<コロナ禍を乗り切る!企業のための新型コロナウイルス対策【3】> 新型コロナウイルス関連で申請できる助成金・支援金まとめ(雇用調整助成金・小学校休業等対応助成金・テレワーク支援助成金)
新型コロナウイルスの影響が拡大し、全国に緊急事態宣言が発令された今、様々な事由で休業を余儀なくされている企業や、テレワークへの切り替えを迫られる企業、臨時休校の影響で、仕事を休まざるを得ない子育て世代など、経済活動への影響は計り知れないものとなっています。政府は、一時的に休業に入る企業や臨時休校などで仕事を休む人のために「雇用調整助成金」「小学校休業等対応助成金」「働き方改革支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」などを設置しました。それぞれについて、解説致します。
雇用調整助成金
「雇用調整助成金」とは、「雇用保険の事業主」を対象とした助成金制度で、「景気の変動やその他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用を維持するため一時的に雇用調整(休業、教育訓練または出向)を行って雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するもの」とされています。今回の新型コロナウイルスの感染拡大に際し、観光業や飲食業、製造業をはじめ、日本の経済活動全般の深刻な事業活動縮小の事態を重く見た政府は、多くの事業者が雇用調整助成金を申請できるように要件を緩和し、令和年2年4月1日から令和2年6月30日までの間を緊急対応機関とし、休業などに適用されます。
「特別緩和措置」で緩和されるポイント
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府では雇用調整助成金に「特別緩和措置」を設けました。緩和のポイントを、以下で説明します。
【助成対象の緩和と内容の拡充】
(1)休業または教育訓練を実施した場合の助成率の引き上げ
特別緩和措置では、助成率についても、引き上げとなっています。例えば、中小企業の場合は、助成率は3分の2→5分の4へ引き上げ、大企業については2分の1から3分の2へと引き上げられています。
(2)従業員を雇い止め・解雇しなかった場合の助成率の上乗せ
以下の条件下において、解雇等をしなかった事業主に、助成率の上乗せを実施します。例えば、従業員を1人も解雇していない場合の助成率は、中小企業が10分の9、大企業が4分の3まで上乗せされます。
条件1:1月24日から賃金締切り期間(判定基礎機関)の末日までの間に、事業所労働者の解雇などをしていないこと
条件2:賃金締切期間(判定基礎機関)の末日における事業所労働者数が、比較期間の月平均事業所労働者数を比較して5分の4以上であること
(3)教育訓練を実施した場合の加算額の引きあげ
教育訓練が必要な雇用保険の被保険者について、自宅でインターネット等を用いた教育訓練を実施した場合、中小企業2,400円、大企業1,800円の加算額の引き上げが実施されます。
(4)新規学卒採用者も対象
新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の従業員についても、助成の対象となります。
(5)支給限度日数に関わらず活用可能
緊急対応機関(令和2年4月1日~令和2年6月30日)に実施した休業は、1年間に100日の支給限度日数とは別枠で利用が可能です。
(6)雇用保険被保険者でも休業の対象となる
今回の特別緩和措置では、正規雇用者だけでなく、パート、アルバイト(学生も含む)などの雇用保険に加入していない週20時間未満の労働者も、対象に含まれます。
【要件の緩和】
(1)生産指標要件の緩和
雇用調整助成金では、売上高または、生産量などの事業活動を示す「生産指標」について「3か月間」短縮し、「1か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること」としました。また、通常は生産指標を前年度と比較できる事業主が対象ですが、今回の特別緩和措置では、令和2年1月24日時点での事業所設置後1年未満の事業主も支給対象となっています。
(2)雇用要諦助成金の連続使用を不可とする要件(クーリング期間)の撤廃
過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主は、前回の支給対象期間満了日から1年経過しないと利用できませんでしたが、今回の特別緩和措置により、このクーリング期間が撤廃となりました。
(3)「事業所の設置後1年以上を必要とする要件」の緩和
本来であれば雇用調整助成金の理容は、事業所設置後1年以上を必要としますが、これを緩和しています。この倍の生産指標の確認は、提出があった月の前月と令和元年12月を比較します。
(4)休業規模の要件の緩和
休業の延べ日数が、対象労働者に係る所定労働日数が、以下のように緩和されます。
中小企業→20分の1から40分の1以上
大企業→15分の1から30分の1
【雇用調整助成金を活用しやすくするための措置】
(1)事後提出を可能として提出期間の延長
すでに休業を実施し、休業手当を支給している場合でも、令和2年6月30日までは事後に提出することが可能です。(※生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で確認をします)
(2)短時間休業の要件を緩和し活用しやすくする
短時間休業については、従来、事業所等の労働者が一斉に休業をする必要がありますが、事業所内の部門や、店舗等の施設ごとの休業も対象とするなど、緩和の対象を広げてします。
(3)残業相殺制度を当面停止する
支給対象となる休業等から「時間外労働等の時間を相殺して支給する」、いわゆる「残業相殺」が当面停止となります。
雇用調整助成金では、迅速な対応を可能とするため手続きの簡素化なども実施するとのことです。
小学校休業等対応助成金
