<その就業規則は大丈夫?トラブルを回避する今どきの就業規則事情【1】> 就業規則の意味とトラブルになりやすい就業規則の特徴

就業規則は、会社の顔でありルールブックです。経営者が周知する就業規則を労働者が守ることで企業が効率的に運用され、いざというときのトラブルにも対応できる取決めとなっています。しかし、実際に就業規則の取決め通りに会社が運営されているかというとそうではないケースが多く、就業規則をめぐる労務相談は増える一方というデータもあります。トラブルを回避するための就業規則が、なぜ機能しないのでしょうか?従業員とのトラブルは、会社にとってリスク意外の何物でもありません。ここでは就業規則の意味と、必要とされる意義、トラブルになりやすい就業規則の特徴などをご紹介して参ります。

 

そもそも「就業規則」とは?

「就業規則」とは、「企業における就業上守るべき規律や労働条件の具体的な詳細を定めた規則」です。労働基準法第89条によると「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届けなければならない」と定められています。その目的は「労働者が安心して労働するためのルールづくり」と「社会の規範」にあります。就業規則があることで、ルールを破った場合の処罰や、報酬においての取決め、始業時間や就業時間、休憩・休暇などのルールが可視化されるため、労働者と経営者は共通の規範を持つことができます。また、就業規則には「業務のために何をすべきか」が示されているので、労働者は業務に集中し、生産性が向上するという好循環を生みだす効果が期待されています。ちなみに就業規則は「規則類の総称」ですので、会社によっては「就業規則」と称されていない場合もあれば、就業規則とは別途、「賃金規程」「退職金規程」「育児休業規程」「慶弔見舞金規程」など細かく取り決められているケースもあります。

 

就業規則が存在することのメリットについて

就業規則があると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?経営者と労働者、そして会社のメリットについてそれぞれ見てみましょう。

【経営者のメリット】
・就業規則を会社のルールとして全従業員に適用することができる
・就業規則に沿って全従業員を公平に取り扱うことができる
・従業員が就業規則に従って自己解決する可能性が高くなる

【従業員のメリット】
・会社が従業員に対して求めていることや禁止していることが把握できる
・自分の給与や待遇の基準が明確にされているので安心して働くことができる

【会社のメリット】
・就業規則を整備することで従業員が守るべきルールが明文化されるため従業員のモラルアップを図ることができる
・懲戒規定をきちんと設定することで、問題社員が発生した時でも適切に懲戒処分を実施することが可能
・就業規則を作成する過程で会社の抱える課題が可視化され、人事などで活用できる
・きちんと整備された就業規則を定めていることで、従業員に対して適切な労務管理を実施している会社だと外部へのアピールにもなるため従業員も安心できる

逆に、就業規則を正しく適用していない場合、例えば懲戒規定を定めていない場合は、問題ある従業員を懲戒処分できない事態や、残業代の認識の違いで従業員とトラブルになり、訴えられるということも想定されます。就業規則を適当に設定するとリスクを負うのは最終的に会社側となるため「正しく適用されている就業規則」の存在は非常に重要なのです。

 

トラブルになりやすい就業規則の特徴とその理由

経営者も従業員も円滑に仕事をすることができるはずの就業規則ですが、就業規則があるにもかかわらず、労使間でのトラブルは近年増加増加しています。いったい、どのような就業規則がトラブルの元となっているのでしょうか?トラブルになりやすい就業規則の特徴とその理由をまとめました。

(1)ひな型の就業規則をそのまま使用している
就業規則がらみでトラブルが発生する会社の多くは、「ひな型」を使用しているケースです。就業規則のひな型は、厚生労働省のホームページにもお手本として記載があり、中にはそのまま使用している会社も存在します。ひな型はあくまでも「最低限定めた方がいい内容」を示してある「テプレート」にすぎないため、会社の実情とはそぐわない点がそこかしこに見受けられます。また、親会社や系列会社の就業規則を真似る場合にも、そっくりそのまま自社に反映させると労使間のトラブルの元となります。これらのひな型を使用する場合は、不可能な内容は採用しない、逆に、ひな型には記載されていないが、内容的には重要な項目であれば記載するなど会社の実情と照らし合わせることがポイントです。

(2)創業時に作成したまま改訂していない
創業時に作成した就業規則を改定せず放置していたために、いざというときに役に立たず裁判沙汰となるケースも良くあります。会社や労働者をとりまく法律環境は、働き方の変革と共に目まぐるしく変わっています。法改正に準じて就業規則をしなかったおかげで、非正規雇用労働者の取扱い、残業代の計算方法などに対応しておらず、損害賠償を支払う羽目になるケースも珍しくありません。法律が変わる前に就業規則を見なおし、適宜改定していくことで会社のリスクを減らすことが可能です。

(3)服務規程が明文化されていない
「経営者が従業員に求めていること」や「従業員がしてはいけないこと」などのルールが明文化されていないことで、従業員へペナルティを課すことができないというトラブルもあります。特に、解雇処分や懲戒処分に関しては、ルールを厳格に定めていないと即時解雇ができないばりか、就業規則に記されていないのに解雇してしまうと、不当解雇で訴えられてしまう可能性があります。大切なルールは厳格に、かつ分かりやすく定めて、従業員に遵守させるようにしましょう。

(4)就業規則を従業員へ周知していない
労働基準法第106条によると、就業規則は作成後、従業員全員に周知することが義務付けられています。その方法は支社、営業所、店舗などに提示する、従業員全員へ書面(PDFなど)で交付し各自保管してもらう、従業員全員へメールで周知する、などです。周知していないだけでトラブルになるのか、と思われがちですが、実は周知されていない就業規則は裁判沙汰となった時に「無効」として判断されてしまうリスクがあるのです。どんなに完璧な就業規則でも、従業員がそれを知らなければ活用されず、社内で正しく運用されていないことになるので、宝の持ち腐れとなります。従業員に「就業規則があったのを知らなかった」と言われないためにも周知は徹底してください。

 

リスク回避のための就業規則をセミナーで学ぼう!

会社のルールである就業規則が、会社のリスクとなってしまうことは、是非ともさけたいところです。その就業規則は大丈夫ですか?就業規則を見直すと同時に、会社を守る就業規則作りのためにセミナーなどいかがでしょう?最新の法令に沿ったリスクを回避するための就業規則づくりのノウハウが学べます!

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【参考サイト】
ポプラ社会保険労務士事務所
>>>就業規則のチェクならまずココからリスク増大規定をみやぶれ!

AltPaperストレスチェック・サービス
>>>「就業規則」作り方とトラブル回避のためのポイント

BUSINESS LAWYERS
>>>なぜ就業規則を作成しなければならないのか

志戸岡社会保険労務士事務所
>>>中小企業経営者の方へ就業規則の作成ポイントのご紹介

あおぞら社労士事務所
>>>就業規則は重要です!