<ペーパーレス化が加速する!2020年10月からの電子帳簿保存法改正【4】>電子帳簿保存法導入のメリットと実務上の注意点
オフィスワークの電子化、ペーパーレス化が推奨されつつも、企業活動において「紙の書類」が無くなることはなく、電子化も遅々として進んでいなかった日本のビジネス社会。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、急速に拡大したテレワークと同様に、電子データ保存へと移行せざるを得なくなる企業も増えてきました。このタイミングで、令和の税制改革により2020年10月から電子帳簿保存法改正が実施され、規制緩和により、より電子化がしやすい環境となっています。ここで改めて、電子帳簿保存法導入によるメリットと、実務上の注意点、電子帳簿保存法改正によって規制緩和されたタイムスタンプについて解説します。
電子帳簿保存法導入のメリット
電子帳簿保存法の大きなメリットは、「ペーパーレス化」が進むことです。何故ペーパーレス化が進むとメリットとなるのでしょうか?
●書類の管理コスト・工数が軽減される
紙が無くなると、物理的に管理をする必要がなくなります。紙の書類を作成する、紙の書類をファイルに閉じるなどの工数を大幅にカットできます。
●書類の保管スペースが不要となる
国税関係帳簿書類などは、年単位での保存が義務付けられています。そのためにファイルに閉じて保管するスペースが必要となります。ペーパーレス化になれば、保存する紙類が無くなるので、保管用スペースが不要となります。
●書類のために使用してた用紙の予算カットできる
オフィスワークにおいて「紙」は必需品でしたが、電子データ保存により紙類が不要となれば、用紙分の予算をカットすることができます。
●SDGsの取組みとして社会貢献できる
近年では、SDGsでの取組みの一環としてペーパーレス化を掲げている企業も多く見受けられます。ペーパーレス化に取組むことは、企業イメージのアップにもつながりやすいメリットとも捉えられています。
●盗難、紛失、焼失などのリスクを回避できる
紙に残した情報は、盗難、紛失、焼失などのリスクがつきものです。電子データに残し。経費精算システムと併せて使用することで、データはセキュリティ下に置かれ、物理的に紛失するリスクを回避できます。
電子帳簿保存法導入する際の実務上の注意点
では、実際に電子帳簿保存法を導入する場合、実務上はどのような点に注意したら良いのでしょうか?
●電子帳簿保存法の対象書類を把握や、保存方法を把握しておく
電子帳簿保存法では、対象となる書類が決められています。電子帳簿保存法の導入に失敗しないためには、正しく把握しておくことがポイントです。また、保存方法には、電子データ保存の他にも、スキャナ保存や、スマホでの撮影画像が許されているケースもあります。
【電子帳簿保存法対象書類】
・帳簿類
仕訳帳、現金出納帳、売上帳、売掛金元帳、仕入帳、買掛金元帳、固定資産台帳
・決算関係の書類
棚卸表、貸借対照表、損益計算書
・その他の資料
契約書、領収書、預り証、預金通帳、手形類、見積書、請求書など
電子帳簿保存法改正後のポイントは「タイムスタンプ」の理解
2020年10月の電子帳簿保存法改正では、「タイムスタンプ付与」について大きな変更がありました。改正後の実務には、タイムスタンプへの理解が必要です。
●タイムスタンプとは?
電子帳簿保存法では「真実性の確保」のために、タイムスタンプを利用します。タイムスタンプは、付与した時間以降にデータが改ざんされていないことを証明するためものです。改正後では「発行者側でタイムスタンプを付与した場合」と「発行者でタイムスタンプの付与がない場合」の2点について、以下のような変更がありました。
●発行者側でタイムスタンプを付与した場合
[改正前]
・受取手にて付与が必要
[改正後]
・受取手にて付与が不要
●発行者でタイムスタンプの付与がない場合
[改正前]
・受取手にて付与が必要
[改正後]
・変更なし(受取手にて付与が必要)
改正前は「発行者のタイムスタンプも受取手のタイムスタンプも両方必要」でしたが、改正後は「発行者のタイムスタンプのみ必要で受取手は不要」となります。
●受取手側でデータの改変ができないシステムの場合はタイムスタンプが不要となる
市販の経理会計ソフトウェアの場合、「受取手がデータの改変を自由にできない」タイプのものがあります。このようなセキュリティの厚いソフトウェアを使用する場合は、タイムスタンプは不要となります。電子帳簿保存法に適用できる市販のソフトウェアは、原則JIIMA認証のものとなっていますので、JIIMAのソフトウェアであることも導入の判断材料としましょう。
経理の電子化を進めるためにもセミナーで電子帳簿保存法を学ぼう
今回の電子帳簿保存法改正では、これまで導入していたシステムで法改正に臨むのではなく、イチから電子帳簿保存法を導入する企業も多いのではないでしょうか?周囲の企業の電子化の波に押されて、リモート化でやむを得ずなど、それぞれに事情はあるかと思われます。電子帳簿保存法に対応するなら、まずは正しい知識を仕入れることからスタートすることが成功の鍵!ぜひセミナーを受講して、スムーズな電子化、ペーパーレス化か目指してください。
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【参考サイト】
Money Forward クラウド会計
>>>2020年度改正の電子帳簿保存法でなにが変わる?
経理プラス
>>>【2020年税制改正】電子帳簿保存法の見直し進むペーパーレス化