「小学校休業等対応助成金」とは「小学校等が臨時休業した場合に、その小学校に通う保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規費用・非正規雇用を問わず、有給の休暇(年次有給休暇を除く)を取得させた企業に関する対する助成金」として創設されました。従業員の中に、令和2年2月27日から令和2年6月30日までの間に、要件を満たす従業員に対して有給(賃金全額支給)の休暇(年次有給休暇を除く)を取得させた事業主は、助成金の対象として扱われます。
【助成対象】
(1)新型コロナウイルス感染症に関する対応としてガイドラインに基づき、臨時休業などをした小学校などに通う子ども
(2)新型コロナウイルスに感染したこどもなど小学校を休む必要がある子ども
この場合の「保護者」は、両親以外でも祖父母、里親、未成年後見人など、実際に対象の子どもを養っている人も対象となります。
【助成対象期間】
助成対象となる休暇は令和2年2月27日~6月30日が対象ですが、日曜日や本来であれば春休みであった日など、もともと学校が休日であった日は対象外となります。
【助成内容】
助成内容は、有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額×10/10となります。具体的には、対象労働者1人につき、対象労働者の日額換算賃金額×有給休暇の日数で算出した合計額を支給します。申請期間は令和2年9月30日までです。雇用保険被保険者も雇用保険被保険者以外どちらも対象となりますが、申請書類はそれぞれ異なります。
働き方改革支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
「働き方改革支援助成金テレワークコース」は、「時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善及び、仕事と生活の調和の推進のため、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成する」として創設された助成金です。この度、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、大企業だけでなく、中小企業でもテレワークへの切り替えを余儀なくされているため、「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースの助成」の特例コースが時限的に設けられました。
【特例コースの対象となる中小企業事業主】
特例コースでは、テレワークを新規で導入する中小企業事業主や試行的に導入している事業主が対象で、労働者災害補償保険を適用していることが条件となります。
●業種
・小売業
資本または出資額が5000万円以下
常時雇用する労働者が50人以下
・サービス業
資本または出資額が5,000万円以下
常時雇用する労働者が100人以下
・卸売業
資本または出資額が1億円以下
常時雇用する労働者が100人以下
・その他の業種
資本または出資額が3億円以下
常時雇用する労働者が300人以下
【助成対象となる取組】
テレワークコースの対象となる取組みは、以下の通りです。
- テレワーク通信機器の導入・運用(シンクライアント端末(パソコン等)の購入費用は対象となるがシンクライアント以外のタブレット・スマートフォンの購入費用は対象外)
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知、啓発
- 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング等
【助成対象実施期間】
令和2年2月17日~5月31日
【主な要件】
事業実施期間中に、助成対象の取組みを行うことと、テレワークを実施した労働者が1人以上いることが要件です。
【支給額】
補助率は2分の1(1企業当たりの上限額は100万円)
新型コロナウイルス関連の助成金・支援金についてセミナーで学ぼう!
日本経済ばかりか、世界中の経済も巻き込むコロナショックから企業と従業員の雇用を守るためには、助成金や支援金の知識は必須です。Webセミナーで、より深く新型コロナウイルス関連の助成金や支援金について学び、時代の荒波に立ち向かいましょう!
【最新WEBセミナー情報】
新型コロナウィルス対策 株主総会・取締役会の運営の留意点
>>>こちらから
続・新型コロナウイルス感染症対策として 労務の現場で何ができるのか?
>>>こちらから
緊急事態宣言を受けて- 新型コロナウイルス感染症と企業活動に関わる法的諸問題
>>>こちらから
【新型コロナ対策】BCPセミナー入門編・対策編【COVID-19】
>>>こちらから
新型コロナウイルス感染症対策として 労務の現場で何ができるのか?
>>>こちらから
2020年の株主総会と実務課題の検討
>>>こちらから
「医療機関の労務管理」 ~医療業界に迫る「働き方改革」、院内感染・パワハラ新法等の最新対策~
>>>こちらから
【緊急セミナー】企業の新型コロナウイルス対策
>>>こちらから
>>>最新のビジネスセミナーを探すなら『ビジネスクラス・セミナー』
※サイトにアクセスしたら、「新型コロナウィルス」などでフリーワード検索してください。
>>>WEBセミナーで受講したい方なら『Deliveru(デリバル)』
※サイトにアクセスしたら、「新型コロナウィルス」などでフリーワード検索してください。
【参照情報】
社会保険労務士法人とうかい
>>>新型コロナウイルスで要件緩和!雇用調整助成金について社労士が開設します
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
>>>新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ雇用調整助成金の特例を拡充します
厚生労働省
>>>小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設します
Manegy
>>>新型コロナウイルス感染拡大の影響で緊急決定!「雇用調整助成金」の助成率が最大9割に拡大!
TabisLand
>>>第7回新型コロナで休業させるなら厚生労働省の助成金を活用しよう!