<「持続可能な森林管理」を目指す森林認証制度【3】> ヨーロッパで生まれた森林認証制度「PEFC」の「相互認証プログラム」と「6つの基準」について

世界規模で長年の優先課題となっている地球温暖化問題には、人の手による森林の消滅が大きくかかわっています。森林は木材や紙製品の他、衣料品や繊維など人の暮らしと密接したアイテムを生み出すほか、森の呼吸により循環する空気と水は、地球上すべての人々に必要な、森の恵みとなります。人類は、生きるも暮らすも森林の恵みを必要としますが、それを両立させるためには「持続的に森林を管理する」ことが必要となります。森を守るために「適切な管理をしている森林の認証制度」として、まず世界各国の環境団体、林業者、先住民団体が声を上げた「FSC認証制度」が作られ、その後に、ヨーロッパより、PEFC認証制度が誕生しました。PEFC認証制度の大きな特徴は、欧州以外の世界各国の森林認証制度と相互承認し、高い水準を維持することを目的としている点にあります。ここでは、PEFCの概要や相互認証プログラムなどについて解説します。

 

「PEFC認証制度」の成り立ちと概要

世界が「森林認証制度」というシステムに取り組みだしたのは、1992年の国連リオ地球サミットがきっかけでした。1993年に発足したFSC(R)認証制度に続き、1999年にヨーロッパの11か国が中心となって作られた組織が汎ヨーロッパ森林認証です。初めから世界規模で展開するFSCとは違い、汎ヨーロッパ森林認証は、小規模林家や、家族経営の林家からの要望に応える形で発足し、その後、オーストラリアやチリなど、ヨーロッパ以外の国も参加するようになったため、2003年に「PEFC( Programme for the Endorsement of Forest Certification)」へと名称を替え、世界各国の森林認証制との相互認証を行う国際認証組織として、現在に至ります。2019年6月現在、加盟国51、FM認証されている森林が約3億強ha、CoC認証は11741件と、世界規模展開をしています。日本との関わりは、「緑の循環認証会議」の運営する森林認証制度「SGEC」が、2016年にPEFCと相互認証しており、日本においてのSGEC/PEFC認証森林は2017年時点で約166万haとされています。

 

「持続可能な森林管理」を目指すPEFCの「三本の柱」とは?

PEFCでは「持続可能な森林管理」を目指すために、基準となる「環境」「社会」「経済」の「3つの柱」となるプロセス基準があります。

【環境】生態系に健全であること
・植物、動物などの生態系の維持、増大
・生物の多様性、絶滅危惧種の保護
・生態系上価値ある生息地の保護
・水質と土壌の保全
・伐採後の森の際し柄

【社会】社会的に公正であること
・就業者の健康と安全
・先住民や林業従事者の人権と労働権利の尊重
・地域コミュニティーのための森林の多角的な利用
・精神、宗教、景観上の役割と価値

【経済】経済的に実行可能であること
・地元住民への就労機会
・森林所有者の収入の
・素材としての木材の提供
・林業、紙、木材業、貿易など

これら3つの柱は、どれか一つが達成出来ればよしとされるものではなく、「全てを守ることが森林を守ること」に繋がります。PEFCの認証制度は、「環境」「社会」「経済」の3つの柱全てに対処した上で、市場に出回る木材、林産品、紙製品が「持続的可能に管理された森林に由来するものであること」を確実にするメカニズムを提供しています。

 

PEFCの特徴である「相互認証プログラム」とは?

PEFCの大きな特徴は、「世界各国の森林人承認制度間の相互認証」にあります。相互認証することにより、世界各国の信頼ある森林認証制度の独立性と、自主性を尊重し、それらの認証制度間の一貫性と適合性を実現し「持続可能な森林管理のための統一的かつ高水準の森林認証制度を世界レベルで確率、実施すること」が大きな目的でもあります。PEFCでは、「世界各地で締結された相互認証制度」を通じて、PEFCの承認を受けた森林認証制度を有する全ての国において、実行される森林認証が、すべて同一に、高水準で維持がされているかをチェックしています。PEFCは、ヨーロッパを中心とした森林管理認証と思われがちですが、相互認証制度により、世界の森林管理認証制度の集合体でもあるのです。

 

PEFC認証の認証基準となり「6つの基準」と「政府間プロセス」につて

PEFCでは、持続可能な森林経営の統括、規格の規定、実施について、ステークホルダーから独立性を確立するため、すでに世界各国で国際的に確立、承認されている認定・認証の手順を相互認証によって内包しています。PEFC認証するためには、「9つの政府間プロセス」を根拠とした「PEFC6つの基準と指標」で判断されます。

●9つの政府間プロセス
・ヘルシンキプロセス(欧州)
・モントリオール・プロセス(環太平洋)
・ATO:アフリカ木材機関(アフリカ)
・ITTO:国際熱帯木材機関(東南アジア)
・アジア乾燥森林の地域イニシアティブ
・乾燥アフリカ地帯における持続可能な管理のための基準及び指標
・タラポト提案:アマゾン河流域の森林の持続可能な管理のための基準及び指標
・中近東プロセス
・レパテリックスプロセス

日本の場合は、モントリオール・プロセスがベースとなっています。

●持続可能な森林経営のための汎ヨーロッパ基準と指標
・基準1
森林資源および地球的炭素循環(カーボンサイクル)に対する寄与の維持及び適切な増進

・基準2
森林生態系の健全性と活力の維持

・基準3
森林の生産機能(木材及び非木材)

・基準4
森林生態系における生物多様性の維持、保全、及び適切な増進

・基準5
森林経営における保護機能の維持、及び適切な増進(特に水と土壌)

・基準6
その他の社会経済的機能と状態の維持

 

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【参照情報】
Forest Partnership
>>>森林保全の制度

一般社団法人緑の循環認証会議(SGEC)
>>>PEFCの氏名と展望・歴史

>>>PEFC認証制度の特徴