<2020年の税制改革「年末調整」の変更点と電子化について【2】> 年末調整もついに電子化!手続きの流れやメリット、デメリットについて
2020年の年末調整では、税制改革による変更点の他にもう一つ大きな変化がありました。それは「年末調整の電子化」です。年末調整作業の負荷を軽減する目的で導入された年末調整は、従来の年末調整とどのような違いがあるのでしょうか。年末調整の電子化の仕様変更と導入の目的、手続きの流れ、メリット、デメリットなどについてまとめました。
年末調整の「これまで」と電子化による「これから」について
まずは、従来の年末調整と電子化後の年末調整について見て参りましょう。
●「これまで」の年末調整手続き
従来の年末調整は、以下のような流れで実施されてきました。
(1)給与などを受取る従業員が、保険会社・金融機関。税務署等(以後「保険会社等」)から控除証明書等をハガキ等の書面で受領します
(2)従業員が保険料控除申告書又は住宅ローン控除申告書に(1)で雨量下書面に記載された内容を書き写し、控除額を算出して記入します
(3)従業員が年末調整の際に作成する各種申告書(保険料控除申告書及び住宅ローン控除申告書等の「年末調整申告書」)を作成し、控除証明書と共に給与を支払う勤務先へ提出します
(4)書類を提出された勤務先では、年末調整申告書に記載された控除額の検算、控除証明書などを確認し、年税額を計算します
●電子化による「これから」の年末調整手続き
年末調整が電子化すると、以下のような手続きの流れとなります。
(1)従業員が保険会社等から控除証明書を電子データで受領します
(2)従業員が国税庁のホームページから国税庁が無償で提供する年末調整申請書作成用ソフトウェアをダウンロードし、必要事項を記入した上で(1)のデータをインポートします
(3)従業員が(2)の年末調整申告書データと(1)の控除証明書等のデータを勤務先に提出します
(4)勤務先が③で提出された電子データを給与システム等にインポートして年税額を算出します
年末調整電子化の目的とは?
毎年「年末調整」の時期になると、従業員一人一人へ配付する書類の準備、回収、チェックなどの作業に追われ、どこの企業も担当部署への負荷は相当なものでした。紙の書類は、書き方に個人差が生じやすく、どんなに事前指導をしても、見本の紙を用意しても、個別に相談に乗っても、何らかの不備は回避できません。特に回収後は「添付書類は間違いなくそろっているか」「記入漏れ、記入ミスはないか」「控除額の計算額は合っているか」など、一枚一枚に対して細かく目を通さなければならず、チェックに時間がかかることも負担の一つでした。例えば、書類に不備があった場合は、再度やりとりが必要となり、手間も時間もかかります。この度の年末調整電子化の目的は、このような、実務の複雑さ、手間ヒマなどの業務負荷が少しでも軽減できるようにと「担当部署の業務軽減」を目的としたものであり、企業にも従業員にも大きなメリットをもたらします。
年末調整電子化による企業側・従業員側のメリットとデメリット
業務軽減を目的とした年末調整の電子化ですが、他にもメリットはあるのでしょうか?デメリットと併せてご紹介します。
●電子化によるメリット
電子化によるメリットを、「企業側」「従業員側」でまとめました。
【企業側のメリット】
・年末調整報告書の記載内容や控除額の確認作業、給与システムへの入力作業、年税額の計算等がスムーズになるため事務コストが削減される
・7年間保管することになっている年末調整申告書の保管が電子化によるペーパーレスで不要となるため、保管コストの削減となります
・年末調整申告書を従業員が作成する際の記載ミスが減り、担当部署への問合せや確認作業が軽減する
・使用している給与システムと連携することが可能でもあり、データの入力作業が軽減します
【従業員側のメリット】
・手書きによる年末調整申告書への記入がパソコン入力へと変わり、年税額も自動計算となるため、書類作成ミスが少なくなります
・年末調整申告書データは翌年度も使用できるため、翌年はさらに入力作業が楽になります
また、企業側・従業員側双方のメリットとして、テレワークでもメールで迅速にやり取りが可能となり、書類を郵送するなどの手間が省けます。
●電子化によるデメリット
他方で、電子化によるデメリットも無視はできません。
【企業側のデメリット】
・当面は紙書類とデータが混在するため、両方に対応する必要があります(保険会社などで未対応の場合もあり)
・マイナポータルとの連携に2か月ほどかかります
【従業員側のデメリット】
・パソコンが苦手な人にとっては、ハードルの高い作業となります
・企業側からきちんと説明がないと従業員の方が混乱する恐れがあります
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【参照情報】
国税庁
>>>年末調整手続きの電子化に向けた取組について(令和2年分以降)
OBC360°
>>>2020年スタート!年末調整手続きの電子化に向けて今から準備すべきこととは
齋藤作実税理士事務所
>>>年末調整の電子化とは?メリット・デメリット(課題・注意点)