<2023年(令和5年)からスタート!「インボイス制度」導入に備えるべきことは?【1】> 「インボイス制度」とは何か?概要とポイントを解説

平成元年の消費税増税に伴い、8%、10%と税率が混在する中で、取引の中で正確な納税額が把握しにくい状況となりました。2023年(令和5年)からスタートする「インボイス制度」は、消費税の不正やミスが原因で不当利益を出さないように「適格請求書保存方式」を用いて正しい消費税の納税額を算出することを目的としています。請求書や納品書など、身近な書類に関わるインボイス制度とはどのような制度なのでしょうか?導入前に備えたい、インボイス制度についての基本的な知識とポイントを解説いたします。

 

「インボイス制度」の概要について

まずは、「インボイス制度」の基本的な知識についてまとめました。

●「インボイス制度」とは?
「インボイス制度」とは、一言で言うと「消費税の複製税率に対応するための新たな納税申告書」が適用される制度です。令和元年(2019年)の消費税増税では、一律に引き上げられた10%の標準税率と、食料品など従来通り残された8%の軽減税率の導入により、仕入と販売でかかる税率に差が出てしまい、商品ごとの税率が把握できずに、正しい税額を算出しにくい状況となりました。インボイス制度では、いわゆる「複数税率」の影響で起こる不正やミスなどを防ぐために導入される「適格請求書保存方式」を用いた新しい消費税の申告制度なのです。

●従来の「請求書等方式」と「適格請求書保存方式」の違い
従来、消費税額の申告・納付方法は「請求書等方式」が採用されていました。「請求書等方式」では、売上1000万円以上の事業者が対象となっていますが、消費者が事業者に支払った消費税の一部が納税されず、事業者の「益税」が発生されることが指摘されており、軽減税率においては「益税」が発生しやすくなっている状況となっています。現在「請求書等方式」は、「区分記載請求書保存方式」といった、移行期間用の制度となっていますが、インボイス制度の「適格請求書保存方式」では、「請求書等方式」よりも、消費税額が軽減税率に対応するかどうかが明確に記載される項目が設けられているので、益税に対して非常に厳格な仕様となっています。

●「適格請求書」の記載事項
「適格請求書保存方式」で使用する「適格請求書」の記載事項をご紹介します。「適格請求書」には、「適格請求書」と「適格簡易請求書」があります。

<適格請求書>
①適格請求書発行事業者の指名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

<適格簡易請求書>
①適格請求書発行事業者の氏名または名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)
⑤税率ごとに区分した消費税額等*又は適用税率

 

なぜ「インボイス制度」を導入2つの背景

なぜ「インボイス制度」が必要なのでしょうか?2つの背景に迫ります。

(1)「益税」が発生する不正やミスを防ぐため
まずは、前述でも触れた「益税」が関係します。現在、売上高1000万円以下、あるいは、設立1期目及び2期目の「免税事業者」は消費税の納付が免税となっています。しかし、現行の「請求書等方式」では、売上と仕入だけしか記入する場所がなく、消費税が明確にわからない仕様になっています。このため課税事業者が申告する仕入税額控除の中に、免税事業者が支払った「納税されていない消費税」が含まれているケース「益税」が発生しました。インボイス制度では、商品ごとの適用税率と税額が明記された適格請求書が必要となるため、このような益税が発生するケースを改善されると期待されています。

(2)取引の透明性を高めて正確な消費税額を把握する
インボイス制度導入のもう一つの目的は、「正確な消費税額を把握する」ことです。2019年の消費税増税と軽減税率の導入から、消費税率が複数税率となり、経理処理が煩雑化しました。特に、軽減税率の影響が高い、飲食店や小売店などでは、食材などの消費税率は8%ですが、光熱費の消費税率は10%です。二つの税率を、適格請求書によって明確化することによって、正確な消費税率を把握することが可能となります。

 

インボイス制度導入の影響

インボイス制度の導入は、「課税事業者」「免税事業者」それぞれに影響があります。

●課税事業者への影響
課税事業者は、消費税を除く売上が1,000万円以上ある事業者のことです。適格請求書を使用するには「適格請求書発行事業者」への登録が必要となります。そのため「登録番号」を取得しなければなりません。また「適格請求書発行時郷社」となると「取引先の求めに応じて適格請求書を発行する」「交付した適格請求書の写しを保存する」などの義務が発生します。

●免税事業者への影響
現在、個人事業主やフリーランスの多くは、免税事業者となっています。免税事業者の場合は、「課税事業者と取引をしている場合」に注意が必要です。免税事業者は適格請求書発行事業者登録ができないため、インボイスの発行ができません。インボイスが交付されない取引だと、課税事業者は免税事業者との取引で支払った消費税について入税控除を受けることができなくなってしまいます。課税事業者にとっても不利益なこととなるので、インボイスを利用できるようにしておかないと、取引を継続できない恐れがあります。このため、これまで免税事業者だったとしても、インボイス後には、課税事業者へと転ずる選択を迫られる可能性があります。

 

「インボイス制度」を学ぶならセミナーで

何かと影響の大きい「インボイス制度」。導入はまだ先ですが、その期間はあっという間に過ぎてしまいます。経営や実務に影響が出る前に、セミナーでインボイス制度を学ぶことをお薦めします。下記、セミナーサイトでは、インボイス制度や消費税についてのセミナーもお取り扱いしています。ぜひご利用ください。

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【参照情報】
NTT docomo ビジネスコラム
>>>令和5年から始まるインボイス制度。何が変わるのか

SAISON CARD
>>>インボイス制度ってどんな制度?影響を受ける免税事業者がやるべきことも解説

OBC360°
>>>インボイス制度はいつから?導入までに企業が準備すべきこととは