<ISO14001:企業活動と環境側面を考える【1】> ISO14001と環境マネジメントシステムについて

企業活動をするにあたり、「環境」について考えない企業はありません。地球の環境問題については、世界中のあらゆる国や組織が長年議論している問題であり、問題を解決するためには未来を見据えた持続的な活動が必要とされています。2015年に国連総会で採択されたSDGsの17のゴールの中にも、あらゆるシーンに環境問題が含まれています。世界規模で環境に関する意識が高まる中、企業はどのような環境活動を展開したら良いのでしょうか?そのヒントは、ISO14001と環境マネジメントシステムの中にあります。まずは、ISO14001と環境マネジメントシステムについての基本的な概要について、解説致します。

 

「環境保全に貢献した企業」の証であるISO14001

ISO14001とは、スイスのジュネーブにある非政府機構「ISO(国際基準化機構)」が発行する、環境マネジメントシステムの事です。1992年の地球サミットをきっかけに生まれ、1996年から発行が開始されました。ISO14001認証を得ると、「環境保全に貢献している企業」とみなされますが、そのためには、認証機関の定める環境マネジメントシステムの要求事項を満たさなければなりません。日本はISO14001取得の最多国であり、大手企業はもちろん、大手企業との取引にISO14001認証を必要となるケースが多かったため、中小企業でも積極的にISO14001を取得していました。また、企業のみならず、地方自治体、NPO法人、学校法人、宗教法人でもISO14001を取得しており、日本がISO14001取得最多国となる一因であるとされています。このように、日本では多くのISO14001認証が発行されていますが、適切に継続的に運営できていないケースも多く、認証の継続のためには適切なマネジメントシステムの構築が重要となっています。

 

環境マネジメントシステム(EMS)について

ISO14001認証のカギとなる環境マネジメントシステムは、「EMS(Environmental Management System)」とも呼ばれており、簡単に言うと企業活動を行う上で与えてしまう「環境影響」を低減するための仕組みです。地域住民やステークホルダーなど「組織を取り巻く全てのヒト」、水、空気等の「モノ」に対し、企業や組織が与えている「環境影響」を明確にし、周囲に悪影響を及ぼしているのであれば、それを解決させていくためのシステムづくりを実施します。

●環境に「悪影響」与えない企業活動とは?
日常生活においての「環境に悪影響を与えないための活動」とは、例えばゴミの排出量を減らす、環境に優しい洗剤を使用する、リサイクル製品を活用するなどが思い浮かびますが、環境マネジメントシステムにおいての「環境に悪影響を与えない取組み」は上記のような行動を指すものではありません。「環境に対する良い影響を増大させ、悪い影響を減少させる」ことを目的としている環境マネジメントシステムでは、まず「環境目的」を定め、それを達成するためのPDCAを回します。例えば「紙の使用量を5%減らす」というゴールを定めたのなら、ゴールへ到達するまでに「周知事項はメールもしくは掲示板で」「会議資料はweb上で」などの計画を立てて、それを全社で実行する、というような行動をすることで「環境に悪影響を与えない企業活動」が成立するのです。

●環境マネジメントシステムはどの企業活動にも当てはまる
日本では古くから環境問題を抱えており、それらは工業廃棄物による公害や環境汚染であったため、そのイメージが払しょくされずに「環境問題=製造業」という考えが残っています。公害や環境汚染は、ある意味「悪影響がもたらした結果」ですが、環境マネジメントシステムで重視するのは「結果」でなく「過程」です。排気や排水、騒音などに関係のないIT企業でも、使用電気量に関連する二酸化炭素の排出など「環境問題」に大きく関わることとなります。このように、環境マネジメントシステムでは、全ての企業活動に該当することとなるのです。

 

ISO14001活動で構築する環境マネジメントシステムのPDCAサイクルとは?

では、ISO14001:2015の規格要求事項に沿ったPDCAサイクルの構築を見てみましょう。

【Plan:計画を作る】
Planではまず、企業活動が与える「環境側面」や「環境影響」などを決定します。組企業の活動をはじめ、製品やサービスを提供する上で排出される、廃棄物、環境に害を与える物質などの好ましくないものを「環境側面(環境影響のもとになるもの)」として認識します。この場合は、有益、有害に関わらず、周辺地域に何らかの影響を与えてしまう環境側面を環境影響として認識し、以下のような管理を実施します。

●環境調査
・企業・組織活動が与えている影響、将来与えるかもしれない影響を「環境側面」として洗い出す。
・洗い出した「環境側面」が環境に関する法律に適合しているかどうかを調査する

●重要度を評価
・この環境側面はどのような環境事故を引き起こす可能性があるか
・この環境側面はどのくらいの頻度で起こる可能性があるか
・仮に事故が発生してしまった場合、近隣地域に与える影響はどのくらいか

●管理方法の決定
特定したリスクはルールを定めて管理する必要があります。
・目標管理…目標を定めて管理する
・日常管理…リスクを悪化させないために現状維持するもの

●Planを実行するための支援体制を整える
組織内の資源(人材、インフラストラクチャー、環境、監視測定機器、知識)などの個人の力量、教育訓練体制、コミュニケーション方法などを企業・組織内で共有して、外部の人間に明示するために必要事項を文書化することが有効です。

【Do:運用するための計画や手順を整える】
企業や組織の各部署や各担当が滞りなくシステムを運用・実行できるような手順を整えます。運用を外部業者に委託する場合は、目的や必要な要素(エコ商品やグリーン商品の購入・関連する運送業者のアイドリング禁止など)を必ず伝達し本来の目的と齟齬が生じないように配慮する必要があります。また、実行にあたり何らかの緊急事態が発生した時の対処法も含めて定める必要があります。

【Check:評価する】
日頃から実施している環境パフォーマンスについての指標を定め、評価ができるようにしておきます。評価はトップマネジメントへ報告するような流れとし、何か改善点があればすぐにプロセスを見直せるような評価体制を作ります。

【Action:改善する】
不適合が発生した場合、その処置方法と是正処置を定めて、速やかに改善できるようにします。不適合とは、ミスやトラブルだけでなく、企業や組織をとりまく環境や社会情勢の変化に合わせ、絶えずアップデートできるような仕組みづくりをすることで、環境マネジメントシステムを常に最適化することが可能です。

 

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ISO14001認証システムについては、どの企業でも知っているほどメジャーなものですが、それらをとりまく社会情勢や、環境に関する知識は常に変化が伴います。最新の情報を仕入れておくためには、セミナーの受講がお薦めです。まずは、ISO14001について改めて知ってみることはいかがでしょうか?セミナーは、下記URLからお探しできます!

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【参照情報】
ISO認証取得支援コンサルティング【アイムス】
>>>ISO14001環境マネジメントシステム

環境省
>>>総合環境政策

月刊中小企業レポート
>>>ISO14001の基礎知識

ウィキペディア
>>>ISO14001