<テレワークの課題と問題点を解決する労務マネジメント【1】> テレワーク時代に浮彫りとなった業務上の課題と問題点

働き方改革で政府が導入を推進していたテレワークは、新型コロナウイルスの影響により想定以上のスピードで導入する企業が増えました。長引くコロナ禍で、多くの企業がテレワークを継続する中、テレワークの業務上の課題や問題点が浮彫りとなってきています。コロナ前とはガラリと変わった「働き方の多様性」に必要なのは、どのような労務マネジメントなのでしょうか?テレワークでも滞りなく企業活動ができるために、現時点で判明しているテレワークでの業務上の課題と問題点、そしてテレワークの労働基準関連法案についてまとめました。

 

浮上したテレワークの業務上の課題と問題点

厚生労働省の資料や、日本労働組合総連合会(JTUC)が実施した調査によると、テレワークを導入したことにより、これまでの「業務上の常識」が通じなくなり、事業者側が対応に頭を悩ませている現状が浮彫りになっているとのことです。これらの課題や問題点を「労働者目線」と「事業者目線」に分けてピックアップしてみました。

●労働者目線の課題と問題点
・つい長時間労働になりがち
・仕事と仕事以外の時間の切り分けに苦慮する
・仕事の評価が厳しくなった
・上司や同僚とのコミュニケーションが難しくなっている
・共有情報へのアクセスが難しい

●事業者目線の課題と問題点
・従業員の労働時間管理が難しい
・仕事の進捗状況が確認できない
・情報セキュリティの確保に苦慮する
・従業員同士のコミュニケーションが難しくなっている
・安全衛生管理をどのように実施したらいいか分からない
・労災認定のラインが曖昧
・テレワーク用機器のコストがかかる

●特に問題視されているのは「労働時間」「人事評価」「労災認定」
テレワークの課題点として特に課題・問題視されているのは「労働時間」「人事評価」「労災認定」です。

(1)労働時間
自宅で業務することで、オンオフの切り替えがうまくいかない従業員が、結果的に長時間労働となってしまうケースがあります。また、事業者がうまく仕事の采配ができずに、業務量に偏りがでてしまうケースや、事業者が労働時間を把握できないことによる長時間労働などの例も挙げられます。他にも、休憩時間が分からない、時間外労働を申告できない、などのケースもあるようです。

(2)人事評価
テレワークは従業員の就業状況が、可視化しにくい現状があります。業務量が見えないということは、人事評価に影響が出ます。成果が分かりやすい仕事ほど評価されやすく、成果が分かりにくい仕事は、例えどんなプロセスを踏んでいたとしても、成果として見えないため、評価が下がってしまいます。結果、適切な人事評価が実施されないため、従業員からの不満がたまりやすくなる環境となってしまいます。

(3)労災認定
労災は、業務に関連する傷病であれば、労災保険が適用されるシステムですが、テレワークにおいての労災認定は、労働時間の把握と就業状況の把握が難しいため、課題点とされています。

 

テレワークの労働基準関係法令の適用について

そもそもテレワークでは、労働基準法は適用されるのでしょうか?その答えは「イエス」です。働き方改革での「新しい働き方」として推進されているテレワークですが、厚生労働省の「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」によると「労働基準上の労働者については、テレワークを行う場合においても労働基準関係法令が適用されます」と記されています。テレワーク実施時でもでも遵守しなければならない労働基準関係法令は以下の通りです。

・労働基準法
・最低賃金法
・労働安全衛生法
・労働者災害補償保険法

などです。

 

テレワークでの労働基準法適用の注意点

テレワークにおいて、労働基準用を適用する場合の2つの注意点についてまとめました。

(1)労働条件を明示する
労働基準法第15条、労働基準法施行規則によると「使用者は、労働契約を締結する際、労働者に対し、賃金や労働時間のほかに、就業の場所に関する事項等を明示しなければならない」とされてます。事業者は、従業員に対し、テレワークで就労を開始させる場合は「就業の場所」としてテレワークを行う場所を明示する必要があります。

例:従業員がテレワークを行う予定
自宅・サテライトオフィスなど、テレワークを行うことが可能である就業の場所を明示することが望ましいとされています。

例:従業員がモバイル勤務をする場合等で、業務内容や労働者の都合に合わせて働く場所を柔軟に運用する場合
従業員の就業場所について許可基準を示したうえで「使用者が許可する場所」といった形で就労場所を明示することを可能となります。

(2)就業時間も明記する
テレワークの実施と合わせ、始業時間・就業時間が変更する場合は、労働基準法施行規則第5条第1項第2号において、就業規則にその旨を明示しなければならないと定められています。

(3)労働時間制度を正確に把握する
テレワークを実施する際でも、事業者は労働者の労働時間について正確に把握する債務を有します。「適正な労働時間の把握のために使用者が講ずべき措置」は以下の通りです。

  • 「労働時間」とは、従業員が使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は目視の指示により労働者が業務従事する時間のことを指します
  • 事業者は労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録しなければなりません

①原則的な始業・終業時刻の確認方法
・事業者が自ら現認することにより確認すること
・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

②やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合の方法
・自己申告を行う労働者や労働時間を管理する者に対しても、自己申告制のガイドラインに基づく措置について労働者に十分に説明する
・自己申告により実態調査を実施して、所要の労働時間の補正を行う
・事業者や従業員が自己申告できる時間数の上限を設ける等、適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならない
・36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが従業員において慣習的に行われていないか確認する

 

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【参照情報】
厚生労働省
>>>テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン

Chatwork
>>>テレワーク中の労務管理の課題と解決法

人事のための働き方改革サイト
>>>テレワークの労務管理等に関する実態調査を公表