廃
・「子どもが1歳6か月までの間に契約満了することが明らかになっていない」はそのまま適用

改正後は、「引き続き雇用された期間が1年以上」という条件が撤廃されたことにより、無期雇用労働者と条件が同じになります。ただし、別途労使協定を締結している場合には「引き続きの雇用期間が1年以上」という要件が適用される場合があるので注意が必要です。

 

2022年秋以降にも「出生時育児休業制度」や「分割育休」などがスタート

環境整備や意向確認、継続雇用という条件の撤廃委などで育休取得のハードルが下がりつつある中、2022年秋以降には「出生児育児休業制度」や「分割育休」など、育児休業のタイミングも選択できる新制度のスタートが見込まれています。

●出生児育児休業制度
出生児育児休業制度は、出生後8週間までの2回に分けて取得が可能となる育児休業制度です。休業する2週間前までに申請すれば可能で、労使の合意のもとであれば、現行法では禁止されていた休業中の就業も可能となるため、リモートワークなどと合わせた働き方が可能となります。

●分割育休
分割育休は出生時育児休業制度とは別で2回まで取得できる育児休業です。妻子の里帰りのタイミングや、妻の職場復帰のタイミングで、保育園に入園できなかった際など、期間を柔軟に定められることがポイントです。

この2つの新制度により、政府が掲げる男性育児休業取得30%はより実現に近づくと期待されています。

 

施行はもうすぐ!改正育児・介護休業法の準備をするならセミナーから!

改正育児・介護休業法は2022年4月から順次施行されます。実務に対応するためにも、知識を仕入れておく必要があります。セミナーなら、改正育児・介護休業法についてのセミナーはもちろん、現行の育児・介護休業法についても学ぶことが出来ます。すぐに実務に応用できる即戦力を養うなら、ぜひともご活用ください。下記URLより、お好きなセミナーを選ぶことが出来ます。

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【参照情報】
MONEYIZM
>>>育児・介護休業法が2022年に改正へ!育児・介護休業法の内容とは

ContractS
>>>【2022年施行】育児・介護休業法の改正!生活はどう変化する?

しゅふJOB
>>>【2022年4月】育児・介護休業法の改正ポイントはココ!わかりやすくご紹介します