<コロナ禍を乗り切る!企業のための新型コロナウイルス対策【6】> 新型コロナウイルス感染症拡大下で株主総会を開催する場合の留意点>

新型コロナウイスルが拡大する中、企業が毎年開催している「株主総会の開催」については、現行法(会社法296条1項)にて「毎事業年度終了後一定の時期に招集すること」が義務付けられており、中止にすることができません。また「開催の延期」もできなくはないのですが、議決権行使や剰余金の配当などの基準日を新たに設定しないといけないため、簡単に延期することも難しい状況です。経済産業省や法務省でも「可能であれば開催時期を遅らせずに予定していた時期に定時株主総会を開催することが望ましい」としており、企業はその対応に追われることとなります。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の下では、どのような配慮をして株主総会を開催したらよいのでしょうか?株主総会開催にあたっての留意点や来場者への配慮、止む無く開催日を変更する場合などの留意点についてまとめました。

 

新型コロナウイルス感染症拡大下でも株主総会は開催するのか

政府では、2020年3月10日から「多人数が集まるような全的なスポーツ、文化イベント等について、大規模な感染リスクがあることを勘案し、中止、延期、又は規模縮小などの対応を取ること」を要請した、いわゆる「イベント開催の自粛要請」を呼びかけています。4月7日に緊急事態宣言が発令された後も、引き続き大規模なイベント等については、慎重な対応をとることが求められており、自治体によっては8月いっぱいまでイベントの自粛を取り決めた地域も存在します。

そんな中、多くの企業が、株主総会の開催の時期を迎えています。会社法296条1項にて開催が義務付けられている株主総会ですが、その形態はまさに感染拡大リスクが指摘されている「多人数が集まるイベント」に該当するため、企業は開催と自粛の板挟みに陥っています。しかし、政府や自治体から明確な株主総会開催延期要請がない限り「株主総会開催の義務」の現行法に従わないといけないので、企業の担当者は株主総会開催の準備にとりかかる必要があります。

 

来場者への配慮

株主総会を開催するにあたり、来場者へ配慮するポイントを下記にまとめました。

(1)三密を避ける配慮
現在、新型コロナウイルス感染拡大防止策の一つとして各所で、「三密を避ける配所」が呼びかけられています。三密とは、以下の条件が同時に重なる状況を指します。

①換気の悪い場所
②人が密集している
③近距離での会話や発声が行われている

多人数が一堂に会する株主総会は、三密を生み出しやすい環境下にあるため、会場に足を運ぶのではなく、会社法298条1項3号4号で定められている書面投票や、電子投票で議決権の行使を行うことを促して、招集通知の段階で来場者を抑制することが三密を避けるためのポイントとなります。その際、招集通知に記すだけでなく、自社のホームページにも、書面投票や電子投票の解説を載せるようにしましょう。

(2)事前に健康チェックの呼びかけ
会場へ足を運ぶ株主に対しては、以下のような健康チェックの呼びかけをして、少しでも体調がすぐれない場合は、出席を見送るように促しておく必要もあります。

  • 株主は健康状態に留意し無理しないことを記す一文
  • 高齢者や基礎疾患がある株主、妊娠しえいる株主は出席を見合わせることを検討する呼びかけ

これらを踏まえた上で以下のような健康チェック項目も設けます。

①過去14日以内に37.5度の発熱の症状があるか
②過去14日以内に息苦しさや強いだるさの症状はあったか
③過去14日以内に咳・くしゃみ・鼻水・のどの痛みなどが続く風邪の症状があるか

該当する人には、会場へは行かず、書面投票や電子投票へ振り替えるよう誘導する配慮をしましょう。

(3)お土産・イベント廃止などのアナウンス
株主総会の中には、お土産の配布や展示会を併設するなどのイベントを実施する企業もありましたが、三密を作りやすい環境となることから、今年は実施を見送る企業も多くみられます。お土産や展示会の中止は、事前にきちんと説明しないと株主とのトラブルになりかねないので、昨今の情勢に触れた上で、しっかりアナウンスする配慮が必要です。

 

会場で実施する感染拡大防止策

株主総会当日は、感染拡大防止のためにあらゆる対策を講じなければなりません。

①スタッフ全員のマスク着用
②株主にもマスク着用を呼び掛ける
③マスクのない株主にはマスクを配布する
④会場の入り口、内部数か所に消毒コーナーを設け、株主へも消毒を呼び掛ける
⑤受付付近の混雑が見込まれるため、来場時間を分散する
⑥受付で検温と体調確認を実施する
⑦体調不良が見受けられる株主には入場を控えるよう要請する
⑧ソーシャルディスタンスの確保を呼び掛ける
⑨会場内の座席は間隔をあける
⑩通常よりも時間を短縮し、早めに解散する
⑪会場の換気を良くし、株主にもその旨を伝える

⑦について、要請に応じない株主がいた場合は、会社法315条の「議場の秩序維持権限」の行使で、入場を拒むことも可能です。但し、前もって「要請に従わなければ退場させる旨」の警告を発しておく必要があります。

 

止む無く株主総会の開催日を変更する場合

新型コロナウイルスでの不測の事態により、予定の日時に株主総会を開催することができないことも想定されます。その場合は、招集の撤回や開催日時の変更、基準日の検討をしなければなりません。新たな開催日の見通しが立たない場合は、まず招集手続きを撤回して、改めて開催日の目途が立った段階で招集手続きをやり直す段取りとなります。招集の撤回は、招集手続きに準じ、取締役で決議することになりますが、招集の撤回を知らせる書面は、当初の開催日よりも前に株主の手元に届く必要があります。平時ではないため、スムーズに手続きが行かないことも想定されます。その場合は、書面を作成するまでのつなぎとして、いち早く自社のホームページ上で株主総会開催日変更のアナウンスをしておくことがポイントです。取締役会の決議を経て開催日時が決まったら、再設定した再開日の二週間前までに株主へ招集通知を発送し、再設定日の前までに通知が到達していることが原則的な方法とされています。

 

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【参照情報】
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