<ISO14001:企業活動と環境側面を考える【4】> SDGs戦略にメリットあり?SDGsとISO14001の関係性について
日本に於いて、企業活動における環境問題への意識は高く、ISO14001認証を取得する企業は大企業ばかりでなく、中小企業にまで及び、その数は世界でも類を見ない数値となっています。他方、2015年に国連で提唱された「SDGs」は政府主導のもとで認知されつつありますが、企業活動とリンクさせる企業はまだ多いとは言えず「これからのビジネス」として注目されはじめたばかりです。新しい取組みとして認知されはじめた「SDGs」と、日本企業の中で認知度が高い「ISO14001」。実はこの二つの取組みは非常に相性が良く、ISO14001のEMSを活用しながら、SDGsにも取り組むことが可能なのです。これからのSDGs戦略に役立つ、ISO14001の活用法について見てみましょう。
SDGsとISO14001は相性がいい
SDGsとISO14001には、どのような共通点があるのでしょうか?SDGsの紹介も含めながら解説いたします。
●SDGsとは?
SDGsとは、2015年国連総会で採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」を意味する言葉です。国連加盟国193国が「環境」「経済」「社会」の3つの分野の調和を図るべく「17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)」を掲げ、2030年のゴールを目指します。日本でも政府主導の「SDGsアクションプラン」に沿って骨子を定め、各企業や自治体でのSDGsへの取組みを推奨しています。また、SDGsへの取組みは新しいビジネスとしても注目されており、世界の投資家たちはこれまでの財務情報での投資から、企業の社会貢献度で判断して投資する「ESG投資」に切り替えており、SDGsへの取り組みを判断基準としています。
●SDGsとISO14001の共通点
国際的な社会活動の目標である「SDGs」と、企業の環境マネジメントシステムであるISO14001にはどのような共通点があるのでしょうか?ISO14001は「環境に関する規格」と認識されており、そもそもSDGsと連動するものとは夢にも思っていない人が多いのが現状です。しかし、環境マネジメントシステムの規格書の序文には「持続可能性の環境の柱に寄与する」という一文があり、持続可能な環境マネジメントシステムは、SDGsの「環境」部分の「持続可能な開発目標」とリンクします。企業の社会活動とリンクしやすいSDGsの目標はこちらです。
【7】エネルギーをみんなにそしてクリーンに(すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)
【12】つくる責任つかう責任(持続可能な消費と生産のパターンを確保する)
【13】気候変動に具体的な対策を(気候変動とその影響に立ち向かうため緊急対策をとる)
【14】海の豊かさを守ろう(海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する)
【15】陸の豊かさも守ろう(陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の防止及び逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る)
例えば、環境マネジメントシステム(EMS)では、企業活動の環境影響を評価しますが、この場合の環境は、ご近所だけでなく地球規模で考えることが可能です。SDGsもEMSも「持続可能」のためにPDCAサイクルを回しますので、環境側面をピックアップする際にSDGsの17の目標と絡め、PDCAサイクルに落とし込むことができれば、自然に両立することができます。
ISO14001を活用してSDGsに取組むポイント
SDGsに取り組むにあたり、ISO14001をどのように活用すれば良いのでしょうか?そのポイントをまとめてみました。
●ヒントはISO14001 2015改訂版4.1にあり
「ISO14001 2015改訂版 4.1」とは「組織及びその状況の理解」に関する項目であり、その中で『組織は組織の目的に関連し、かつその環境マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を決定しなければならない』と定めています。要するに、外部や内部の環境の環境状態を踏まえたうえでEMSを構築しよう、ということを言っています。これをSDGsへと落とし込場合は、「外部及び内部」の環境課題を話し合う際に、SDGs17の目標を視野に入れて課題をピックアップすると同期しやすいでしょう。
●EMSを構築する際にSDGs17の目標169のターゲットで捉える
ISO14001を活用してSDGsに取り組むにはEMSを構築する際に、SDGsの17の目標と169のターゲットをリンクさせることがポイントです。例えば、現状の方針が以下のようなものとします。
・大気汚染の予防
・環境保護
・持続可能な資源利用
これらのEMSを計画す場合、SDGsの以下のような目標とリンクすることができます。
・大気汚染の予防→【目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに】
・環境保護→【目標13:気候変動に具体的な対策を】
・持続可能な資源利用→【目標:12つくる責任つかう責任】【目標14:海の豊かさを守ろう】【15:山の豊かさも守ろう】
ここに記したのはほんの一例で、SDGs17の目標と169のターゲットを組み合わせは、あらゆる業種をカバーできる可能性を秘めています。
SDGsのISO14001共に「持続化」するポイント
最初に記した通り、SDGsとISO14001の共通点は「持続化」にあります。SDGsを組み込んだEMSを構築しても、それが持続しなければ意味がありません。SDGsやEMSに対して全社員で取組む必要があり、定めたゴールに対してモチベーションを維持しながらの運用が望ましいのですが、モチベが維持できず、当初の内容から全く見直しがされないままに形骸化し、PDCAサイクルが途中で止まってしまうのが現実です。また、SDGs担当者とISO14001担当者がうまく連動できていないケースや、環境問題に取り組めていないケースなどもあります。日頃から社内において、環境影響や環境側面についてこまめに話題とし、共通認識項目を深めていくことでPDCAサイクルがうまく回り「持続化」へとつながります。
ISO14001とSDGsをもっと知るにはセミナーで!
ISO14001やSDGsの取組みは、「国際的」であるがために会社の偉い人が考えることと思い、なかなか当事者意識を持てない人も少なくありません。しかし、今やEMSやSDGsは常に考えて当たり前の風潮です。ビジネスシーンでも、ESG投資などでSDGsは大きくかかわってきます。ISO14001やSDGsに、詳しくなるためにはセミナーがお薦めです。環境問題に対して高い意識を持つ続けるためにも、セミナーを受講しましょう!
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【参照情報】
株式会社インフィニット
>>>ISO14001の環境側面の取組みは、SDGsを意識して取組みと新たな展開が生まれる
JMA
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