<テレワークの課題と問題点を解決する労務マネジメント【3】> テレワーク中の時間外・休日労働の労働時間管理・長時間労働対策

テレワークは、自宅やサテライトオフィスなど、仕事をする場所にこだわらない多様性が特徴です。通勤時間がない分、時間に余裕ができる反面、仕事とプライベートのオンオフの切り替えが難しい、という声も多く、ついつい時間外労働や休日労働になってしまう人も少なくありません。このようなテレワーク中の時間外・休日労働のマネジメントも、テレワークの課題とされています。テレワークの時間外・休日労働の労働時間の労務マネジメントについて、厚生労働省の「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」から紐解いて参りましょう。

 

労働基準法から見るテレワークの時間外・休日労働の考え方

労働基準法第36条及び第37条によると、通常のオフィスワークと同様、以下のような考え方となります。

[実労時間やみなされた労働時間が法定労働時間を超える場合や法定休日に労働を行わせる場合]
・36協定が適用される
時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)の締結、届出及び割増賃金の支払いが必要となります。

[現実に深夜に労働した場合]
・深夜に係る割増賃金の支払いが必要
前提として、テレワークを行う従業員は、業務に従事した時間を日報などの記録に残して、事業者はそれを参考に、従業員の労働時間を把握することに努め、必要に応じて労働時間や業務内容について適宜見直しを図ることが望ましいとされています。

 

時間外労働にはどう対応するか?

自宅だとついついオンオフの切り替えをせずに、ずっと仕事をしてしまう人も多い傾向にありますが、労使間で決めた手順やルールを守らないと、労働基準法で守られている時間外労働の取扱いにならないケースがあります。逆に、労働基準法のルールを逆手に取り、従業員へ圧力をかけて、労働基準法が適用されない時間外労働をさせるケースも後を絶ちません。ここでは、時間外労働の取扱いに関するルールを今一度確認してみましょう。

労働基準法上の時間外労働に該当しないケース
従業員がテレワークで時間外労働を行う際、労働基準法に該当しない例を以下に紹介します。

【従業員が時間外労働(深夜・休日も含む)を行う場合は、事前に事業者の許可を得る必要があり、かつ、その業務実績を事業者に報告する義務が発生する事業場において】
・事前申告なしに時間外労働を行った場合
・事業者が事前申告を認めなかった場合
・時間外労働の事後報告がなかった場合
これらのケースの場合は、全て労働基準法上の労働時間に該当しないとされています。

労働基準法の時間外労働に該当しないケースに関する注意点
時間外労働については、上記のように労働基準法で一定のルールを設けていますが、事業者の都合のいいように利用されているケースも少なくありません。そのため、時間外労働に該当しないケースとするためには、下記のような点に注意する必要があります。

①時間外等に労働することについて、使用者から強制されたり、義務付けられたりした事実がないこと

②当該労働者の当日の業務量が課題である場合や、期限の設定が不適切である場合等、事業者からの暗黙の指揮命令などにより時間外労働をせざるを得ない状況になってないこと

③時間外等に当該労働者からのメール送受信があったり、時間外等に労働しなければ生み出し得ないような成果物が提出されていたりする等、時間外労働を行った客観的事実がなく、事業者が時間外労働を知り得なかった場合

【従業員が時間外労働(深夜・休日も含む)を行う場合は、事前に事業者の許可を得る必要があり、かつ、その業務実績を事業者に報告する義務が発生する事業場において】

事前許可制、事後報告制の場合は、以下の点をいずれも満たしていなければ「労働基準法が定める時間外労働と認めない」ことにはなり得ません。

①従業員からの事前申告にあらかじめ上限時間が設けられている、労働者が実績通りに申告しないように圧力をかけているなどの事情があった場合

②時間外等に業務を行った実績について、時間外労働をした従業員の事後報告の上限時間に設けられている、労働者が実績通りに報告しないよう圧力をかけ、事業場における事後報告制が反映されてない場合

 

テレワークにおける長時間労働を防ぐための4つの対策とは?

テレワークのメリットとして、時間が労働を削減できることが挙げられますが、実際には、管理者のマネジメントが行き届かずに、長時間労働になってしまうこともあるようです。長時間労働は、労働時間の管理ができなくなるばかりでなく、従業員の健康が阻害される恐れもあるため、適切な労働時間の管理は必須となります。テレワークにおける長時間労働を防ぐための4つの対策をまとめました。

①メール送付を抑制する
テレワークでは、メールやチャットツールでのコミュニケーションがメインとなります。自宅で作業をしていると、いつでも指示を受けることができてしまうため、仕事をしてしまうという人も多いようです。時間外や休日、深夜は、役職者からのメール送付は自粛するルール設定をすることで、メール指示による時間外労働の抑止に繋がります。

②システムへアクセス権限を設ける
多くの企業がテレワーク実施の際は、企業内のシステムに外部パソコンからアクセスして業務を遂行する形態を採用しています。そのため、長時間労働防止のために、はじめから深夜・休日はアクセスできないように設定する方法もあります。

③時間外・休日・深夜労働を原則禁止とする
テレワーク制度の導入時に、「時間外・休日・深夜労働を原則禁止」と就業規則に明記することも有効な手段の一つです。就業規則に組み込む前に、テレワーク導入の意義(業務の効率化やワークライフバランスの実現など)を従業員へ説明し、理解を得ることが重要です。また、時間外労働・休日労働に関しては、36協定の締結の仕方を工夫することも有効です。

④長期間労働を行う従業員へ注意喚起する
テレワークで長時間労働をしている従業員には、注意喚起も試みましょう。そのためには、事業者や管理者の方でテレワークをする従業員の労働時間を把握しておく必要があります。労務管理システムなどで、長時間労働者へ自動で警告を表示し、注意喚起してくれるシステムなどがお薦めです。

 

テレワークや労務管理をセミナーで学ぼう

時間外労働、長時間労働に関しては、テレワークでなくても、事業者にとって頭の痛い問題です。テレワークや労務管理に関しては、セミナーなどで効率よく受講してみてはいかがでしょうか?下記URLより、ピッタリのセミナーを探すことができまず。ぜひともチャレンジしてみてください。

■会場型セミナーで受講したい方は『ビジネスクラス・セミナー』
>>>最新のビジネスセミナーを探す
※サイトにアクセスしたら、「テレワーク」などでフリーワード検索してください。

■WEBセミナーで受講したい方は『Deliveru(デリバル)』
>>>Webセミナーで最新WEBセミナーを探す
※サイトにアクセスしたら、「テレワーク」などでフリーワード検索してください。

 

【参照情報】
e-Gov電子政府の総合窓口
>>>労働基準法

厚生労働省
>>>テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン