<法務業務の新しい風!日本で拡大しつつある「リーガルテック」とは?【1】> 「リーガルテック」とは何か?日本で広がる背景について
コロナ禍において、加速したテレワークの普及とともに、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)も進んでいますが、ここへきて新たに「リーガルテック」という言葉がビジネスシーンに登場してきました。「リーガル(法務):Legal」と「テクノロジー(技術):Technology(Tech)」二つの言葉を併せた「リーガルテック」はなぜ今、日本で注目を集めているのでしょうか?リーガルテックとは何か?リーガルテックの歴史や日本で広がる背景などについて解説します。
リーガルテックとは?
まずは、「リーガルテック」の意味とその歴史についてまとめました。
●リーガルテックとは?
「リーガルテック」とは「リーガル(法務):Legal」×「テクノロジー(技術):Technology(Tech)の二つの言葉を併せた造語です。契約に関する煩雑な業務や、法的トラブル等をIT技術を使ってスムーズに解決し、業務の向上や利便性を図ることができるサービスを指します。リーガルテックは、金融×技術の「flntech(フィンテック)」などと同様、IT活用法である「XーTech(クロステック)」の一つとして日本企業にも普及しはじめてきています。
●リーガルテックは訴訟大国のアメリカが発祥
リーガルテックは、訴訟大国で裁判の盛んなアメリカが発祥となっています。その研究のスタートは1970年からと意外に古く、先例主義のアメリカでは、法律や判例を容易に検索できるサービスを世界に先駆けて開発してきました。例えば、訴訟相手の電子証拠の開示請求ができる「ディスカバリー制度」で精査する電子メール、契約書、稟議書、社内文書精査のIT化等は、人の手よりも効率がいいという事で、2010年頃から発展したリーガルテックのひとつです。そのような経緯もあり、AI技術の発展と共に、アメリカのリーガルテック市場は年々活性化し、2018年には、10億ドルを超える市場にまで成長しています。
リーガルテックが日本で広がる背景と普及の壁
リーガルテックサービスそのものは10年以上前から存在していたのに、なぜ今、リーガルテックが日本で広がりを見せているのでしょうか?
●日本でリーガルテックが広がる背景
日本政府が「働き方改革」を推奨しはじめたのは2018年からですが、働き方改革が実施された2019年以降でも、テレワークやペーパーレス化などの移行は緩やかでした。しかし、2020年に入り、新型コロナウイルスが世界的パンデミックを引き起こすと、その感染症対策でテレワークを導入する企業が増加し、テレワークは思わぬ形で急拡大します。これにより、日本の働き方は大きく変わり、多くの企業がペーパーレス、ハンコレスなどの、テレワークに合わせた労働環境づくりを余儀なくされたのです。電子書類化の流れは法務業務も例外ではなく、契約の締結、契約書の作成、契約書の郵送など、手間のかかる部分をIT化することで、人件費の削減や業務効率を図ろうという流れとなってきました。法務に係る業務の電子化が進むにつれ、リーガルテックの需要は高まり、さらに拡大していく可能性を秘めているのです。
●日本のリーガルテックと「弁護士法27条」
国内のリーガルテック市場は成長が期待されていますが、普及には「弁護士法72条」の壁があります。弁護士法72条では「弁護士ではないものが法律業務を取り扱う事を原則禁止」しています。この「法律事務お取扱い」には”法律上の効果を保全・明確化する事項の処理(確定した事項を契約書にする行為)”も含まれると解釈されており、リーガルテック普及の壁となるのでは?という話も出ています。しかし、法的な規制がある中でも、リーガルテックに参入する企業は増えつつあり、市場規模も資金調達額も年々増加していることは間違いないようです。
リーガルテック導入のメリットと注意点
リーガルテック導入について、経済産業省では以下のようなメリットと注意点を挙げています。
●リーガルテックのメリット
・審査、締結の高速化
・ナレッジの蓄積、共有、リスク情報の集約等による品質の向上
・履行段階での情報管理、リスク対応に資する等の効用への遺体
●リーガルテックの注意点
・リーガルテックを使いこなすには相応の法的能力を要する
・現時点ではリーガルテックのみで全てを処理することはできない
リーガルテックは、法務業務のスピード処理や、法務ナレッジの蓄積、リスク情報の集約等のメリットがある反面、それらを使いこなす相応の法務知識をもつ人材を必要としており、DX(デジタルトランスフォーメーション)でも課題となっている「適した人材」の確保も一つの課題となりそうです。
リーガルテックなど企業法務の今を知るにはセミナーが有効
リーガルテックについて詳しくなるには、まず企業法務の今を知る必要があります。下記セミナーサイトには、初心者の人でも安心の企業法務セミナーをご用意しています。最新のDX、リーガルテックなどについて学ぶこともできますので、ぜひともご利用ください。
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【参照情報】
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