<2023年(令和5年)からスタート!「インボイス制度」導入に備えるべきことは?【2】> 「インボイス制度」導入による実務への影響について

2023年(令和5年)からスタートする「インボイス制度」では、従来「請求書保存方式」だった消費税の申告制度が、複数税率に対応した「適格請求書保存方式」へと大幅に仕様が変更になります。「請求書保存方式」では、課税事業者でも、免税事業者でも、誰も請求書を発行することが出来ましたが、インボイス制度が適用となると「登録事業者」しか申告が出来なくなります。インボイス制度の適格請求書保存方式は、企業の実務にどのように影響するのでしょうか?インボイス制度での変更ポイントや、導入までの準備、導入においての注意点などを解説いたします。

 

インボイス制度で変わる3つのポイント

まずは、インボイス制度導入で変わる3つのポイントを見て参りましょう。

(1)インボイス制度導入には「適格請求書発行事業者」への登録が必要
インボイス制度が導入されると、仕入税額控除の適格請求書を発行できるのは「適格請求書発行事業者」のみとなります。「適格請求書発行事業者」になるためには、税務署での登録申請が必要となり、適格請求書発行事業者以外が請求書を発行した場合、それが適切な内容であってっも適格請求書として認めてもらえない上に「誤認される恐れがある」として、1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑に処されます。適格請求書発行事業者への登録は「自社の判断」に委ねられており、以下のような判断ポイントが考えられます。

・顧客が消費者のみの場合は適格請求書を発行する必要がないので登録しなくてもよい可能性がある
・取引先から適格請求書の発行を求められることが想定される場合は登録が必要

さらに「適格請求書発行事業者」は「課税事業者」に限られており、現在免税事業者でも、適格請求書発行事業者への登録が必要となったら、税務署へ「消費税課税事業者選択届出書」(通称:課税選択届出書)を提出し、課税事業者となる必要があります。

(2)「請求書等保存方式」から「適格請求書」へ記載項目の変更が必要
インボイス制度が導入された場合、提出書類を「請求書等保存方式」から「適格請求書」へ記載項目を変更しなければなりません。

1.適格請求書発行事業者の氏名または名称+登録番号
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率対象品目がわかるように明記すること)
4.税率ごとに合計した対価(税抜きまたは税込)+適用税率
5.税率ごとの消費税額等
6.交付を受けえる事業者の氏名または名称

適格請求書は決まった型の様式がないため、こちらの6項目が記載されていれば、手書きでも「適格請求書」として認められます。この記載事項では、請求書の他に領収書、レシート、納品書など「仕入税額控除の書類として処理しているものすべて」に必須項目となります。

(3)特例として適格請求書でなくても仕入額控除が受けられるもの
原則は、適格請求書でないと仕入額控除は受けられませんが、下記の事例は適格請求書の発行が難しいとされ、交付義務がありません。

・3万円未満の自動販売機による販売
・郵便切手を対価とする郵便サービス(ポスト投函に限る)
・出荷者が卸売市場において行う生鮮食品などの譲渡(出荷者から委託を受けた受託者が卸売り事業として行うものに限る)
・生産者が農協・漁協・森林組合に委託して農林水産物の譲渡(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)
・公共交通機関(鉄道・バス・船舶)による3万円未満の旅客の運送

このほか、小売業、飲食店業、旅行業、タクシー業、不特定多数の者に対して行う駐車場事業は「適格簡易請求書」の発行が可能となります。

 

インボイス制度導入で企業が準備する上で必要4のポイント

インボイス制導入の上で、企業が準備する上で必要な4つのポイントをまとめました。

(1)適格請求書発行事業者登録をする
インボイス制度が導入されると「適格請求書発行事業者」でなければ、請求書の発行ができなくなります。インボイス制度の施行は2023年からですが、2021年10月1日~2023年3月31日の間に登録申請書を提出し。適格請求書発行事業者の登録を受ける必要があります。期間外でも登録はできますが、制度開始に間に合わない可能性が高いので、期間内に申請することがベストです。ただし「期間内に申請できなかった困難な事情」が認められれば、2023年9月30日まで受け付け期間が延長となります。通常、免税事業者が課税事業者となる場合は「課税選択届出書」を要しますが、2021年10月1日~2023年9月30日の期間に登録申請する場合は、適格請求書発行事業者の登録申請のみで手続きが可能となります。

(2)自社で使用するフォーマットを適格請求書用に変更する
インボイス制度が導入された場合、請求書の記載事項を要件に合わせて変更する必要があります。そのため、自社で使用している請求書のフォーマットの変更は必須です。既存のフォームを使用している場合は、必要事項が記載されているかの確認を、自作フォーマットの場合は、新たにフォームを作り直します。

(3)「売り手」「買い手」の請求書を保存する
適格請求書は仕入額控除の要件であるため、買い手側は一定期間の保存が必要です。保存期間は交付日または受領日の翌月1日から2カ月を経過して7年間となります。保存が必要とされる請求書等には「適格請求書」「適格簡易請求書」適格請求書の記載事項が記載されている仕入明細書等」また「それらの電磁的記録(PDF)等」が含まれます。ただし、下記の事例の場合は帳簿のみの保存でも、仕入額控除が認められるとされています。

・適格請求書の特例が認められているもの
・適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)を満たす入場券などが使用の際に回収されているもの
・古物営業を営む者が適格請求書発行事業者でないものから買い受けする古物
・質屋営業を営む者が適格請求書発行事業者でないものから取得する質物
・リサイクル業などを営む者が適格請求書発行事業者でないものっから買い受ける再生資源又は再生部品・3万円未満の自動販売機での購入
・従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費・宿泊費・日当及び通勤手当など)

上記の他に、売り手となる適格請求書発行事業者にも「交付した適格請求書の写しを保存する義務」が課せられます。

(4)適格請求書に対応した会計ソフト・ツールの見直し
会計ソフト・ツールによっては、インボイス制度に対応していないタイプのものも多く存在します。クラウド型の会計ソフトやツールの場合は、都度アップデートをしているので、対応が遅れる心配はありません。問題は、パッケージタイプの会計ソフトや、自社で設計した会計システムを使用している場合です。インボイス制度の適格請求書に対応していない、できない可能性が高くなるため、準備期間の前に会計ツールや会計ソフトの見直しを行いましょう。

 

インボイス制度を学んで来る日に備えよう!

インボイス制度は、準備期間が用意されているにしろ、実務で対応するには事前の準備がポイントとなります。まずはセミナーを受講し、インボイス制度をはじめ、消費税の税務関係に関するセミナーを受講し、実務への即戦力を育成しましょう。下記セミナーサイトでは、お好きなセミナーを選べます。税務の勉強は繰り返し行うのが効果的です。繰り返して受講にしたい方は、視聴期間中に何度も受講できるWEBセミナーがお薦めです!

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【参照情報】
OBC360°
>>>インボイス制度はいつから?導入までに企業が準備すべきこととは

>>>インボイス制度とは 〜適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響〜