<テレワークの課題と問題点を解決する労務マネジメント【2】> テレワーク中の「中抜け」と「休憩時間」についての解釈

テレワークでは多くの人が「自宅」を就労場所と定めています。テレワークは、家の用事と仕事を両立できる「多様な働き方」がメリットとして挙げられますが、家の用事のために、一旦業務から離れる「中抜け」の時間をどう扱うかで、多くの企業が頭を悩ませています。テレワークの実態調査でも「中抜け」に関しては多くの企業が課題としており、厚生労働省のガイドラインにも「中抜け時間」の取扱いが示唆されています。多様な働き方を支える「中抜け」時間は、どのように取り扱えば良いのでしょうか?同じく課題点として挙げられることが多い「休憩時間」と一緒に解説致します。

 

テレワーク中の「休憩時間」は?

労働基準法第34と、条第2項では、労働者の休憩時間について「休憩時間を労働者に一斉に付与すること」と定めています。テレワーク従事者の場合、全員が一斉に休憩を取ることは困難なので、「一斉付与の原則を適用除外とする」という労使協定を結ぶ必要があります。具体的な時間にすると「1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、労働時間が8時間を超える場合は60分以上の休憩を与える」と取り決められています。また、労使の合意により、上記以外の休憩時間を任意に設定することも可能とされ、中抜け時間の調整などを含める企業も多く存在します。

 

テレワークに多い「中抜け」と指摘される問題点

では、休憩ではなく、家の用事で業務から離れる必要が出てくる「中抜け」について、どのような問題があるのでしょうか。

●テレワークの「中抜け」とは?
「中抜け」とは、就業時間から就業時間までの間、何らかの理由により一旦業務を離れることを指します。テレワーク中の「中抜け」で多いケースは、以下のような例です。

・日中に銀行や役所などへ行く時
・家族のデイサービスの送迎時間に対応する時
・家族の介護をする時間
・家族の病院の付添う時間
・子供の保育園の送迎に向かう時間
・子供に対応する時間

●テレワークの「中抜け」による抱える企業の悩み
労働基準法第34条では「6時間を超える労働時間に対して45分、8時間を超える労働時間に対して1時間の休憩を労働時間の途中に与えなければならない」と定められています。この法律は、テレワークにおいても適用されますが、子供や介護の必要な家族がいる労働者の場合、オフィスワークのようなタイムラインで業務を継続することは難しく、上記の例にもある通り、送迎や家事、その他の家の用事が挟まり、中抜けせざるを得ない状況となるケースが多くあります。

事業者側としては、テレワークに従事する従業員の労働時間を適切にマネジメントする必要がありますが、慣れないテレワークの勤怠管理をする中で、中抜けの時間も調整しなければならず、その方法を模索している企業が多い現状となっています。中抜けしている時間は休憩時間なのか、中抜けの時間を想定して始業・就業時間をスライドするのか、または時間単位年休を導入するのか、労使間できちんと取決めがなされてないと、中抜け時間をめぐってのトラブルが発生する恐れがあると懸念されています。

 

テレワーク中の「中抜け」の取扱い例

テレワーク中の「中抜け」時間は、どのように扱ったらよいでしょうか。厚生労働省のガイドラインでは、「テレワークに際して生じやすい事象」として「在宅勤務等のテレワークに際しては、一定程度労働者が業務から離れる時間が生じやすいと考えられる」として「中抜け」に関して言及しています。そして、中抜けに関して2つの対処法を提案しています。

①「中抜け」を「休憩時間」として取り扱う
就業時間中の休憩時間は決められていますが、始業時間と終業時間を繰り上げ、繰り下げるなどで調整し、休憩時間を中抜け時間に充てるという方法があります。例えば、9時から18時までの勤務時間だったとして、12時~13時の昼休憩以外の休憩時間1時間分を、14時~15時、もしくは15時~16時など用事のある時間帯に設定し、その分、就業時間を従来の18時までから19時までと繰り下げる、などの方法があります。この場合、始業・終業時刻が変わるため、その旨を就業規則に記載する必要があります。

②「中抜け」を「時間単位の年次有給休暇」として取り扱う
中抜け時間を、時間単位で取得する週休休暇として取り扱う方法もあります。年次有給休暇扱いならば、始業時刻や就業時刻で調整する必要がなく、調整しやすいメリットがあります。休憩時間としての取扱いとの違いは、時間単位の年次有給休暇を導入する場合、労使協定の締結が必要となる点です。時間単位の年次有給休暇の認知度はまだ低いですが、導入を検討する企業も増えてきています。

 

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【参照情報】
マイベストプロ神戸 神戸新聞社
>>>テレワーク中の中抜け時間。どのように管理する?

税理士法人タクト
>>>テレワーク中の中抜け時間や移動時間はどう取り扱う?

厚生労働省
>>>テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン