<更なる規制緩和へ 令和4年改正電子帳簿保存法【1】> 電子帳簿保存法の4つの変更点と罰則について

働き方改革と新型コロナウイルスの影響によるテレワークの拡大で、日本社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速しています。電子帳簿保存法は、このようなペーパーレス化する書類や帳簿類に対応してきましたが、更なる利便性とアップデートを図るべく、令和4年(2020年)1月に電子帳簿保存法の改正が行われることになりました。これまでも何度か法改正が実施されている電子帳簿保存法ですが、今回はどのように改正されるのでしょうか?令和4年電子帳簿保存法改正における4つの変更点と罰則についてまとめてみました。

 

令和4年電子帳簿保存法改正の背景

「電子帳簿保存法」とは、これまで紙媒体で保存していた国税関係帳簿書類を、電子データで保存することを認めている法律です。電子帳簿保存法の歴史は意外と古く、最初に制定されたのは1998年でした。当時は国税関係書類帳簿の電子ファイル保存は認められず、電子帳簿保存法の需要もありませんでした。しかし、インターネットの普及とともに、2005年「e-文書法」が制定制定され、電子帳簿保存法改正で国税関係帳簿書類の電子帳簿保存が認められています。その後、2016年、2018年、2020年に電子帳簿保存法改正による規制緩和が行われ、スマートフォン撮影の保存方法や、タイムスタンプ付与の緩和、契約書の領収書の上限の撤廃などが実施されました。このように、インターネットが普及してからは、時代の流れに沿うように、電子帳簿保存法の改正と規制緩和が行われ、ペーパレス化やハンコレスが実現しつつあります。

 

電子帳簿保存法改正4つのポイント

令和4年(2022年)の電子帳簿保存法改正では「承認制度の廃止」「タイムスタンプ要件の緩和」「適正事務処理要件の廃止」「検索要件の緩和」など4つの改正ポイントが挙げられます。下記でそれぞれ解説をいたします。

(1)承認制度の廃止
これまでの電子帳簿保存法では、スキャナ保存制度を適用するために、以下のような準備と時間が必要でした。
・承認のための申請書を作成
・3か月前まで税務署へ申請書の届出をする
・承認までの期間が1年程度かかる

今回の電子帳簿保存法改正では、「電子帳簿保存法に対応した機能を備えているスキャナやクラウドシステムの準備ができ次第速やかに電子保存の対応が可能」となるため、これまで時間がかかっていた承認制度が廃止されることとなります。電子保存承認までの準備の煩わしさや、承認期間の長さは、電子帳簿保存法普及への最大のネックとなっていたため、承認制度の撤廃は、多くの企業が電子データ保存へ切り替えるための追い風となると期待されています。

(2)タイムスタンプ要件の緩和
電子データが作成された日時を確定する「タイムスタンプ」は、改ざんなどの不正防止に必要不可欠なシステムです。これまでの電子帳簿保存法では、タイムスタンプの付与は受領(署名)後の3日以内に実施しないとなりませんでしたが、今回の改正では「最長2か月以内」に延長されています。さらに、電子データの修正・削除をログで残せるシステムのあるサービスを利用している場合は、タイムスタンプ付与の代わりに、クラウド保存でも対応が可能となりました。3日から2か月に延びたことで、作業にゆとりが生まれ、タイムスタンプにかかるコストの削減や、作業負荷も軽減されると見込まれています。

(3)適正事務処理要件の廃止
改正前は、内部統制の一環として定期検査で「相互けん制の適正事務処理要件の対応」が必須とされ、定期検査では、原本とデータの突合作業が必要でした。このため、検査実施日まで原本の破棄ができず、事務処理担当と相互チェックが必要であっため、人的リソースを2名以上取られてしまうので、非効率さが問題視されていました。改正後では、相互けん制、定期的な検査、再発防止策の社内規定整備を行うための適正事務処理要件が廃止され、原本もスキャナ後に即廃棄が可能となりました。事務処理における相互けん制も廃止で、作業員も1名で済むよう改正が実施されています。

(4)検索要件の緩和
従来では、電子データを保存する際、必要なタイミングでの内容の閲覧や、データ管理が出来るよう、検索機能を確保しなければなりませんでした。そのためには、取引年月日・勘定科目・取引金額やその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できることを必須としたため、登録や管理業務が煩雑となりやすく、実施にはハードルが高いと問題視されていました。改正後では、検索要件の年月日・金額・取引先のみとして簡素化などの規制緩和が実施されました。例えば、保存義務者が国税庁などの要求によって、電子データのダウンロードに応じる際なども、範囲指定者や項目を組み合わせて設定する必要がなくなります。

 

改正後の罰則はどうなるか?

従来の電子帳簿保存法より、煩わしい手続きの廃止や、規制が緩和されたことで、今回の改正以降は多くの企業が、これまで踏み切れなかった電子データ保存へと切り替える事が予想されます。と、同時に、改ざんなどの不正行為などにも注意を払う必要があります。改正法では、罰則規定も追加し、データの改ざんが把握された場合には、10%の重加算税が加重されることになりました。電子データ保存を実施している企業は、これまで以上に、データの不備や不正行為に注意を払う必要があります。

 

電子帳簿保存法についてはセミナーで学ぼう!

これまでは導入しにくかった電子帳簿保存法も、今回の改正により、かなりハードルが下がり導入しやすくなりました。電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスも増え、テレワークでも対応しやすい状況です。しかし、電子帳簿保存法を導入するには、電子帳簿保存法の知識が必要です。電子帳簿保存法について学ぶなら、セミナーがおすすめです。DXや電子帳簿など下記のサイトからセミナーを選び、お役に立ててください。

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<参照情報>
TeamApirit
>>>【2022年1月改正予定】電子帳簿保存法改正4つのポイントと注意点

WORKS APPLICATIONS
>>>2021年度の税制改正で、電子帳簿保存法はどう変わる?大綱から分かりやすく解説!

お仕事プラス
>>>お仕事プラス<ペーパレス化が加速する!2020年10月からの電子帳簿保存法改正【1】>改正前の振り返り「電子帳簿保存法」とは?