<ペーパーレス化が加速する!2020年10月からの電子帳簿保存法改正【1】>改正前の振り返り「電子帳簿保存法」とは?

オフィスワークの電子化、ペーパーレス化は、かなり前から推奨されていたにも関わらず、日本のオフィスワーク文化には浸透していませんでした。令和に入り、働き方改革の気運が高まっても電子化への動きは鈍く、まだまだ先の話かと思われていましたが、新型コロナウイルスの感染症対策によるテレワークの急増で、オフィスワークの電子化やペーパーレス化が一気に現実味を帯びてきました。さらに2020年10月から「電子帳簿保存法」が改正となる関係で、街中の広告や、テレビCMなどでも盛んにペーパーレス化の宣伝が謳われるようになっています。存在はしていても、あまり注目されていなかった「電子帳簿保存法」とはどのような法律なのでしょうか。電子帳簿保存法改正の前に、まずは電子帳簿保存法について振り返ってみましょう。

 

電子帳簿保存法の概要について

法人や個人事業主などの事業主は、自分たちの「事業」に関する記録を残した帳簿や書類を、保存しておく義務があります。日々の事業や取引の内容を帳簿や書類に書きつけることは容易ではなく、保管するにしてもスペースの確保に頭を悩ませなければなりません。そんな悩みを解決するために誕生した法律が、「電子帳簿保存法」です。

法人、個人事業主の帳簿書類を、電子的な媒体に保存することを可能とした電子帳簿保存法は、1998年に制定されました。しかし、最初のうちは「国税関係帳簿書類」の電子ファイル保存は認められておらず、導入コストもかかるため、あまり需要はありませんでした。しかし、2005年に特定の文書や書類の電子的保存を認めた「e-文書法」が制定されたことにより、電子帳簿保存法も改正され、国税関係帳簿書類の電子保存が認められるようになりました。

その後、2016年と2018年にも電子帳簿保存法の改正が実施され、規制緩和によりスマートフォンによる撮影での保存方法も認められるようになっています。そして、2020年10月にも改正が実施され、タイムスタンプ付与の緩和や、契約書の領収書の上限が無くなるなど、更なる規制緩和が行われています。

 

電子帳簿保存法で定められている2つの点

電子帳簿保存法では、書類の保存方法について、大きく分けて2つの決め事があります。

(1)国税関係帳簿書類の電子保存をする
この手法は、帳簿や書類を作成の第一歩から一貫して電子計算機(会計システムなど)を使用して作成した保存方法を指します。「一貫して」と定められているため、部分的に手書きを要する書類は対象外です。

(2)国税関係帳簿書類をスキャナーで読み取って電子保存する
既存の紙媒体の証憑類などをスキャンして保存する「スキャナー保存」の方法も認められています。その昔は、スキャナー台と一体となっていることが条件でしたが、2016年の規制緩和によりスマートフォンでの読み取りも可能となっています。(1)より手軽ではありますが、改ざんのリスクが高いため、タイムスタンプの付与する必要があります。

●タイムスタンプとは?
タイムスタンプとは、時刻認証局(TSA)が第三者となって発行している「正式な書類」を証明するためのスタンプです。郵便局の消印のような役割をもち、その時刻に電子書類のデータが存在し、不正は行われていない、ということを証明してくれます。

 

電子帳簿保存できる書類の種類は?

電子帳簿保存法においては、全ての書類が電子保存できるわけでありません。中には、電子保存とスキャナー保存が認められているもの、電子保存のみ認められてるものなど、種類によりまちまちです。電子電子帳簿保存法できる書類の種類についてまとめました。

[電子保存〇/スキャナー保存×の書類]
●帳簿・決算書類
現金出納帳、経費帳、仕訳帳、売掛帳、買掛帳、総勘定元帳、固定資産台帳、貸借対照表、損益計算表書、棚卸表

[電子保存〇/スキャナー保存〇の書類]
●証憑類
領収書、レシート、見積書、契約書、納品書、請求書、約束手形、小切手

 

電子帳簿保存法での「電子データ保存要件」について

電子帳簿保存法では、電子データの保存について「真実性の確保」と「可視性の確保」を充たす必要があるとしています。

●「真実性の確保」
「真実性の確保」は、「記録が改ざんされていないことの証明」を指します。例えば、タイムスタンプの付与、訂正や削除の事実内容の確認ができていること、一定基準以上のスペックを持ったスキャナーを使用するなどです。真実性の確保の要件概要は、以下の通りです。

・記録事項の訂正・削除を行った場合の事実内容を確認できること(帳簿)
・通常の業務処理時間を経過した後の入力履歴を確認できること(帳簿)
・電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において相互にその関連性を確認できること(帳簿)
・システム関係書類(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること(帳簿/書類)

●「可視性の確保」
「可視性の確保」は「誰もが書類を視認・確認できる状態を確保しているか」ということを指します。例えば、取引年月日や勘定科目、取引金額などの主要項目が、すぐに検索できるかどうか、ということです。可視性の確保の概要要件は、以下の通りです。

・保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ、及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を、画面・書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できること(帳簿/書類)

・取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目により検索できること(帳簿/*書類)*取引年月日、その他の日付で検索ができること

・日または金額の範囲指定により検索できること(帳簿/*書類)*取引年月日、その他に日付けで検索ができること

・2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること(帳簿)

 

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【参照情報】
TUNAG
>>>電子帳簿保存法とは?2020年の法改正のポイントを解説

経理プラス
>>>電子帳簿保存法とは?~保存できる書類と手続き方法

Have a good Cashless
>>>電子帳簿保存法とは?法改正後の電子データ保存要件を理解しよう