<企業同士の守秘ルール「秘密保持契約(NDA)とは?【2】> 秘密保持契約書作成のチェックポイントと締結までの流れについて

企業同士で契約を交わす時、業務契約書よりも前に取り決めておく必要のある契約が「秘密保持契約(NDA)」です。企業に利益をもたらす秘密情報である「営業秘密」に関する取り決めを行う秘密保持契約は、どのような取引のときに交わすのでしょうか?秘密保持契約書が必要となるシーンや、作成時のチェックポイント、作成手順についてまとめました。

 

秘密保持契約書が必要となるケースとは?

秘密保持契約は、「自社の営業秘密が他社によって漏洩されない、ノウハウを流用される」などの、情報漏洩にリスクを軽減するための契約です。企業の生命線とも言える営業秘密を守るためにも、必ず交わしておく必要があります。ビジネス上で、相手方と秘密保持契約書が必要となるのはどのようなシーンでしょうか。

  • 他社と商品やサービスを協業する場合
  • システム開発をする場合
  • 新規事業業務の一部を外注する、もしくは業務委託する場合
  • M&Aに取り組む場合
  • WebサイトやECサイトなどの制作を依頼する場合

このような時は、まず秘密保持契約書の締結を優先させることがポイントです。

 

秘密保持契約書作成時のチェックポンイント

では、秘密保持契約書を作成するには、どのような注意が必要でしょうか。作成時のポイントについて解説します。

(1)「開示者」と「受領者」の秘密保持義務の確認
秘密保持の義務は、情報を開示される「開示者」と情報を受け取る「受領者」の間で発生する義務の重さが変わってきます。例えば自社が、秘密情報の受領者側だとしたら、なるべく自社の義務を軽くし、管理コストやリスクを軽減させる方向に持っていくチェックが必要となります。逆に自社が、秘密情報の開示者側だとしたら、秘密情報の漏洩を厳重とし、相手方の義務を重くする方向に調整します。

(2)秘密情報を定義し範囲を決める
秘密保持契約では、「秘密情報の定義」が重要です。秘密情報の定義をしっかり決めておかないと、相手方から情報が漏れた時に「秘密保持契約違反」を問えないこととなってしまいます。ただ取り決めておくだけでなく、秘密情報が含まれた書類などには「マル秘」と明記して取り扱うなどを、慎重に取り扱う姿勢も必要となります。秘密情報の範囲を決めたら「例外規定」も併せて設けておきます。この場合の「例外規定」とは「プレスリリースで公知となった情報」や「開示の際に既に保有していた情報」などが該当します。

(3)目的外利用の禁止を定める
開示した秘密情報が、取引以外に使用されるケースや、第三者へと漏洩してしまうケースを避けるために「目的外利用の禁止」を定めておきましょう。秘密保持契約は、上記のようなケースを防ぐために交わす契約ではありますが、契約中に「目的外での利用を禁止する」の一文がないと、相手方が類似サービスや新商品を開発し、競合となった場合でも訴えられないという事態となる恐れがあります。目的外利用の禁止は、重要項目の一つとして認識し、しっかりと定めて下さい。

(4)コピーの可否を決める
秘密情報の取扱いには、「コピーの可否」についても定めておきます。コピーは紙だけでなく、データの複製、ダウンロードなども含みます。コピーの可否に関しては「複製は本取引の目的を達する為のみに許諾し、複製物は原本と同等の管理を行う」と定めることをおすすめします。

(5)秘密保持契約期間終了後の秘密情報の取扱いについて決める
秘密保持契約では、契約終了時期と自動更新の有無も定めます。例えば契約終了後の取扱いに関しても、相手方に自由に情報を使われてしまうことを防ぐため「契約終了後も5年間は有効とする」などの「存続条項」を設けることや、返還を求めるように取り決めておきます。特に、自社の要となるような技術情報や個人情報などは、返還してもらう方向とするか、廃棄してもらうにしても「再生不能な形で」と記載するなどの方法があります。

(6)秘密保持契約違反の際のペナルティを決める
相手方による秘密保持契約違反が発覚した場合のペナルティも重要となります。情報漏洩は、悪意のあるなしに関わらず重大な契約違反とみなし以下のことを取り決めておきます。

・発覚後すぐに情報開示者へ報告
・損害賠償請求、裁判所や裁判費用の負担
・再発防止策の提出
・秘密情報の使用の差止請求

 

秘密保持契約が締結するまでの流れとは

相手方と秘密保持契約を締結する際も、最新の注意を払う必要があります。秘密保持契約が締結するまでの流れを、注意点と共に見てみましょう。

(1)秘密保持契約書の内容をよく確認する
契約書締結の際は、総合が合意したという内容を契約書に記します。開示側の方で、自社製のひな形が使用できるのであれば、それを使用するように話を進めておきましょう。相手方が一方的にひな形を用意した場合は、不利となる内容になっていないか、警戒をして対応してください。

(2)開示者・受領者双方で内容の確認と合意をする
秘密保持契約書の内容を当事者間で確認し、不利な条項がないかをチェックします。不利な条件や不利益となりうるリスクなどが気になった場合は、専門家の目を通すことも重要です。内容に関して双方が合意したら、その旨を契約書に明記します。

(3)秘密保持契約書に署名・記名・押印をして契約を締結する
秘密保持契約書の内容が決まったら、「同じ内容の原本を締結する会社(もしくは人数)分」作成します。開示側、受領側、それぞれの代表者が署名(または記名押印)をします。原本は、当事者が一通ずつもって保管することが一般的です。そして、秘密保持契約書を同じタイミングで作成した証拠とするために割印を押します。割り印は差し替えなどの改ざん防止にもなるため、複数ページにわたる場合もしっかり割印を押します。なお、秘密保持契約書が一通であれば割印は不要です。

 

セミナーで秘密保持契約書の作成のコツを学ぼう

秘密保持契約は、ビジネスの上で非常に重要な契約です。開示する側ではなく、受領側となった場合でも、秘密保持契約の知識は必要となります。スマートに取引を完了させるためにも、セミナーで秘密保持契約について学んでみませんか?Webセミナーなら、繰り返しなんども受講でき、どこでも学習できる点がお薦めです!下記URLより、秘密保持契約に関するWebセミナーをお探しください。

■会場型セミナーで受講したい方は『ビジネスクラス・セミナー』
>>>最新のビジネスセミナーを探す
※サイトにアクセスしたら、「NDA」「秘密保持契約」などでフリーワード検索してください。

■WEBセミナーで受講したい方は『Deliveru(デリバル)』
>>>Webセミナーで最新WEBセミナーを探す
※サイトにアクセスしたら、「NDA」「秘密保持契約」などでフリーワード検索してください。
 

【参照情報】
TOPCOURT
>>>【ひな形付】秘密保持契約書とは?7つのポイントを弁護士が徹底解説

Shachihata Cloud
>>>秘密保持契約(NDA)とは?締結時の注意点と捺印ルール

GMO 電子印鑑Agree
>>>秘密保持契約書とは?書き方のポイントと作成の流れ