<ペーパレス化が加速する!2020年10月からの電子帳簿保存法改正【3】> 改正後の電子帳簿保存法はどう変わる?

令和元年から税制改正ラッシュが続いていますが、その中でも「これからの仕事の在り方」に深く関わってくる「電子帳簿保存法」も2020年10月に改正が実施されます。1998年に制定された電子帳簿保存法は、帳簿や領収書・請求書などの処理に係る負担を軽減するためにデータを電子保存することを認めています。時代の流れに沿って段階的に改正されてきた電子帳簿保存法は、今回どのような改正となったのでしょうか?電子帳簿保存法改正の概要、変更点などについてまとめました。

 

電子帳簿保存法改正の概要について

国税庁が示す「令和元年度税制改正による電子帳簿保存法制度の見直しの概要について」によると、2020年10月から実施された電子帳簿保存法では、「法令の改正」と「運用の見直し」という二つの観点から、5つの項目で概要が述べられています。

●法令の改正
「法令の改正」では、以下の2つの項目が改正されます。

(1)新規事業者個人の電子帳簿保存等の承認申請書の提出期限の特例を創設した
【改正前】
改正前では、電子帳簿保存法及び、スキャナ保存の承認を受ける保存義務者は、原則「帳簿備付開始日等の3ヵ月前までに承認申請書を提出する必要がありました。また、新規事業の法人については、承認申請書の提出期限の特例(設立の日以後3ヵ月以内)が設けられていましたが、個人事業主にはそのような特例は認められませんでした。

【改正後】
改正後では、新規事業を開始した個人事業主にも、業務を開始した2ヵ月を経過する日まで、承認申請の提出を行うことができることになりました。(2019年9月30日以後に行う承認申請から適用)

(2)承認前に作成・受領した重要書類のスキャナ保存が可能になる
【改正前】
改正前では、承認前に作成・受領した過去分の重要書類については、スキャナ保存をすることができませんでした。

【改正後】
改正後では、スキャナ保存の承認を受けている「保存義務者」が過去分の重要書類について適用届出書を提出した場合、一定要件下において、スキャナ保存が可能となりました。(2019年9月30日以後に提出する適用届出書に係る過去分の重要書類から適用)

【補足】
「過去分の重要書類」とは、国税関係書類のうち、国税庁長官が定める資金や物の流れに直結・連動する書類のことを指します。
例:領収書、請求書など

●運用上の見直し
運用上の見直しについては、3つの項目が改正されます。

(3)承認申請手続きの見直し
「電子帳簿保存法及びスキャナ保存制度」に関して「申請者の予見可能性を向上させ、その手続きを軽減させる」という観点から、「公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)」

の認証を受けた市販のソフトウェアを使用する場合、承認申請書の記載事項や、添付書類を一部省略できることが可能となりました。JIIMAの承認を受けたソフトウェアは国税庁のホームページで確認することができます。

(4)事前相談体制の整備
「電子帳簿保存及びスキャナ保存制度」に関して、「申請者の予見可能性を向上させ、またその手続きを軽減させる観点」から、受託開発されるシステムや自社開発のシステム等を対象に、国税庁のホームページ上にて「電子帳簿保存及びスキャナ保存制度における養鶏適合性に関する事前相談窓口のご案内」ページを設けました。

(5)通達等の改訂
●入力等に係る期間限定に関する解釈の見直し
改正前ではスキャナ保存制度において、適時に入力することができる一般書類を除く国税関係書類に係る記載事項の入力等を、一定期間内に行うこととしていました。その解釈が、以下のように見直されます。

①「受領後速やかに入力(一週間以内に入力)」→「概ね7営業日以内に入力していれば要件を充足するもの」として取り扱う

②業務の処理に係る「通常期間を経過したあとに速やかに入力する場合」は「最長1ヵ月+1週間以内に入力」→「最長2ヵ月おおむね7営業日以内に入力していれば要件を充足するもの」として取り扱う

③受領者が自ら読み取る場合「受領後3日以内にタイムスタンプを付すこと」→「おおむね3営業日以内であれば要件を充足する」ものとする

●定期的な検査に関する解釈の見直し
改正前では、「スキャナ保存制度」においては、受領から入力までの事務処理の内容を定期的に検査することになっています。その頻度は、「全ての事業者等を対象として1年に1回以上行うこと」とされてましたが、事業者ごとに柔軟な対応ができるようにするために、「概ね5年のうちに全ての事業者等の検査を行う場合についても要件を充足しているもの」として取扱われることになりました。

●検査機能の確保に関する解釈の見直し
改正前では、「スキャナ保存制度」において、入力データを「請求書や領収書など、種類に応じて検索ができること」としていますが、その解釈を見直し「勘定科目別に検索が可能な場合も要件を充足しているもの」として取り扱うことになります。

 

電子帳簿保存法の主な変更点とは

では、電子帳簿保存法での具体的な変更点は、どうなるのでしょうか?ポイントは、「保存要件の緩和」です。

【改正された保存方法】
(1)発行者のタイプスタンプが付与された電磁的記録の受領後に、受領者側が遅滞なくタイムスタンプを付与すること
(2)電子データの改ざん防止等のための事後処理規程を作成して運用すること

【改正後新たに認められた保存方法】
(3)受領者側が電子データの改ざんをできないようにするシステムやサービスを利用すること
(4)発行者側の方でタイムスタンプを付与が可能となる

電子帳簿保存法では、データを改ざんされていないことを証明するための「真実性の確保」について厳しいルールが敷かれていましたが、2020年10月の改正では、その解釈が広くなり、一定条件下でタイムスタンプが不要となることが大きなポイントです。これらの「保存要件の緩和」によって、電子データの普及を推進させ、さらなるペーパーレス化を狙うことが今回の改正の目的の一つであるともされています。

 

電子帳簿保存法改正に対応する知識をセミナーで得よう

電子帳簿保存法の改正により、オフィスでは益々ペーパーレス化が進みそうです。気が付くと電子化の波に取り残されていた、と言うことのないように、電子帳簿保存法改正を機に、電子データ保存を推進してみてはいかがでしょうか。そのためにも、まずはセミナーで電子帳簿保存法改正について受講してみることをお薦めします!

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【参考サイト】
経理プラス
>>>【2020年税制改正】電子帳簿保存法の見直し進むペーパーレス化

Money Gorwardクラウド会計
>>>2020年度改正の電子帳簿保存法でなにが変わる?

国税庁
>>>令和元年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要について