<令和の改正法「独占禁止法改正」で何が変わるのか?【1】> 改正前に現行法をチェック!独占禁止法とは?

「令和の法改正」と言われるほど、令和元年はあらゆる法律の法改正が実施されてきています。その中で注目されている法律が「独占禁止法」です。戦後GHQにより制定された独占禁止法ですが、度々改正が実施されており、現行法は2015に改正が実施されました。改正法の前に「独占禁止法」とはどのような法律か?その目的や規制内容、罰則規定などの基本的な概要についてチェックしてみましょう。

【参考】
e-Gov 電子政府の総合窓口
>>>私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)

 

独占禁止法とは?その目的について

独占禁止法は、独占禁止法第1条により「事業者による公正かつ自由な競争の促進」を目的に、制定されています。消費者の収益の確保や、国民経済の健全な発達などを最終到達点とした「企業競争を促進するための法律」であり正式名称を「私的独占の禁止及び公正取引の確保の法律」と言います。一部のメーカー同士が手を組んで、他のメーカーを市場から締め出す行為や、不当に価格を取決め価格競争ができないような市場となっては「公正で自由な競争」にはなりません。独占禁止法では、このような、競争の妨げになる行為や不当な取引、不公平な取引を禁止し、健全な市場競争で経済を回せる様に促しています。禁止されている私的独占や不当取引などが発覚した場合は、課徴金などを罰則が課せられます。

 

独占禁止法の規制内容

独占禁止法の規制内容には、「私的独占の禁止」「不当な取引制限(カルテル)の禁止」「不公平な取引方法の禁止」「企業結合の規制」「下請け法に基く規制」などがあります。以下で、それぞれ詳細を解説いたします。

●私的独占の禁止
「事業者が販売価格を不当に低く設定するなどして他の事業者を排除したり新規参入を妨害したりする行為」を「私的独占」と言います。私的独占が横行すると、品質や価格などが優れた新規事業者が市場から締め出されてしまうため、市場での競争が起きず、結果的に品質向上などの企業努力が行われる恐れがあるため、独占禁止法では第2条5項、第3条にて、これらの行為を禁止しています。

●不当な取引制限
複数の事業者が手を組むことをカルテル(企業連合)と称しますが、独占禁止法第2条6項や独占禁止法第3条では「複数の事業者が他の事業者との競争を回避するために、カルテルや入札談合など事業者同士で合意を結び、実質的に競争を制限する行為」を「不当な取引制限」として、これを禁止しています。カルテルによる不当な取引制限が生じると、消費者がこれまで購入していた商品の価格が値上がりしてしまい、購入しにくくなる傾向となり、市場に影響を及ぼします。

●不公正な取引方法の禁止
独占禁止法第2条9項1号~5号では「取引の際、不当な対価を用いたり、他の事業者を差別して扱ったりするなどして市場競争を制限する行為」を「不公正な取引」として禁じています。不公正な取引には、以下のような行為が挙げられます。

・取引を拒絶し特定の業者と取引をしない、させないなどの行為
・同製品の価格を場所や人で差別する行為
・不当に安い価格で販売する不当廉売の行為
・不当に高い価格で買い占める不当高価購入の行為
・誇大広告や虚偽の広告や過大景品で顧客を誘引する行為
・他の製品と抱き合わせして販売する行為
・競争者と取引しないことを条件として相手方と取引する行為
・商品の販売価格を相手方に自由に決めさせない行為
・相手方の取引先や販売先を拘束する行為
・自己の超越した地位を利用して相手方に不利益な条件を付ける行為
・競争相手の取引を妨害する、不利益となる行為を誘引、強制する行為

●企業結合の規制
「複数の企業が合併を行うなどして結合すること」を「企業結合」といますが、この企業結合は場合によって市場を独占し、他事業者の競争力を失うケースもあります。このため独占禁止法第条と独占禁止法第13条~17条では、市場競争を促進するため「他事業者による競争を制限するような企業結合」を禁止しています。

●下請法に基づく規制
「下請法」とは、「新規事業者による下請け事業者への対応について規制する」法律のことで、下請け事業者の利益保護や経済の健全な発達などを目的としていると、下請法第1条にて記されています。下請法の規制内容については以下の事項が挙げられます。

・下請代金の支払い遅延の禁止
・下請け代金の減額の禁止
・返品の禁止
・買いたたきの禁止
・購入・利用強制の禁止

 

独占禁止法の罰則規定

独占禁止法の罰則規定には、「民事上の処分」「行政処分」「刑事処分」などの種類があります。

●民事上の損害賠償処分
民事上で処される罰則規定には、独占禁止法第24条で定められている「差し止め請求権の行使」や独占禁止法第25条にある「損害賠償請求権の行使」などが挙げられます。この罰則は、故意や不注意が無くても責任を負わなければならない「無過失責任」(民法第117条、民法第570条、会社法第428条など)に該当します。

●行政処分
独占禁止法の行政処分としては、違法行為をやめるように命じられる「排除措置命令」や国庫に課徴金を納めるように命じられる「課徴金納付命令」があります。違反行為を繰り返した場合には増額措置があり違反を早めに取りやめた場合には、減額措置なども適用されることがあります。

●刑事処分
刑事処分については、ケースや違反行為によって異なりますが、法人以外に個人でも責任が問われることもあります。罰則内容に関しては、「私的独占や不当な取引制限」などについて、法人の場合は5億円いかの罰金(独占禁止法第95条)個人の場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が課せられる場合があります。(独占禁止法第89条1項1号3号)

 

2020年に改正される独占禁止法についてはセミナーで

2020年の独占禁止法改正では、「課徴金制度算定方法の見直し」と「罰則規定の見直し」などが盛り込まれる予定です。改正独占禁止法を知るには、まずセミナーを受講することをお薦めします!12月25日の施行日に合わせ、早めに情報収集をしましょう。

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【参照情報】
企業法務弁護士ナビ
>>>独占禁止法とは?|規制内容・罰則や法適用をわかりやすく解説

株式投資メディアStocksox
>>>独占禁止法のポイント(規制と禁止及び緩和・解禁事項)