<企業同士の守秘ルール「秘密保持契約(NDA)とは?【3】> 秘密保持契約違反とならないためには?知的財産権での注意事項・競業避止義務の取扱いについて

ひと昔前の「契約」と言えば、契約書一枚、もしくは、口約束や会社同士の慣習などで済んだものです。しかし、社会の在り方も変わり、世界を相手にするビジネスの世界となると、当事者同士の妥協や忖度で交わす契約は通用しなくなってきました。特にBtoBの場合は、務契約書を交わす前に、営業秘密の守秘に関する「秘密保持契約」を交わす必要があります。しかし、秘密保持契約も、厳密にルールを決めておかなければ、不利益を被る可能性もあります。逆に、秘密保持契約の内容を確認しておかなければ、秘密保持契約違反となってしまうというケースもあります。ここでは秘密保持契約違反とならないためポイントと、知的財産権での注意事項、競業避止義務の取扱いについてまとめてみました。

 

秘密保持契約違反となる行為とは?

秘密保持契約で取り決めた「違反内容」にもよりますが、一般的に秘密保持契約違反とされる行為は以下の通りです。

【違反行為】
・情報の複製
一般的には、秘密保持契約では「情報の複製」が禁じられます。この場合の複製は、書類のコピー、スキャナーを使用しての取り込み、メールへの添付などです。

・情報の分析
秘密保持契約では「情報の分析」も制限されることがあります秘密情報が分析されてしまうと、商品開発の元となるノウハウなどの技術情報を知られることとなります。悪用されないためにも、技術情報などを含む場合の秘密保持契約では「情報の分析」を禁止する場合があります。

・情報の目的外使用
「情報の目的以外の使用」とは、例えば「システム開発のために情報を共有する」と目的を定めた場合、受領側が開示側より入手した秘密情報を勝手に利用して新商品の開発や、新システムの構築などをすると「情報の目的外使用」とみなされます。入手した秘密情報は原則、目的のために使用します。

【ペナルティ】
・開示側から差止請求や損害賠償を受ける可能性
秘密保持契約違反とみなされた場合、開示側から秘密情報の利用や、秘密情報を使用して開発したサービスやシステム、商品などの差止請求をされる可能性があります。また、開示側に損害を与えたとして、損害買収を請求されることも想定されます。こうしたペナルティが外部に知られると、会社の社会的信頼が失墜することもあるので、秘密保持契約違反をすることはデメリットしかない、意識しておくことがポイントです。

・開示側からの契約の解除
まれに開示側からの「契約の解除」を求められる場合もあります。しかし契約の解除は、秘密保持契約も解除となることもあるので、開示側にとってメリットの少ない方法として、あまり実行はされません。

 

秘密保持契約での知的財産権の注意事項

「知的財産権」とは「産業財産権」と「著作権」からなる有形・無形の成果物を守る権利を指します。デザインやネーミング、キャラクターなどを取り扱う時に、知的財産権に関する秘密保持契約は欠かせません。事実、秘密保持契約では、知的財産権の成果物の取扱いについて交わしている事例が多く挙げられます。この場合の秘密保持契約は「秘密情報の目的外利用及び漏洩リスクのコントロール」について定めることが多いですが、開示される秘密情報から、新しいアイデアや、ビジネスへの活用方法が見いだされる可能性もあります。そのため、知的財産権で秘密保持契約を締結する場合は「成果物の活用方法」まで視野に入れて定める必要があります。

 

競業避止義務の取扱いについて

「競業避止義務」とは、秘密情報を開示する側と競合する会社への就職や、開示する側と競合するような企業の設立、または取引などを受領側が行うことを指します。ただでさえ、企業の財産とも言える、顧客情報は技術情報などの秘密情報を他の企業へ開示することは、それだけでもリスクを負うことになります。秘密情報を開示した相手が、恐るべき同業他社となることは避けたいことです。競業避止義務は、期間を広範囲に設定してしまうと、新規取引がしにくくなるなどビジネスへ影響が出てしまいます。競業避止義務を設定する場合は「事業の検討をしている期間のみ」など、効力を限定的にすることが双方にとって効果的となります。

 

秘密保持契約締結後にしておくこと

秘密保持契約の締結は、経営陣や、プロジェクトリーダーなど、責任のある立場の人間が執り行います。そして、その内容について従業員に説明されることはあまりありません。秘密保持契約を知らないばかりに、従業員から秘密情報漏洩のトラブルが多いのは、秘密情報の遵守を理解していないからです。秘密保持契約を締結するならば、秘密情報の取扱いや、秘密保持に関する意識を従業員へ徹底周知する必要があります。とくに、重要な秘密情報に関しては、従業員へ誓約書を一筆書かせると効果的です。また、日頃から従業員研修などで「秘密情報を遵守すること」を学ばせましょう。

 

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経営者だけが秘密保持契約について知っているのでは、真の意味での漏洩防止にはなりません。従業員一人一人に意識させ、全社で取組むことがポイントです。従業員の研修にはWebセミナーの受講がお薦めです。下記URLから秘密保持契約についてのセミナーをご用意しています。是非ご活用ください。

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【参照情報】
AI-CON
>>>NDAの基礎知識。実例に学ぶ秘密保持契約を結ぶ時の失敗しないためのイロハ

>>>後悔する前に!中小企業・スタートアップならではのNDA(秘密保持契約)で押さえるべき3つのポイント

ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィス
>>>秘密保持契約(NDA)を違反するとどうなる?弁護士が法的な観点から解説